少し前のことですが平成28年7月4日から5日にかけて、豊岡市と香美町、新温泉町合同で運営するクリーンパーク北但の議会で管外視察に行ってまいりました。
 
 初日は愛知県北部に位置する小牧市小牧岩倉エコルセンターです。

 名称の通り、こちらも小牧市と岩倉市の2市で構成する広域行政組合「小牧岩倉衛生組合」で運営されておられます。


小牧岩倉エコルセンター

 管理棟から見た古いクリーンセンターです。この右奥に平成27年度から運営を開始している新施設があります。

小牧岩倉エコルセンター

小牧岩倉エコルセンター

 こちらの施設はクリーンパーク北但とは全く違う考え方に基づいて設計・運営されている施設ですので、全く違ったアプローチからの研修となりました。

小牧岩倉エコルセンター

小牧岩倉エコルセンター

 クリーンパーク北但ストーカー方式の焼却炉を採用していて、可燃ごみを高熱の炉に投入し、ゴミを炉の中で移動させることで連続運転しながら完全な焼却灰にする施設です。そこから出た焼却灰は埋め立て施設などの最終処分場に廃棄する必要があります。

 ところがこの小牧岩倉エコルセンターは、製鉄に使用するようなシャフト炉式ガス化溶融炉であり、燃やした煙からは焼却灰が発生するもののごく少量で、ゴミを灰ではなくスラグやメタルといった資源に変えることを目指した施設なのです。

小牧岩倉エコルセンター

小牧岩倉エコルセンター

小牧岩倉エコルセンター


 ご覧の通り、見た目はクリーンパーク北但と同じ運営がなされています。しかしながら炉の温度が高いので発電が多いだけでなく、隣の巨大な市営温水プールや福祉施設への温水供給など排熱の利用もしっかりと取り組まれております。

小牧岩倉エコルセンター

 この方式の焼却炉についても北但行政事務組合で検討されたそうですが、クリーンパーク北但では不採用となっています。それは当然だと思います。これは小牧市がこういった施設を運営できる地理的条件が整っているからであって、北但では無理があると思われます。

1.コークスと石灰石の確保が困難

 この施設で灰が出ないのは、ゴミと一緒に製鉄で使用するコークスと石灰石が大量に必要であるということです。これには、購入するためのコストも必要ですし、但馬には製鉄所がないので、遠方から搬入する必要があり、運搬コストが必要であり、なおかつストックする場所の確保も必要になります。

2.生産される資源の利用が見込まれない

 焼却灰ではなくスラグやメタルという資源が採取できるメリットがあります。スラグはアスファルトやコンクリート製品に混ぜるなどして再利用され、メタルはフォークリフトやショベルカーなどの重りに使えるそうです。しかしながら但馬にはコンクリートブロックなどや重機の製造会社はなく、これを遠方の需要者まで運搬するコストが発生することになります。

3.特殊な技術者を確保するコスト

 炉の形式が製鉄と同じ構造になっています。最後のスラグやメタルを取り出すときはドリルで固まりに穴をあけ、真っ赤に融けた金属を冷却水槽に流し込むなど製鉄の技術者が必要です。万が一のトラブルに備えて、たくさんの専門的な技術者を抱えておく必要があります。


 この方式は名古屋という臨海部に大きな製鉄所があり、重機の製造会社があり、コンクリートやアスファルトの大量消費地をすぐ近くに持つ小牧市だからこそ合理的に運営できる施設であるといえます。

 とはいえ、ゴミの焼却灰を増やさない努力は但馬の私たちも続ける必要があります。ごみの減量化や分別による資源化に一層取り組まなければならないと考えました。