4月の23日から25日にかけて総務委員会の管外行政視察に行ってまいりました。
私にとって初の管外視察ですから期待に胸を膨らませての3日間になりました。ようやく豊岡市の市役所の考え方とか文化が少し理解できて来たのですが、他の市町村はどのようにされているのか、特に関東の首都圏に近い大きな市のことですから非常に勉強になると思われます。
まずは神奈川県の藤沢市を訪ねました。
テーマは「公共施設マネージメント」です。
豊岡市は1市5町が合併してなんと550もの公共施設があります。多くは高度成長時代に建設されたものが多く、老朽化が目立ってきているものも少なくありません。
今までの右肩あがりの経済の頃の自治体であればすべて新築してゆくという考えでよかったのでしょうが、財政が確実に厳しくなり、医療費や福祉費用が増えてゆく状況の中では、こういう公共投資的な予算はそれを許さない状況であります。
また、人口が減少する中で、今までと同じ数の施設が必要なのかどうかということも考慮してゆかなければなりません。
藤沢市でも同じような状況で、藤沢市でさえもこれから公共投資は財政的に積極的にできない、必ず人口減少時代が訪れるという認識をもってあたっておられるようでした。
それに加えて豊岡市は合併したことにより同じような機能を持つ施設がそれぞれの地域にあります。果たしてこれがすべて必要なのかどうなのかということも考えねばなりません。豊岡市にとってこの公共施設マネージメントは今後の大きな課題になると思われます。
ずいぶん前からこの問題に藤沢市は積極的にとりくまれてたようです。
まずはそれぞれの施設の評価から始めたそうです。それぞれの施設を
1.稼働率(利用率)
2.減価償却費相当を加えたコストの明確化
3.地域別の施設等一覧
で調査し、それぞれ一目でわかるようにグラフを用いた資料を作っておられたのはすばらしいことです。これにより、似たような施設があること、稼働率が低くて、コストの高い施設が把握できたことなど非常にわかりやすいものでした。
これを行政としては、
1.新築してより便利にするもの
2.修繕により継続して使えるようにするもの
3.廃止するもの
に再編するそうですが、新築する場合でも似たような施設を一つにまとめるなど複合化を基本方針とするという点がとても斬新な考え方だと思います。
藤沢市のもうひとつすばらしいのが建物そのものを一つととらえずに、水まわり、屋根や壁の防水、電気施設など設備も管理してゆくという考え方です。建物が60年ほどの寿命としても、それらの設備はそれぞれもっと短い耐用年数になります。それぞれの施設の設備の要素も公共施設マネージメントシステムの管理項目とされるそうです。
これにより、施設そのものが長持ちしますし、年度ごとの修理改修費用が多い年や少ない年がないように費用を平準化することもできるというのは、私企業的な考え方で素晴らしいですね。
さらに素晴らしいのが、こういう詳細な資料をもとにもっともよいと思われる案を市民の代表者グループである郷土づくり推進会議に提示し、意見を聞き、別の案があれば提案してもらうという方法をとるということです。
ヨーロッパではこういう街の施設についての意思決定に市民が参加するというのは当たり前のことなのですが、それに近いことをされているのも素晴らしいことです。情報の公開と、意思決定への市民参加は地方自治の基礎ですから。
今回、このプロジェクトの中心的役割を担った市職員の若さと、その目の輝きにもうれしくなりました。大変な作業だったと思いますが、外部委託を極力避けて、低予算で中身のあるものに仕上げられています。システム選定も様々な事情を鑑み、業者任せでなく、要件にあったシステムを総費用2,000万円程度で導入したのも素晴らしい話でした。
豊岡市の学ぶところは多いと思いましたし、中身全体も今後の議論の中でしっかりと参考になった素晴らしい視察となりました。
関東大震災以来、市役所の本館などが使用不能になり、新庁舎が建つまで、とても不便に仕事をされておられると思いますが、藤沢市の職員の皆様にはお体には気を付けられて、ご活躍をお祈り申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。