令和4年枕崎市議会3月定例会の開会にあたり、令和4年施政方針を発表しました。



〈冒頭部分を下に記します〉

<はじめに>


 本年1月16日告示の枕崎市長選挙において市民の皆様のご信任をいただき、市長として二期目の市政運営にあたることとなりました。市民の皆様の御支援に心から感謝申し上げます。約二十八年ぶりの無投票当選ということで有権者の皆様には民意を示す機会が無かったという事実を真摯に受け止め、一期目以上の重い責任を認識すると同時に、これから四年間、これまで以上に枕崎市に尽くし、日々精進していく覚悟です。よろしくお願いいたします。


 それでは、令和四年三月議会の開会に当たり、市政運営の所信と基本方針について御説明し、市議会並びに市民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。


<新型コロナウイルス感染症について>


 新型コロナウイルス感染症はこれまでの二年間で六度の感染拡大局面を経て、現在でも収束を見ていません。初期の感染拡大防止のための市民への啓発に始まり、医療提供体制の確保、PCR検査助成事業の実施、希望する方へのワクチン接種など、感染防止対策を行うとともに、雇用の維持、事業の継続を目的として社会経済活動を動かし続ける施策、併せてアフターコロナを見据えた地域社会づくりに、職員の想像力と知恵を総動員して、引き続き取り組みます。


<産業競争力向上について>


 社会経済活動を動かしていく原動力は、本市の強みである地場産業の競争力強化です。枕崎漁港を中心とする水産業、水産業を基点とする水産加工業、茶、花き、果樹、甘しょ、畜産などの農業、芋焼酎などは、現在わが国の経済課題であるモノの価格低迷、デフレを解決できる高いポテンシャルを持っています。昨年制作した本市のPR動画は、「丁寧・本物」という本市で産み出される産品の品質を表現したものです。それらの品質が正しく評価され、産業の付加価値を高める努力を更に強く進めていくことは本市の重要な課題です。

 その本市の特産品のブランド価値を高め、その存在を広く日本中に知らしめる手段の一つでもあるのがふるさと納税です。ふるさと応援寄附については、お陰様で一月末現在で三十二億円を超える寄附が寄せられております。この四年間で合計しますと百億円を超える多くの額の寄附をお寄せいただいていることとなります。お寄せいただいた御厚意については、本市の活性化につながるまちづくりの財源として、地域振興策に有効に活用させていただきます。また、返礼事業を通じて更なる本市特産品の魅力の発信等を行い、産業競争力の向上、地場産業の振興につなげていきます。

 

<エネルギーの地産地消、脱炭素に向けた取り組みについて>


 国の掲げる二〇五〇年ゼロカーボン社会の実現に向けて、本市では新たなチャレンジを進めています。現在策定中である本市の総合的なエネルギー政策に関するマスタープランにおいては、再生可能エネルギーへの転換による脱炭素への貢献を果たしつつ、地場産業の時速可能性の確保を図り、これまで外部に流出していたエネルギーコストを域内にとどめることで経済の地域内循環を創出するほか、公共施設などにおける分散型電源の整備に要る防災力の強化を図るなど、脱炭素・経済・防災などの地域課題の解決を本市エネルギー政策の基本方針に掲げており、新年度はその中核的な役割を担う自治体新電力会社の設立に取り組みます。今後、地元事業者や住民の皆様の御理解と御協力を頂きながら、マスタープランで検討した事業計画を基に、事業体の設立を着実に進めます。


<スポーツ文化による関係人口増加の取り組み>


 一昨年から取り組んでいる市営野球場改修、南溟館改修が本年度中に終了します。昨年は、市営野球場で地元高校同士の交流戦やボーイズリーグによる硬式野球の公式戦開催、そして南溟館では一万五千人の集客があった「動くゴッホ展」など、関係人口増加につながる取組を行いました。改修が終了した両施設を中心に、スポーツ・文化による関係人口増加の取り組みを更に加速させていきます。


<火之神地区用地取得について>


 火之神地区の養豚場跡地の土地購入について申し上げます。

 当該土地に残る老朽化した建物の現況や、本市の一大景勝地である火之神公園へのアクセス道路に面しているという立地を鑑み、まずはこの地域の環境・景観の保全に市として取り組むこととします。その取得に向けた交渉は既に開始していますが、新年度はこの交渉を着実に進めていきます。また、当該土地の有効な活用は、地域の活性化や関係人口の創出・拡大など、大きな可能性を秘めているものと考えられるため、土地購入事務と並行しながら、今後はその利活用方法について本格的な検討を進めます。少子高齢化・産業振興・脱炭素の推進など本市の地域課題を踏まえ、それらの解決とともに、本市の更なる魅力発信にもつながる当該土地利活用の基本構想について検討することとしています。


<稚内市との友好都市盟約十周年>


 このほか、本年四月に十周年を迎える稚内市との友好都市盟約について、両市市民が互いに訪問し合う市民訪問団事業や、枕崎駅と稚内駅を利用した方に対する両市訪問記念事業のほか、フォトコンテストなどのイベントなどを実施します。また、両市の青少年交流を深めるため、本市の中高生を稚内に派遣する稚内交流事業を実施します。


<結びに>


 新型コロナウイルスの感染者が国内で初めて確認されてから二年が経過しましたが、「感染症との戦い」を「感染症との共生」へと深化させていく時期に来ています。新しい生活様式の中であっても、市民一人一人の暮らしに寄り添い、これまで続けてきた産前産後ケアや病児病後児保育などに新しい施策も加えた切れ目のない子育て支援、高齢者も障害を持つ人も全ての人が住み慣れた地域で自分らしく暮らしていくための医療、介護、福祉の、更なる充実を図り、持続可能な地域共生社会実現に向けた政策を加速させていきます。未来を担う子どもたちがすくすくと成長し、ふるさとを大切にする心、ふるさとに学ぶ心をはぐくむ教育を学校、地域、家庭で共に成長させていきましょう。そして、子どもから高齢者まで、全ての人を誰一人取り残さない、枕崎ならではの心の通った地域共生社会の実現へ向けて、これからも共に前へ進んでいきましょう。


枕崎市長 前田祝成