5月は、現状を愉しむ。


今あることに目を向けることも、大事かなと。




 人間は、時としてないものねだりをしたり、新しいものや出来事を求めたりするものです。たしかに、今まで手にしたことのないものを手にする喜びや、新しい体験をした時のワクワクする思いは私たちを刺激します。一方で、すでにあるもの、自分が持っているものに目を向けることもとても大事なことです。今あるもの、今の自分が持っているものを見つめ直したり、磨いたりする作業も大事なことだと思います。本棚にある本を読み直したり、長く使い続けた服や靴を修理しながら使い続けたり、そんな今あるものを愉しむことも大切なことです。

 「モノ」だけでなく「ある状態」についても同じことが言えるのではないかと考えることがあります。たとえば、学校。枕崎市には小学校が4校、中学校が4校、しかも同じ校区に1小1中という「状態」です。この現状をどう捉えるかは人それぞれかもしれませんが、この現状を愉しむことはできそうな気がします。「恵まれている」と感じることもできなくはないと思います。

 今年も多くの先生方が枕崎市に転入して来られましたが、その先生方の前任地の学校のようす(状態)を伺ってみると、全校生徒が10人に満たない学校だったり、1000人を超すマンモス校だったり、いろいろです。そのような話をお聞きすると、教育現場の環境が良い、悪いということではなくその状態でどうやっていくか、事を進めていくかが大事なのだろうと感じます。その環境、状態を自分にとって「恵まれた」ものとする意味でも「現状を愉しむ」という感覚は、先生にとっても、児童生徒、保護者にとっても、とても大事な事なのではないかと思います。

 私たちの暮らしの中でも、自分の周りをもう一度見つめて「現状を愉しむ」ことを探してみましょう。


枕崎市長 前田祝成