この度の豊岡病院組合議会では公立豊岡病院組合事業会計の補正予算 第1号と第2号が審議されました。
 
 その内容は当初の予想よりも収支が悪化し大幅な赤字となり、将来の設備投資などに備えるべく蓄えてきた内部留保が、今年度の期首には約14億5千万円程度あったものが、補正後では約7億5千万円程度と半減するとされています。
 
 この補正額は複数の病院を抱える組合としては大変厳しいものであると言わざるを得ません。早急な経営体質の改善を官民挙げて取り組んでいかねばならないといえます。
 
 その中で、当局側から示されされた原因の一つが入院病床の満床率の低下による医事収入の減少です。
 
 
 
 これはなぜかというと豊岡病院は急性期医療を守る病院として位置づけられていて、診療報酬の高い7対1病床(入院患者7名に対して看護師が1命必要な医療病床)の拡充に突き進んでいたのですが、平成28年の診療報酬改定により、7対1看護基準が厳格化されて、入院日数が短縮化されたために、空きベッドが増えて収入が減ったのです。
 
 一般質問で問うたのは、国は医療費を抑制する為、また急性期医療の為のベッドが過剰だと判断していて、こうした方針転換がなされることは私でも気が付いていたのに、なぜ対応が遅れたのかという点です。
 医療費の抑制の一つの手段として診療報酬の改訂が検討がなされていた中で、平成27年の末には政府方針がだされて、急性期医療の病床を減らして、地域包括ケア病床への移行を促す診療報酬改定が決定されました。検討状況は随時出ていたと思われますし、メディアでも報じられていたと思います。今になって驚くようなことではなかったのです。
 実際に京都の堀川病院では2014年には急性期の192床の内の100床を地域包括ケア病床に移行して、病床の稼働率を9割まで高めたそうです。この病院の場合は近くに大学病院もあったために、思い切った舵切りができたのでしょう。
 地域の基幹病院ではどうでしょう。東京医科大学茨木医療センターでは381あった急性期の病床を同じく2014年に40床を地域包括ケア病床に移行したところ、ここでも病床の稼働率を9割を超えるまでに高まったそうです。病院経営の効率化と評価されているようです。こういった事例はすでにいくつもあったと認識しています。
 
 地域包括ケア病床の設置にはいつくかの乗り越えなければらならない条件もありますが、13対1看護で負担も少なく、収益も急性期の病床とほぼ同等であることから、値域のニーズと照らし合わせても取り組む価値のあるものだと思います。
 
 豊岡病院組合では出石医療センターで10床の地域包括ケア病床を今年度から設置して取り組まれていますが、組合全体で早急に取り組みを始めるべきではないかと思います。