私が4年前の45歳の時に市議会議員に立候補し、市民の皆様の支援をいただき市の行政に携わせていただくことになったのですが、そもそも、政治というものに興味を持ち始めたのは何がきっかけだったのだろうと振り返ってみました。
 
 それは、私が商工会青年部に所属し、今から18年ほど前に地域開発委員会という地域振興の為に活動する部隊で活躍した時からだと思い当たりました。
 そのころは地元の地域はまだまだ元気で、青年部員も70名近い大所帯でしたが、足元の情勢は非常に厳しく、まだまだ知識もない中で若い経営者同士でどうしたら先輩たちのころの活況を取り戻せるのかと、熱く語り合っていたものでした。
 そこで、委員会では街づくりについて様々な事例を紹介する中で、青年部員みんなで議論し合う例会を企画しました。その中で、大きな道筋を示す事例を研究する必要があり、わたしなりに様々な書物を読む中で衝撃的な出会いがありました。1975年から2003年までの長きにわたり大分県知事として活躍された平松 守彦氏「地方からの発想」という著書です。
 
 
 一般的には「一村一品活動」といって、ぞれぞれの地域で素晴らしい地域資源を掘りおこし、名産品にとどまらず、すばらしい文化や観光資源などの魅力を発信して地方を活気づけようとする政策を展開したことで有名な方なのですが、その根底に流れる地方分権についての見識は今でも斬新であり、色あせていないのです。
 
 現在、豊岡市では「グローバル&ローカル」としてローカルな魅力を磨き、世界に発信していこうと「飛んでるローカル」と銘打って地域の振興を図ろうとしています。実はこの考え方はすでに25年以上前に平松氏は提唱されていました。地域振興は「グローバルに考え、ローカルに活動しよう。」というものです。世界に通用するローカルを磨こうという発想です。このほかにも交通インフラを整備する先に「九州府」を設立しようと提唱されていました。いわゆる道州制の発想です。
 従来の自治体の発想を超えて、自治体による外交を展開しアジアの中で北九州の経済圏の構築を提唱し、実際に電気・自動車関連の企業の集約地として大分は大きな地位を得ることに成功しています。
 大規模な物産展を東京で行うことも大胆に進められました。大分の本物の魅力を伝えるために、赤坂のホテルニューオータニのメインの披露宴会場に縦5.5m、幅1.5m、高さ1メートルの水槽を設置し、内部に10トンの海水を入れて、大分県の沿岸で獲れる鮮魚を泳がせて、様々な物産を展示販売するという大胆な物産展を行われて、周囲の度肝を抜かれたことでも有名です。
 
 尊敬してやまない平松氏が考えていたことを紹介しながら地方自治がどうあるべきか、懐かしい著書を読みながら考えていきたいと思います。