前田金属所が取り組んでいる粉砕技術に関してご紹介します。
粉砕技術といっても一概に言えるほど簡単な技術ではないというのをまず最初にお話します。
世の中には『相性』というものがあります。
例えば、人は色々な動作をする事ができますが、野球選手にサッカーをやらせると上手くできない。
マラソン選手に短距離走をさせるとそこそこの記録しか出せない...など、
ある一定の秀でた能力を持っているモノはその秀でたモノでは素晴らしい結果が出せても、それ以外になるとなかなか難しい面があります。
これを粉砕技術に置き換えてもらうと分かり易いのですが、柔らかいアイテムを『衝撃』という粉砕技術を使うとぐにゃっと伸びてしまい良い結果がでにくかったり、硬いアイテムを『剪断』(切る・ひきちぎる)という粉砕技術を使うと機械が壊れてしまったり。
あらゆるアイテムには特性があり、その特性を見極めて、最も効率良く粉砕する機械を選ぶというのが
粉砕技術においては最も重要な部分だと言っても過言ではありません。
そして、我々、粉砕業界ではそれぞれの会社がそれぞれの得意な分野の粉砕技術を持ち、
自社の不得意な分野が来れば横のネットワークで融通しあうという事も行なっております。
私たち、前田金属所で得意な分野と言いますと、
・剪断
・衝撃
・摩擦
この分野に自信を持って取り組んでおります。
・剪断というのは鋭利な刃物を設置した粉砕機で、アイテムを切って細かくしていきます。
もちろんこの刃物は機械の内部に設置されており、機械内部に投入されたアイテムを1分間に何百・何千回転もしている刃物が次々に切っていきます。
適したアイテムの一例は、樹脂ペレットなど、ハサミで切れるようなアイテムです。
一般的にカッター式粉砕機と呼ばれます。
・衝撃というのはアイテムに色々な種類の衝撃を与えて粉砕していきます。
与える衝撃は、圧力であったりぶつける力であったりします。簡単な言い方をすれば金づちで叩き割る、そういったイメージを機械内部で行います。
適したアイテムは、硬いもので金づちで割る事のできるようなアイテムです。
一般的には衝撃式粉砕機と呼ばれます。
・摩擦はすりつぶす力で粉砕していきます。
これは熱に対して優位性があり、機械内部で起こる摩擦熱(発熱)をコントロールする事ができ、メルト(溶けやすい)アイテムを細かくする時に使用します。
適したアイテムは、熱に弱く、熱が加わると変色したり溶けたりするアイテムに有効です。
一般的には摩砕(まさい)式粉砕機と呼ばれます。
これらは代表的な粉砕方式ではありますが、前田金属所ではユーザーのご希望に合わせて色々な方式を組み合わせて粉砕し、目標の粉砕粒度まで仕上げていきます。
あくまで原料となるアイテムを研究し、物性を理解し、最も効率良く且つ目的の粒度(細かさ)に粉砕する。
それが私たちの目指す粉砕技術と言えます。