視察の2日目は同じ長野県にある上田市です。

 上田市は合併する前の出石町が、1706年に信州上田藩より仙石政明が出石藩主として入り、逆に出石藩主であった松平忠周が信州上田藩の藩主となるという、まるで藩主の交換のような形式になった縁と、仙石氏によって蕎麦が出石にもたされたという逸話から姉妹提携をむすび、豊岡市に合併した後も、その友好関係を続けている遠くても身近な親しい自治体です。

上田市の歓迎
写真 : 歓迎頂いた「上田市議会観光産業振興議員連盟」の方々


 折しも、NHK大河ドラマ「眞田丸」の放映中ということもあり、真田幸村の赤い陣羽織すがたで、上田市議会議員の方々の厚い歓迎を受けて感激しました。

 今回の視察の目的は二つです。一つが観光振興策です。

 豊岡市では外国人観光客の誘致や、つい先日開設された豊岡観光イノベーションによる着地型のツアーの提案など、効果的な情報発信が中心ですが、長野市では今回のNHK大河ドラマにみられるような撮影地になることで情報発信を行うフィルムコミッションがメインになっているようです。

 すでにかなり前から実績を積まれ、その効果は大きなものであるようです。他の都市でも行われていますが、参考になったのが

1.ロケ地になりそうな素敵な上田市の風景をつづったパンフレットを作成することで、新たな魅力の発見につながっている。

2.アニメーションのロケ地にもなることで幅広い層に情報発信がなされている

3.市民がエキストラなどで参加することで、地域にも元気がうまれている

 などでしょうか。

 非常に興味深かったと思います。フィルムコミッションに取り組まれている自治体は兵庫県内にもあり、実際に撮影現場に鉢合わせになったこともありますが、こうした場合において、一般の観光客に制約が行われることもありますので、そういった観光客への配慮や、おもてなしをどうするのかについては慎重に行う必要もあるとは思いますが、海もあり、山もあり、城下町もあり、温泉街もあり、田園地帯もある豊岡市にとっても可能性の高い政策であると思います。


 もう一つのテーマが商店街の活性化です。

 上田市は約16万人の市であり、その中心地には多くの人が集中して居住されていて、豊岡市よりも大きな市街地を形成されています。

 上田駅の様子
写真 : 大河ドラマで盛り上がる上田駅の様子

 上田駅には大河ドラマの舞台である上田市を目指したくさんの観光客がおられますが、実際に市街地を歩いてみると、少し寂しい感じさえありました。

 上田市には4つの商店街があり、市としても様々な角度で活性化の取り組みを行っておられます。ユニークな若者のお店が空き店舗を利用して生まれてきてはいるものの、駅のそばに大型店舗が出店して客離れが進んでいる様子が見て取れました。

 豊岡市のようにバイパスができて空洞化している状況とは異なり、市街地の人口は増えているものの、同じエリアにある大規模店舗との競合に苦しんでいるという特徴が見えました。

 そこで、上田市では消費者の方々を対象にした商店街と大型店舗とをどのようにとらえているのか詳細なアンケートをとっておられました。内容は商店街が消費者のニーズをとらえ切れていないなどの指摘もあり、豊岡市にとっても参考になるものではないかと思われました。

 上田市議会 議場
写真 : 上田市議会 議場の様子

上田市さんも、コンパクトシティーや交通網の活用などでさらに活性化を進めていかれるようです。すでに、商店街の皆さんの自主的な活動が行われ始めており、新たな突破口になる期待も出てきています。期待して注目していきたいと思います。

 
 姉妹提携市として素晴らしい活躍をされている上田市さんでした。新幹線で首都圏と時間的な距離が縮まったことで、豊岡市と比べると観光地としては恵まれた環境でありますが、それに満足されずに議会も一緒になって観光振興に取り組まれる姿には感銘を受けました。

 今年も出石お城祭にも参加していただけるのと思いますので、これからもお互いに刺激し合える姉妹都市の関係を続けていきたいと思います。
 
 上田市の皆様に心よりの感謝を申し上げたいと思います。