円山川や稲葉川河口の築堤などの工事が国土交通省や県、そして市の職員の皆様の尽力により、もう間もなく一定の目途がつこうとしてきています。


 大きな河川の治水工事が終わると今度は地域の雨を河川に流す小規模水路の内水の問題に取り組まねばなりません。これは基本的には市の管轄で行う事業となり、平成26年度も福田周辺の道路冠水を解消すべく検討が始まります。しかしながら内水の問題は全ての水路にかかわりがあり、豊岡市内でも多くの場所で顕在化している問題です。現状は床上浸水と道路冠水の顕著な場所を優先的に取り組まれるようです。


 内水問題は治水問題の一つとして12月の議会にて一般質問で一つの投げかけをしました。統一して管理する部署を設け、統合的に調査し、対策をまとめ、計画として公表すべきだということです。これを感じたのが私の地元の下水路のケースを調べてのことです。


 この水路は源を稲葉川の左岸の広い地域の雨水を円山川に流す水路です。始まりは久田谷地区から道場、夏栗の水路と合流し、久斗、祢布、東構、国分寺、江原、日吉、日置とながれるとても長い水路です。



水路

 まずは起点です、この水路は久田谷の稲葉川に設置されたダムから一部を水路に流れるように作られています。大きな川から右に見えるダムを経由することで非常に安定的に水がひけるのでこの下の広く広がる水田にとってありがたいものです。



水路

 これがその延長線上の水路です。豊かな水が流れています。しかしながら過去の台風においてはこの左側の道まで水があふれていました。消防団員で見回りに訪れて驚き、歩くこともままならない状況で、緊急措置として道路の通行止めをおこなったくらいです。台風などの緊急時に給水を制限するなどされていたのかを確認したいものです。



水路

 その水路はここでめずらしい十字に交差します。久田谷から流れる川との合流です。向こう側はダム、右が久田谷、左が稲葉川、手前が都市部へとつながる水路です。


水路

 これがダム側から見たところ。ここで都市部への水門を閉鎖すればここから上流の水を稲葉川に処理することができます。



水路

 さらに下流に流れ道場地区をすぎ、夏栗区と久斗区の境界あたる地区の分岐点です。右は久斗の住宅密集地に流れ、緊急時の消化活動の生命線になる水路です。この流れはまた左の地区外を流れ夏栗区の水と合流する本流に合流します。



水路

 これが久斗区から祢布区の広い水田をカバーする水路です。とても豊かな水の流れは多くの水田に水を供給し、豊かな恵みを与えてくれます。



水路

 ここで水路は一気に狭くなり、分岐を迎えます。ここで日高地区の市街地に入ってゆくのですが、これにより河川の考え方が大きな変化を迎えるのです。

 ここから上流は紹介した通り、農業の用途に作られています。よって管理は農林関係の行政課になります。作られた財源もその理由であります。よって利水が大きな目的であり、治水・防災は優先されていません。

 

 ここでの分岐の右の流れの一つは江原地区を流れ都市下水となるために下水系の行政機関となります。農業水路は水路を蓋をして地下化することはできませんが、都市下水であればそれができるのでそのように管理されます。残りの一部は稲葉川に流れ出ます。この流れを拡大できればこれまでの雨水を稲葉川に処理できる可能性があります。


 左の流れはが本流で日高支所に向かってゆきます。



水路

 これが日高支所と日高高校の間を流れる水路です。ここは開発のながれから別の行政化が担当しているようです。街づくりの観点から川幅、深さともに拡大されて非常によく整備されています。

 しかしながらこの先の左側の路は非常に激しい台風の際には何度も川からあふれた水に冠水してしまっています。



水路

 JRの下をくぐる水路です。一気に湾曲して狭くなっています。先ほどのオーバーフローはこのせいなのでしょうか。

 このあたりからまた下水系の管理となるそうです。



水路

  その水路はまたもや流れが分かれます。正面がメインの円山川に流れる水路。左は別の地域に流れ農林系の管理となるそうです。



水路


 いよいよ長い水路の終末です。ここが最下流ですが家々に挟まれていますし、幅も2.5メートルほどで最下流と思えない川幅です。



水路

 ここが水路の水を円山川に流す河口です。水門になっていて円山川の増水時に逆流を防ぐようになっています。開けたままにすると逆流して大変なことになります。実際、台風23号の時にはこのパラペットの堤防の上端から30センチまで円山川の水位が上がり、この水路の流れは行き場を失って周囲にあふれ大変な状況になりました。

 

 この長大な流れを受け止める河口部はあまりに狭い印象を持っています。


 全体を見渡すと、河川の幅が広がったり、狭くなったり複雑になっています。管理する行政機関が一つの流れであるのにバラバラになっていること、そして市街地以外では農地に対する用水という考え方が主になっていて緊急時の管理があやふやではないかという疑問です。


 この水路のような例は各地にたくさんあるようです。内水を考えるときに大雨に備えて一つの機関が水路全体の流れを専門家の指導を仰ぎながらシミュレーションし、設計・工事・管理する必用があり、非常時も用水という考え方から離れて、治水という観点で水門を管理する体制が必要ではないかと思います。


 12月の議会での一般質問で終わりではなく、今後も私なりに調査研究し、主張してゆきたいと思います。