6月のコラムはSDGs。


169のターゲットを読み込むと、足りないものも見えてきます。

それでも、有用なツールであることは確かです。


 2年前の6月のコラムテーマはSDGsでした。SDGsとは、2030年にむけて世界が目指す17のゴールと169のターゲットからなる「持続可能な開発目標」のことです。2年前は馴染みのなかったこのSDGsですが、今では市内の小中学生もSDGsのことを知っていますし、今年に入って地元新聞社もSDGs宣言をするなど、多くの人に浸透しつつあります。

 本市でも、2年前の枕崎高校文化祭での青年会議所とのコラボレーション、本市と青年会議所の間ではSDGs連携協定の締結、そして昨年策定した第二期地方創生総合戦略は全ての目標をSDGsのゴールと紐付けて取り組んでいます。SDGsの17のゴールには、「すべての人に健康と福祉を」「質の高い教育をみんなに」「ジェンダー平等を実現しよう」「海の豊かさを守ろう」など、本市にとっても重要な目標が並んでいます。

 SDGsの17のゴールを達成することが世界にとっても枕崎にとっても有意義といえます。ただ、その169のターゲットを一つひとつ見ていくと、今のコロナ禍の中で足りないものも見えてきます。ターゲットの中には「伝染病の流行や感染症の根絶」はあっても「世界的な流行(パンデミック)の予防」はない(2018 沖大幹)。すでに世の中に存在するエイズ、結核、マラリアなどの根絶に向けたターゲットは示されていますが、(今回のコロナような)これから発生するであろう感染症への予防は示されていません。また、これも今回のコロナ禍の下で議論となった「知的好奇心の充足、スポーツ、美、芸術、歌や踊り、エンターテイメント、笑いといった物質的でないが、より良い未来社会に不可欠である要素」がSDGsの視野に入っていない(2018 沖大幹)という指摘もあります。 このように、決してSDGsは完璧なものではありませんが、この17のゴールは私たちが未来を描く上では非常に有用なツールですし、このように深掘りすることで不足するものをイメージすることもやはり有用なことのように思います。せっかくここまで浸透し始めたSDGs、これからさらに学んで、より良い未来に向けて生かしていければと思うところです。


枕崎市長 前田祝成