私の中のスフィンクス | ヨネダ設計舎のブログ

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出来事 日常 建築 


少し前、

去年からとても楽しみにしていた

三重県立美術館 

舟越桂 『私の中のスフィンクス』展

フリオ・ゴンサレス 展

にひとり訪れる.





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人の内面が彫刻化されたような作品たち.


僕が舟越さんの特徴的な 人間 の彫刻作品を知ったきっかけは、天童荒太さんの小説の表紙でした.


リアルな具象、でもどこか視点の焦点が合わない作品が、こちらとあちらの境界を漂う不思議さをつくっています.

実体と虚、それは肉体と心のはざま、もしくはどちらも内包している存在のように映ります.



カタチと光.



鼻先、指の背中、は意図して極端に光沢を出し、粗い部分は鑿の痕をそのままのこすことで生まれている生命感.


この生命感は、フェルメールが同じ絵の中に、光の状態を精緻描写するのと対照的に、大きな面積をざっくりフワッと表現する部分を描き、それらを一枚に共存させることで自然さをそなえた美を成立させている様と通じているような気がしました.


それは自分が目指したい場所、僕にとってのリアルだと感じました.


光を受けとめて、その中で存在する作品を見て、

芸術だけじゃなく、この世は光とともにある、

と世界の光の存在を再認識.



彫刻家の思考、作品の世界を体感し、純粋にカタチをフォルムからもっとスタディすること、それを捉えるための自分の術の確立、


色んな啓示となりました.



機能から必然的に生まれる美がある事は事実.

でもそればかりにとらわれていてもいけないんじゃないかと、最近思う.



そして、自分がどうやってカタチをつくっていくかについて、そのヒントや参考はあるけれども、結局、具体的な方法に教科書も正解もなく、自分で探っていくしかない.



展示の中に舟越さんのスケッチ、日常のメモのコーナーもあり、

そこには、氏がふとした瞬間に思った事、自分の哲学、心理状態、何を見てどう感じたか、などの事柄が日付とともに細かく記録されていました.

日々の思考をメモする事は、それを深めるきっかけであり、自分と対話する事である、とモノづくりの姿勢についても大いに勉強させていただきました.





自分が生きているこの世界と五感を反応させて、モノづくりをしていきたい.


自分らしく.










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米田雅樹 三重県 建築設計事務所