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私の事務所は,平成20年から新件受任件数を受任ルート別に統計をとっています。今年も年間の統計が出ましたが,3年間の統計を見比べてみると特徴がわかります。
1つは,法律事務所のクレジットサラ金関係の債務整理事件(いわゆるクレサラ事件)の受任件数が減少していることをよく耳にしますが,当事務所では,件数だけからすれば平成21年と平成22年はほとんど同じでした(ただし,過払い報酬減少によりクレサラ事件の売上は落ちています)。
ただ,法テラスや弁護士会の法律相談,いわゆる外部相談から受任するクレサラ事件は大幅に減少しています。
ちなみに,当事務所の弁護士会及び法テラス相談から受任した年間クレサラ事件数は次のとおりです。ちなみに,( )内はその年度の事務所の弁護士数。
平成20年 98件 (弁護士数2人)(弁護士1にあたり49件)
平成21年 51件 (弁護士数3人)(弁護士1人あたり17件)
平成22年 66件 (弁護士数5人)(弁護士1人あたり13件)
弁護士数が増えれば外部相談の割当日が増えて,法律相談をする件数が増えて,同時に新件受任件数が増えるはずですが,そうなっていません。弁護士1人あたりの割当日が3年前に比べて大幅に減ったことや,利息引き下げなどで借金問題で法律相談を受ける人自体が少なくなっていること,また少なくなった相談希望者が,そもそも弁護士会や法テラスの相談を利用しないことなどがあげられると思います。
クレサラ事件で相談を希望する人は,HPなどの広告をみて相談に行く人が多くなっていると思います。
2つ目は,外部相談の中でも弁護士会の法律相談から受任する新件がかなり少なくなっています。
平成20年は事務所の新件受任件数の全体の中の20パーセントが弁護士会法律相談からの新件でしたが,平成21年は10パーセント,平成22年は3パーセントになってしまいました。
3つ目は,タウンページの広告効果が平成20年に比べて,平成21年,22年は落ち込んでおります。
タウンページからの新件受任件数は次のように推移しています(一般事件及びクレサラ事件双方含みます)。
平成20年 63件
平成21年 46件
平成22年 42件
これはインターネットの普及により,HPをみて法律相談を受ける人が増えてきたからだと思います。ただ,パソコンをつかえないお年寄りなどは,まだアナログ媒体にたよるでしょうから,1ページ広告とか4分の3広告など大きく目立つ広告を出しておけばある程度はお客さんが見てくれると思いますが,費用が高いので費用対効果は以前よりも大幅にダウンしています。
4つ目は,国選刑事事件は増加しています。これは,弁護士数が増えたからです。1人あたりの国選担当事件数が増えたわけではありません。
5つ目は,やはりインターネットからの依頼者が多くなっています。
平成20年 31件
平成21年 107件
平成22年 132件
当事務所では,外部相談→受任,というルートが減少し始めたので,思い切ってHPをみたお客さんに来てもらうという方針を決め,平成21年から総合サイトを作成し,その後債務整理,交通事故,相続,離婚と分野別の独立した専門サイトを立ち上げました。
この効果はかなりあり,HPからのお客さんは大幅に増えています。
以上から見れば,最近よく聞きますが,弁護士会や法テラスの法律相談に行きお客さんの依頼を受けて事務所の財政的な基盤を維持するという方法はとれなくなってきているのではないでしょうか。
私などが独立した6年前は,弁護士会の法律相談に行き,国選事件や当番弁護士など弁護士会が用意してくれたシステムを使えば自然に事務所の運営をするに十分な事件数を受任できました。事務所のマーケティングなど考えず,とにかく弁護士会が用意してくれたシステムにのってきた事件を処理していけばやっていけました。今ではそれはできないので,自分で自分を使ってくれる依頼者を確保しなければなりません。そういう意味では,事件処理しか知らない,というのでは独立はかなり厳しいのではないでしょうか。
いずれにしろ,いいか悪いかは別にして,ここ数年間の業界をめぐる環境の変化のスピードにはついていくのが大変です。
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