24.ネズミの寿命 | 手稲山・発寒川からの手紙

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北海道の野生動物や自然の状況についてなど手書きの絵などによって詳しくお伝えします。

 温度調節を施し、栄養のある餌を十分与えた野ネズミを飼育室で育てると、生まれてから2年余りも生存した記録があります。それでは実際の森林ではどれくらいの寿命なのかを知るため、札幌に近い野幌の森林で調べました。

(1)調査地をトドマツ針葉樹林・広葉樹林・針広混交林・ササ地に運びました。面積は合わせて4ヘクタールです。

(2)これらの森林にそれぞれ100個ずつ生け捕り用の金網ワナを、毎月1週間、これを8年間続けました。冬は雪を掘ってワナを仕掛けました。

(3)捕らえたネズミには記号をつけ、性別・体重・繁殖状態・場所を野帳に記録してから放しました。

(4)8年間の調査で、エゾヤチネズミの新個体が2000頭あまり捕獲できました。

(5)これらのネズミの「生命表」(戸籍簿)を作り、生存期間(寿命)を計算したところ、平均寿命(生後1ヵ月後の初捕獲から姿を消すまでの期間)は約4ヵ月でした。

(6)そのほかいろいろな新発見がありました。A:親ネズミの胎児数・出産数から推計して子ネズミは、生後から離乳期までに半数が死亡すること。B:親まで育ってからも8割を越えるネズミが子孫を残すことなく死んでしまうこと。C:タネや草などのネズミの食べ物は森によって異なっており、その森にすむネズミの生息数や寿命と深くかかわっていること。



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