昨年の12月定例会で行った私の一般質問についてご報告をいたします。


 豊岡市に甚大なる被害をもたらした平成16年の台風23号から昨年で10年を経ました。その時に私も一消防団員として土嚢を積んだり、行方不明者の捜索を行ったり、災害ゴミの収集にボランティアで当たったりと、その厳しい災害の現状を目の当たりにしました。


 そんな中で、課題に感じたのが避難の誘導についてです。危険が迫っているので避難を促しても避難していただけなかったこともありますが、一部の地域では、体が不自由で自力で避難できない方を家族が必死に水に腰までつかって避難所まで避難したという話も聞いたりしました。


 このご家庭はご家族がいらっしゃったので何とか無事でしたが、できれば地域の方々の支援の手があればより安全に避難できたでしょうし、一人暮らしの体の不自由な方は万が一の時にどうすればいいのかと思うとぞっといたします。


 そこで、体の不自由な方々の災害時の避難体制について当局に質問をいたしました。




災害の避難

 じつは私は消防団の分団長だったころに要避難行動支援者名簿というものをいただいておりました。

 

 これは体が不自由な方の中で、同居の家族などがいないなどの理由で支援が必要と申請された方のリストです。当然、個人情報ですので取扱いには厳重な注意をせねばならず、一人で管理しておりました。


 その時からずっと疑問だったのが、この支援者名簿を元にどのタイミングで誰が支援に向かうかということです。実際の水害時には消防団員は土嚢積みや交通規制など職務が多くありますし、大地震の際には、救助活動よりも、生き埋めになった人の命を即座に奪う火災の鎮圧に向かいます。初動ではなかなか避難活動に人を割けないことが予想されます。

 

 実は災害時に市長が発する避難命令は各区長が受けます。各区長と民生委員さんもこの要避難行動支援者名簿を持っておられて、各区長が地区の司令塔になるようなのです。 



区長の指示により活躍が期待されるのが各地区にある自主防災組織です。避難指示が発動された場合、あるいは区長判断で避難指示が出た場合、自主防災組織が名簿に従い要援護者の支援に当たるように計画されておるようなのです。


 しかしながら、この計画を各区がしっかりと理解されているのか疑問に思います。


 平成26年の秋に発生した長野北部地震において震度6弱の直下型地震が白馬村を襲いました。狭い範囲で住宅54棟が全半壊し、多数の人々が下敷きになりましたが、各区長の下に約10世帯を束ねる組長がいて、その下に2名の伍長がおられ、すぐさまに安否確認を行い、効率的な救助活動が開始され、死者を全く出さないですんだのです。これは「白馬の奇跡」といわれて、今や減災の観点から注目されております。


 しかも、長野県では災害時住民支え合いマップといって、だれを誰と誰が助けるのか、具体的な名前まで上げて要援護者の避難を混乱せずに具体的におこなえるようにされてます。


 こうした白馬村の事例と豊岡市の実情を考えると、果たして同じように豊岡市で大きな災害が発生した場合、速やかな非難が行えるのか疑問に思います。


 平成25年度時点で豊岡全体の区、357か所のうち、各自主防災組織で要援護者支援マニュアルの策定状況は102区、28.6%にとどまります。あまりに少なすぎますし、これは毎年の更新が必要になるのですが、果たして実施されているのかどうか疑問であります。


 また、自主防災組織の訓練実施状況が131区、36.7%にとどまり、さらには避難訓練、救出救護訓練、情報連絡訓練実施率は79件、22.1%にすぎません。



 果たしてこれで実際の大規模災害において混乱なく機能するのか不安に思います。


 市当局に対し、様々なPR方法を用いて、要援護者避難支援体制の整備と訓練の実施を促すように強く要望しましたところ、検討していただけるようであります。


 しかしながら、本当の災害時の初動体制での主役は私たち市民一人一人です。ぜひとも各地区で非常時の取り組みを行ってほしいと思います。



 今年は北但大震災から90周年。阪神大震災から20周年を迎える年です。城崎でも大きな火災が発生しました。今年は災害に備えて、災害に強い街づくりを目指す年にしたいと思いますし、1人1人が取り組んで災害発生時の減災に取り組む年にもしたいと思います。