ハムスターの悲しい知らせ | 手稲山・発寒川からの手紙

手稲山・発寒川からの手紙

北海道の野生動物や自然の状況についてなど手書きの絵などによって詳しくお伝えします。

手稲山・発寒川からの手紙


(1)今朝、雌のヤンヤンが巣(ドーム)の中で冷たくなっているのを発見しました。

(2)老衰のせいだと思います。体重は、我が家にきたときと同じ17グラムでした。雄のクーエンがイジメルので、彼を小さな籠に移し、クーエンを広いケージに住まわせてきました。よく馴れていて手に乗るので可愛がってきていました。碩人と映画を観た日には、給水瓶やきれいな給餌器をビッグ9階の店から買ってきて、どちらもこの冬を乗り切られるように気を配ってきたのですが・・・。大きな部屋で、車を元気よく回し、人馴れしていて手のひらに乗ってきたヤンヤンが先に死にました。

(3)このようなことはその兆候を以前から気になっておりました。それは、我が家に来てからずうっと体重が増えずクーエンの半分くらいだったこと。また、11月に入りクーエンは部屋が5~7度になる夜間温度に適応して真っ白な冬毛に換えたのに、ヤンヤンは夏毛のままでした。このことは、野生のユキウサギや野ネズミや野鳥などでは冬になると必ず起きる現象です。私のむかしの野ウサギの飼育実験では、日長時間が秋になって短くなるとホルモン分泌の関係で、若い個体は冬毛に変わる(換毛)のですが老いた個体では冬になっても茶色の夏毛のままでした

(4)ではこの機会に、小型哺乳動物の寿命について補足説明をします。ハムスターと同じネズミ属の北海道産エゾヤチネズミの野外での寿命を、30年も前にいまは開拓記念館のある野幌の森林で10年間、捕まえたネズミに記号をつけて放し、そのネズミがどの森で生活していつ死んだかを追跡して調べました(生命表を作る研究)。この結果、さまざまな森林の住み場所(餌や環境、敵の存否など)の違いによって差はあるが、平均寿命は6か月でした。飼育室でも試みてみました。温度管理をほどこし十分な食べ物を与え、病気や敵のいない部屋で育てた場合でも長生きできたネズミの平均寿命は2倍の1年ほどでした。これは、「生態的寿命」と「生理的寿命」の違いであって、生活や医療条件や環境が改善されて戦後に平均寿命の延びた日本人社会にもあてはまります。

(5)今日から、クーエンに夜間は毛布をかけます。来年まで大事に育て、春には、゛動物学者 ゛の私がペットショップで若い嫁さんを選び、買い求めてつれてきます。

(6)ヤンヤンを、まだ雪の積もっていない我が家の前庭の、オンコの木の根元を掘って明日、埋めます。