豊岡市の市政は今すぐに手当てすべきことと、将来ある姿を見越して今から準備すべきこと、将来への投資として戦略的に行うべきことの3つに大分されると思います。


 それらを考えるうえで、最も大切なことが人口問題です。少子高齢化、人口減少などという形でメディアを通じて皆さんもご存じであろうと思います。


 それでは但馬では具体的にはどのような状況が予測されているのか皆さんは具体的な数値としてご存知でしょうか?そしてその時どのような状況になるのでしょうか?よく考えてみたいと思います。


 まずは人口の予測です。



但馬と各市町村の人口推移予測
 少し小さな文字で申し訳ありませんが、非常に残念ながらどの地域も右肩下がりに推移していくと予測されております。

 これを見て恐ろしくなります。2015年を基準とすると20年後の2035年には現在の約79%の6万4000人程度まで減ります。40年後の2055年には約58%の4万7000人になるというのです。但馬全域を見ても同じような状況です。実はこの数値は各地区の人口構成やこれまでの出生率、平均寿命、人口流出の割合を基準に算出したもので、地域のサービスや教育、経済の状況をみてさらに流出が激化すればさらに予測以上に減少する可能性さえあります。


 さて、今度は年齢別の人口の推移の予測です。




但馬の年代別人口推移

 どのようにお感じでしょうか?右の比率の図を見ると人口の減少に伴い2055年には比率が半分というイメージでしょうか?


 しかし左の図を見てほしいと思います。少々乱暴かもしれませんが、傾向として12歳以下の人口を子供たちの数、15歳から64歳の人口を労働人口としてある程度の目安でとらえてみるといかがでしょうか・


 2015年のお子さんの数は約2/3に減少します、40年後には1/3になる傾向にあるというのです。一部の学校では増えているということもありますので、今でも少なくなった子供たちの数が20年後にはさらに半分になっている学校も続出する可能性があります。

 その時にどうするのでしょうか?中学校の部活は成り立ちますか?プラスバンドはできますか?スポ小は大丈夫ですか?学校を統廃合することでひとつの学校の生徒数を維持する方法もありますが、学校数を今の半分以下にするとどのような影響があるでしょうか?スクールバスは?課外活動は?


 就労者数も大幅に減少します。20年後に70%以下になり、40年後は半減です。企業がいくら頑張っても働いてくれる人がいなければどうしようもなくなります。但馬の企業は就業者の確保にも悩むことになります。


 全国的にこのような状況ですが、実は全国47都道府県の中で9都道府県が人口増加をいまだ維持しております。このような激しい人口減の中にあって東京は増加すると予測されています。減少する道府県の中でも都市部では増加、あるいは減少が穏やかなところがほとんどです。

 人口の減少によって日本は2つに分かれるといっても過言ではないのです。そんな状況の中、国や県もある程度の手を差し伸べてもらえると思いますが、国も大きな債務を抱え、県も増加する地域と減少する地域を両方見ないといけない中、これからは各市町の努力により、増加は難しいとしても、減少を緩やかにすべく手を打って行かねばならないと思います。


 いまから人口の減少の度合いを緩和すべく、他の地域とは全く別のアプローチで産業を育て、住みやすく、魅力ある街づくりを今からすぐに始めなければなりません。


 また、人口が激減した時に備え、いまから教育や福祉、経済をいかに支えてゆくのか、都会とは全く違った、その地域にふさわしい仕組みを考えてゆかねばなりません。


 20年後考えたのでは人口減少の歯車は加速してしまってどうしようもない状況になっていると思います。今からすぐに考え、実行すべき時なのです。



<参考資料>


「兵庫県将来推計人口について」 平成20 年5 月 兵庫県企画県民部政策室ビジョン