10月のコラムは読書の効用について、思うところを書いています。



本を読む。(効用)


「本を読むことの効用は何か」と問われると、私は「時間と知恵をいただくこと」と答えます。大学時代から本格的な読書を始めた私が最初に手に入れた本は、ハードカバーの小説で900円という値段がついています。買った当時はまだ消費税のない幸せな(?)時代でしたので、本体価格900円のみです。この値段で、あれだけ楽しい時間を手に入れて、10代後半の自分にとって、とても面白い、痺れるような体験を共有できる。小説に限らず、さまざまなジャンルの本で、自分では考えつかないような知恵や学びを本から得られることを体感したことのある方は多いと思います。

 私は大学生になってからようやく読書といえるような読書を始めていますので、多くのひとが読んでいる日本の文豪の名作と言われるようなものはあまり読んでいません。かなり歳を重ねてから夏目漱石の「それから」を読んだ時に、「しまった、小さい頃からもっと本を読んでおけばよかった」と思ったことも事実です。小学生、中学生の皆さんは私のような後悔をしないように読書の習慣をぜひ身につけてくださいね。

 さて私は今、江戸時代から明治維新を経て、2度の大戦を経験し、戦後70年以上の時代を日本人がどんな思いで歩んできて現在に至るのか、ということを考察するような本を読むことが増えてきました。コロナ禍になって2年半、今年はロシアのウクライナ侵攻、元首相の暗殺、そのほかにも国内外で色々な事が起こり、今に対するいろいろな考えが発信され、交差しています。自分の考えを整理する上でも、これからをどう生きていくかを考える上で、そのようなジャンルの本に手が伸びているのかもしれません。

 読書の秋です。ぜひ、今の自分にとって栄養になるような本を読んでみてはいかがでしょうか。


枕崎市長 前田祝成