本日、枕崎市議会令和2年3月議会の開会にあたり、施政方針を発表しました。


〈長文ですが、冒頭部分を下記に記します〉


 令和二年三月議会の開会に当たり、市政運営の所信と基本方針について御説明し、市議会並びに市民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。

 昨年、本市は市制施行七十周年の記念の年を迎えました。市制施行記念日の九月一日に開催した記念式典には、多くの関係者の皆様にお集まりいただき枕崎市の未来への思いをお伝えすることができました。市民の皆様、議会の皆様を始め、多くの関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。令和という新しい時代に七十周年という記念の年を迎え、新たな時代に新たなまちづくりへ市民が一つになって向かってまいりましょう。

 私が枕崎市長に就任して二年が経過しました。「産業」「子育て」「地域コミュニティ」の三つをテーマにそれぞれ、「産業競争力の向上」「子育て支援」「コミュニティの再構築」という課題に取り組んでまいりました。

 産業競争力の向上については、浜の活力再生プランを活用した枕崎水産加工業協同組合の再資源化工場の稼働、枕崎市漁業協同組合の総合加工場の設備更新などの計画が着実に進められています。また、本年十月には再生可能エネルギーの一つである木質バイオマスを活用した発電施設が稼働します。エネルギー政策に関しては、電力の地産地消を実現するための地域新電力会社の設立を目指します。

 本市の農水産物等、地場産品の販売強化に関して、一昨年福岡の百貨店と結んだアンバサダー協定、そして本年はかごしま生活協同組合との取組着手、枕崎市漁業協同組合との連携による県外の商業施設での販売ルート開拓など積極的な販売支援に取り組んでいます。こうした域外への販売強化と同時に地域内の経済活性化のためには地産地消の取組が欠かせません。人口減少が進み、地域内経済の縮小が危惧される環境下では、これまで以上に地域内経済の活性化を追求していきます。地産地消はエネルギーにとどまらず地場産品でも積極的に進めます。そのためにも、更なる地場産品の品質向上、付加価値の向上に取り組み、市民が喜んで消費し、自信を持って薦められる地場産品に育てていきます。

 昨年六月、日本青年会議所九州地区鹿児島ブロック大会は枕崎高校文化祭とのコラボレーションで開催されました。枕崎高校生が青年会議所メンバーと一緒になって進めたSDGsの学習、持続可能なまちづくりへのワークショップは本市の未来を支える若者の可能性を感じさせるものでした。また、鹿児島水産高校は一昨年、文部科学省から全国の水産高校で唯一の指定を受けたSPH、スーパープロフェッショナルハイスクールの活動二年目を迎え、更に深化した研究を進めてくれました。最終年度となる新年度の研究成果に期待が持たれます。

 本市の未来をつくるのはこうした若者たち、そして子どもたちです。子育て支援については、本市の強みである小中連携教育の更なる推進を図るための学校と地域をより身近につなぐコミュニティ・スクールの取組を枕崎校区で始めます。昨年は、学校空調設備の整備、新年度から始まるプログラミング教育を見据えたタブレットの導入などの環境整備に取り組んでまいりましたが、新年度以降も子どもたちが安全に安心して学べる環境整備に努めてまいります。周産期から乳幼児期、学童期への切れ目のない子育て支援への取組も継続して推進していきます。また、本市が将来に渡って活力にあふれ、魅力的なまちであるためには、市民一人一人が性別に関わりなく、互いを尊重しながら、その個性と能力を十分に発揮できるまちでなければなりません。その実現に向け、男女共同参画推進条例の制定を目指します。

 先ほども紹介しましたが、昨年は高校生の活躍が目立った一年でした。中でも、枕崎高校野球部が近年の活躍が認められ今春の選抜高校野球二十一世紀枠の鹿児島県推薦校に選ばれたことは大きなニュースになりました。残念ながら全国大会出場とはなりませんでしたが、近い将来、甲子園出場という期待が大きく膨らみました。また、改めて枕崎市民の野球に対する情熱を感じることのできる出来事でした。野球に関して申し上げますと、新年度は「野球によるまちづくり」に取り組みます。まず、市営野球場の改修整備にスポーツ振興くじ助成金等を活用して取り掛かる計画です。また、大学チーム、社会人チームのキャンプの誘致、高校、小中学校の合宿等の誘致、大会の開催等に関係団体等と連携しながら積極的に取り組みます。これらの活動は、地域コミュニティの活性化につながるものと確信しています。

 コミュニティの再構築については、この「野球によるまちづくり」や火之神公園のキャンプ需要、その他、枕崎お魚センターなど観光施設等の活用方法を再度、検証・見直しを進めながら関係人口の増加に取り組んでまいります。関係人口の増加が、人の流れ、情報の流れ、経済の流れを活性化し、新たなコミュニティを生むきっかけとなるはずです。

