2016年後半にタイ最北部にある日本人経営の宿に滞在していた時のことだ。
私は日本を出発する直前に再発した腰痛が長引き、部屋で横になる日々が続いた。
食事その他はタイ人の奥さんが極めていい人ですべてやってくれ、それに甘えてゴロゴロと過ごしていた。
この辺りは引退した日本人高齢者も多く住んでいるようで、たまに見かける人もいた。
そんな日が続いていたある時、近くに住むという日本人男性が3人連れでやって来て私を呼んだ。
既にかなり酒が入っているようであけすけにしゃべり始めた。
「ここに怪しい日本人がいるという話を聞いてやって来た。」
と言って、私の日本でやっていた仕事内容やはたまた役職、その時の給料、果ては今の全財産まで問いただそうとする。全く警察の尋問まがいだ。
最初は新入りということもあって丁寧に答えていたが、あまりにひどい。
チェンマイにいたことがあると話したら、向こうで悪事を働いてこっちに流れてきたのではないか、などとまるで犯罪者扱いだ。どうもこの人だけでなくこのあたり一帯の日本人の間ににそういう噂が流されているようだ。しかも後で知ったが、この時の会話を別の日本人が動画撮影し、その場にいなかった人にまで流していた。
また私のパスポート情報もSNSで拡散され、私のことを知る人がいないかチェックされていた。
いったいなぜここまで疑われなければならないのか。
実際、日本人が日本人を騙すという例があるようで、それだと思われたふしがある。
別の村に住む日本人にその話をし、私をそこまで疑う根拠は何かと尋ねると、悪びれもせず人相のせいだといった。私はその人とは初対面だったが、彼もまた私のことを動画その他ですでに知っていた。
それにしてもここまでひどい人権侵害はないのではないか。はっきり名誉棄損だ。ただ調べてみても、外国で起こった事は日本では事件扱いにできないようだ。
また私の個人情報漏洩もありかなり悪質だ。もちろん私に詐欺の意図もなく前科もない。それなのに外見だけでここまでの被害にあうとは、心外などという言葉では到底言い表せないほどだ。ここまでひどい目にあって何のアクションも起こせないのだろうか。
この村の主導的な人物に言ったが、そんな話は初耳だとまるで他人事のように言った。
実際はこの日本人もその警察の尋問のような会に参加していたのにだ。
腰の調子が悪く一刻も早く出たかったが、かなり長引いてしまった。その間のストレスたるや最悪で、ロクに寝られない程だった。
狭い日本人コミュニティではよそ者はこう言う事になり得るのか。
彼らに罪の意識がないのが怖い。