経済対策について今回は製造業にもスポットを当ててみました。私も製造業を営むものですが、お客さんの様子を見て、またお話しする中で気が付くことがあります。その部分をテーマにしてみました。


 豊岡市の製造業は観光業と建設業と並んで豊岡市の雇用を支えている産業です。また、外貨を稼いでいる重要な産業です。


 豊岡市の製造業の特徴は何でしょうか。


ほとんどの企業が下請けや孫請けであることが多いですね。完成品を作る会社がまだまだ少なく、価格競争にさらされることが多いです。


 資材は京阪神から仕入れ、加工して域外に出荷している会社が多いことも特徴的です。よって運送費がかかりコスト的な不利さがあるのですが、但馬の比較的安くて優秀な労働力に支えられているケースが多いと思います。


 また、隣に工場がありながらもお互いにかかわりながら生産活動をおこなっているケースが少ないとも言えます。自社でできない加工工程については域外の企業に頼ることも多いのではないかと思います。


 今後の人口減少の中で労働力不足に悩むことになるとこのモデルが成り立たなくなります。いかに人件費以外でローコストに挑むのか。競争力のある製品を市場に投入できるのかがこれから重要なミッションになります。


 ところが競争力のある製品を作ろうにも、ローコストの製造方法を考えるにも、高品質の製品を作り上げるにも、それぞれが最先端の技術者や製造施設、計測器などを持っているわけではありません。中小企業の集積地であり、日本の先端技術を持つ東大阪市では「産業技術支援センター」を設立して技術支援や最先端の機器の貸し出しを行っております。こういった施設が豊岡市にも必用であると思うのです。

 現状ではこういった計測器を借りるために神戸まで豊岡の企業は出ざるを得ません。十分な結果が得られなかったらまた豊岡に戻って作り直し、また神戸へ。これを何度も繰り返すことになります。地元にあることが大事なのです。


 これを担えそうなところが一つあります。但馬技術大学校です。


 ところがここは県の学校組織で、企業の支援を目的にしていません。そして施設も最先端のものとはいいがたく、それを担えるものではありません。


 そこで兵庫県と但馬技術大学校と議論して技術支援の仕組みと設備の更新をお願いしたらいかがという提案です。

 そうすれば技術者の育成にもプラスに働くと思うのです。実際の製品開発に触れられますし、企業との距離が短くなることでOJT(実際の職場でのトレーニング)にもなります。それと、地元企業を知ることで、その魅力を知り豊岡の企業に就職を促すこともできるはずです。この学校は但馬での学生の就職も一つの目的としていますが、実際は技術を学んだら京阪神に戻って行ってしまうケースが多いそうです。


 市としては、但馬技術大学校が県の施設である上に、学校という組織であり、そういった面で交渉する余地が少ないそうです。


 しかしながら、地域製造業の発展と、但馬技術大学校の発展のために、権限や組織にとらわれず話し合い、進化を目指すことを行うことは大事なことであると思います。別の組織を立ち上げることも含めて地域経済の為に様々な努力を行ってほしいと思います。