日本は御存じの通り、外国人観光客の誘致としてインバウンドに取り組んでおります。豊岡市も同じく取り組みを進めて大きな成果を得ております。

 ところが、東京や大阪などでは急激に増加した外国人観光客に対してホテルが不足し、ホテルが確保できない、ホテルの料金が高いという問題が深刻になっております。
 
 ホテルはすぐにたちませんから、外国では一般的になっている住民が空き部屋を有料で貸し出す民泊に注目が集まっています。
 政府は先の6月2日に「規制改革実施計画」を閣議決定し、農業・雇用・医療などの広い分野の規制を撤廃する方針を決めました。その中にこの民泊も含まれていました。

 わたしはこのままだと大きな問題を発生させる恐れがあると感じました。


 私は規制改革に賛成するものであります。しかしながら、どこかで一定の規制をかけなければ放任となり大きな社会問題を発生させる可能性もあると考えています。
 たとえば、バスの運営も規制を大幅に撤廃したことで、大きなバスの事故が発生して、再度規制をかけないといけない事態になっています。太陽光発電でも、安全基準がないために台風で飛んで被害を出したり、急傾斜地に作って問題になったりするなど、問題が少しずつ明らかになりつつあります。

 要は規制緩和は必要ですが放任は絶対にしないことが大切です。悪影響が出ないように、段階を踏んで徐々に開放していくことが肝要だと思います。

女将さん


 今回認めた民泊の形態は、一般家庭が空き部屋に旅行者を宿泊させる「家主居住型」とそうではない「家主不在型」の二つです。

 前者はもともとの民泊の形態で、ツーリストが地元の家族と触れ合えるだけでなく、その地域の文化や風俗に触れられるので問題はなく、むしろ良い仕組みだと思います。

 問題は後者です。上手く使えば出石や但東町では、面倒な手続きや工事もなく空き家を宿泊施設として使える可能性がありますし、神鍋高原や竹野では空き家になった民宿をお客さんの多い時に利用することができます。
 しかしながら、城崎温泉などでは市外業者が市民向けのマンションを建設するとして建設し、それを民泊に転用することが可能になることで、地元の旅館業者が大きな損失を被る可能性があるのです。
 そうなれば、市としても多くの資金を観光政策に投じても、その果実を市外業者に吸い取られることになり、温泉街の風情を維持してきた努力も無駄になりかねません。

 わたしは市に対して、豊岡市として民泊をどのように戦略的にとらえて利用するのかと悪影響を避けるべく規制をどうかけるべきなのか検討を始めるべきだと訴えました。


 現在の政府の素案では認可権限は県にあるようですので、わたしは次のように考えます。

1.家主居住型の民泊は基本的に認める
2.家主不在型の民泊は城崎温泉では禁止、他の地域では地元資本優先で認可する
3.認可に市が深くかかわることができるよう国が法整備をし、県が条例制定する
4.不正業者の認可取り消しについて市が深く関与できるように県が条例制定する
5.不正業者を厳罰に処することができる様に県が条例制定する



 この後、城崎温泉関係者と市の情報交換にも立ち会うことになりました。こうした規制を市がかけられるように国に対しても要求しないといけません