 産業、子育て、コミュニティ、これらを活性化し、地域の抱える課題を解決していくための戦略が本年度中に策定する「第二期枕崎市地方創生総合戦略」になります。改訂版の枕崎市人口ビジョンにおいては、最新のデータを基に、本市の将来に渡る人口見通しを見直し、今後目指すべき本市の姿を示します。

 新年度から令和六年度までを期間とする第二期総合戦略においては、現総合戦略の基本目標を見直し、「地場産業の振興と、地域経済の循環を図ることで、安定した雇用を創出するとともに、多様な人材の活躍を推進する」「豊かな地域資源を使って、地域外とのつながりと、新しい人の流れをつくる」「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」「安心な暮らしを守るとともに、時代にあった、魅力的な地域をつくる」という、新たな四つの基本目標を掲げ、本市独自の魅力に磨きを掛けることで、人が訪れ、住み続けたいと思えるような地域の実現を目指します。

 具体的には、地域の稼ぐ力を高め、地域外からの富の流入と、地域内での循環を図るための取組や、子育て世代等に対する切れ目ない支援など、SDGsの視点も取り入れた四十五の事業とそのKPIを掲げ、毎年度その効果検証を行い、事業の改善を図りつつ実行していきます。

 この第二期総合戦略については、枕崎市地方創生総合戦略審議会における審議を経て、現在、その素案について、パブリックコメントの手続を行っておりますが、そこで寄せられた意見等や、本定例会における議会での議論等を踏まえ、本年度末に成案化します。

 ふるさと応援寄附金については、さきの十二月定例会において、本年度の寄附額を十六億円と見込んで補正を行いましたが、一月末現在で二十六億円を超える多くの寄附が寄せられております。お寄せいただいた御厚意については、本市のまちづくりの財源として、地域の振興策に有効に活用させていただくとともに、返礼事業を通じて、更なる本市の特産品の魅力の発信等に努め、産業競争力の向上、地場産業の振興につなげます。また、ふるさと応援寄附金を活用し、将来の庁舎建設に向けた基金への積立ても新年度当初予算に計上させていただいておりますが、今後とも財源確保に取り組むと同時に、新庁舎建設に向けた調査・研究等についても進めていきます。

 平成二十八年に策定した第六次枕崎市総合振興計画も新年度で五箇年が経過し、令和三年度からは後期基本計画がスタートすることになります。策定に当たりましては、本年度中に策定する第二期総合戦略を反映させた上で、議会を始め、まちづくり委員会、市長と語る会、市民アンケート等での御意見や御提言、さらには、関係業界等の御意向など幅広くお聴きしながら、時代に合った計画にしていきたいと考えております。

 現行の過疎地域自立促進特別法は、新年度で期限を迎えることとなります。新たな過疎対策法の制定、そして、今後の過疎対策の推進は、本市の振興のためにはなくてはならないものでありますので、引き続き新法制定の要望を行っていくとともに、本市の新たな過疎対策計画の策定に向けての作業も進めていきます。

 本年十月に、燃ゆる感動かごしま国体・なぎなた競技会が本市で開催されますが、昨年五月に本市で開催された都道府県対抗なぎなた競技大会に役員として携わっていただいた、ある学校の先生から、大会終了後にお便りをいただきましたので、ここで御紹介したいと思います。そのお便りによりますと、閉会式後、全日本なぎなた連盟の役員の方々を鹿児島中央駅までお送りする車中で、役員の方が、「枕崎市がなぎなたの国体会場になっていただいた有難さをこのリハーサル大会で感じました。出場した選手たちは全員が来年のかごしま国体の地元代表になって枕崎市に来ようと思ったはずです。私自身も役職は引いても見に来ます。」と話されていたとのことでした。また、お便りをくださった先生御自身も、正直なところ役員となることに気乗りしていませんでしたが、来年の国体でもぜひ役員をさせてもらいたいという気持ちになりました。閉会式の片付けをする市の職員の動きを見て、そのような気持ちになったのは私だけではないと思いましたとつづられておりました。

 就任以来、市の職員の意識改革は私の中の大きなテーマであると述べてきました。恐らく私が就任する以前からも今回のようなお褒めの言葉をいただけるような職員であったとは思いますが、改めてこのようなお便りをいただくと、市長として本当に嬉しく思います。昨年の茨城国体で鹿児島県なぎなたチームは総合二位の好成績を収めました。今年の燃ゆる感動かごしま国体では市民が一つになって、鹿児島県なぎなたチームを応援しましょう。そして昨年のリハーサル大会以上に素晴らしい大会にしたいと思います。

 さて、中国で発生した新型コロナウイルス感染症の拡大は、我が国においても、保健、医療、観光、経済など様々な分野に影響を及ぼしております。本市では枕崎市新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、当面の市のイベント等を中止、延期すること、民間団体にも同様の要請をするという方針を発表しましたが、今後も国の方針等を踏まえ、市民の安全を第一に、新型コロナウイルス感染症の感染防止に万全を期してまいります。



枕崎市長 前田祝成