４月に入ってから裁判所には何回か足を運びました。４月の人事異動で人が入れ替わりましたが，書記官室を見て感じることは，女性が一段と増えたな，ということです。以前の同僚などに聞いたところによると，裁判所の職員（書記官，事務官，家裁調査官など）の女性割り合いは，５０パーセントに迫る勢いか，５０パーセントを超えたかというところまできているそうです。
裁判所書記官を養成する，書記官研修所の研修生職員に割合は，女性がかなりの割合を占め，家庭裁判所調査官研修所に至っては，８，９割くらいは女性だという噂を聞きました。
私が書記官研修所で研修をしていたのは，平成３年４月から平成４年３月までです。裁判所書記官研修所は，大学の法学部出身者で構成される１部養成部とそれ以外の出身者で構成される２部養成部に分かれます。私は１部養成部にいて，１年研修をうけました。
私がいた頃の一部養成部は，全体で１４０人，内訳は男性１００人，女性４０人でした。研修生職員は，２５歳から２８歳くらいまでの人が多く，全国各地の裁判所から研修に来ておりました。その年齢層から考えると，そこには彼女や結婚相手をここで見つけてしまおうという男性が結構いたので，そこには熾烈な争いが・・・。今はどうなっているかわかりませんが，少しは競争は和らいでいるのではないでしょうか。
ただ，女性が増えているために問題も起きているようです。
以前の同僚で主任書記官をしている人から話を聞く機会があったのですが，管理職の管理が大変になったといっていました。暑気払いや忘年会という，職場の親睦をはかるイベントについは，出席率が悪くなっているようです。仲のいい女性たちが集まって「女子会」みたいなものを作り，独自に行動してしまい，職場全体のイベントには参加しないという現象も起きているようです。
当然産休育休のフォローに伴う業務を多くなっているようです。
そして，特に問題が大きいのが宿日直の問題。宿直というのは，夕方５時から翌朝の８時３０分までの令状や勾留質問，それに書類の受付などの業務を行います。日直というのは，土日祭日などの休庁日の業務を行います。これを順番に各職員に割り当てています。ところが，裁判所は伝統的に「母性保護」を理由にして女性に宿日直の割り当てをしていませんでした。しかし女性が増えてくるにつれ，男性職員の宿日直の負担が多くなってきたため，昼間の業務くらいはやってくれよ，ということから日直だけは女性に割り当てようということになり，いくつかの裁判所では女性に日直を割り当てています。ただ，まだ日直も含めて宿日直を女性職員に割り当てていない庁があるそうです。
女性職員の中でも意見が分かれていて，時代の流れや男性職員の負担軽減を理由に宿日直を積極的にやろうという立場の人もいます。それに民事部の書記官などは，普段やることができない勾留質問や令状受付などの仕事ができるため，色々な仕事を覚えることができるのでやってみたいという積極的な方もいらっしゃいます。逆に，伝統的な「母性保護」を理由として宿日直女性割り当て反対論者もいます。
私は，弁護士になって夜遅く警察署に接見に行くことがあるのですが，女性警察官が電話番とか何かあったときのための待機などをしているのは珍しくありません。婦警さんについては，女性だからといって当直勤務が免除されているということはないようです。私の妻は結婚するまでは病院の検査課に勤務していましたが，宿日直業務はあるそうで，女性でも例外なく割り当てをうけていたそうです（というか，検査課はほとんど女性なので，女性に割り当てをしないとやっていけないそうです。）。そういうことを考えると，「母性保護」という理由が今でも説得力があるのか甚だ疑問ですが。やはり裁判所というのは，外部の人に対してではなく，内部の処理についても保守的な面が強いところがあるのでしょうか。
この議論は，裁判所の中でも，私が知っている限り２０年以上はやっているはずですが，いまだに保守派は全面後退ということにはなっていないですね。
これからますます女性が増えてくるので，一体どうなるのでしょうか。
色々な弁護士がブログを出しています。
ブログランキングにも参加しています。
よろしければクリックをお願いします。
↓ ↓
http://www.atsugi-rikon.com/
http://www.atsugi-souzoku.com