(12月30日午後11時35分から40分ごろ、主婦が二人の娘を車に乗せ、祖師谷公園を南北に貫く道を南下していたところ、宮澤家の裏手に通じる真っ暗な路地から一人の男が飛び出してきた。男の年齢は25~35歳、身長175~180センチ。やせ形で髪が長く、黒ジャンパーに黒ズボン姿だったという。
この男について、媒体不明ながら、2002年12月の記事には、「主婦は驚いてライトをハイビームにしたが、男は驚く様子もなく、大通りに向かって"飛ぶように"走り去った」とする記述がある。
一方で、2014年に放送された元FBI捜査官出演の特番によると、男は飛び出した直後にスケボー公園側の植え込みのブロックの上に飛び乗り、宮澤家のほうを振り返って見ていたとのこと。・・・画像はイメージ)
(赤矢印の先が、男が飛び出してきたといわれる、宮澤家裏手につながる通路)
(この男の目撃情報について、土田猛・元成城署長は、退職後の2012年、東京MXの取材に対し、「事件の最大のカギとなる目撃情報」と語っている。)
※※ パソコンからご覧の場合で、画像によってはクリックしても十分な大きさにまで拡大されず、画像中の文字その他の細かい部分が見えにくいという場合があります(画像中に細かい説明書きを入れている画像ほどその傾向が強いです)。その場合は、お手数ですが、ご使用のブラウザで、画面表示の拡大率を「125%」「150%」「175%」等に設定して、ご覧いただければと思います。※※
----------
■ まとめ
さて、「その12」と長くなっていますので、
このあたりでまとめてみたいと。
いろいろな要素が重なり合い、不可解な様相を呈していますが、
特に「動機」という点からみれば、
以外に単純な事件だったのではないか、という印象を受けました。
ただし、事実関係自体に曖昧な点が多く、
その曖昧な中で巡らせてみた妄想ということになりますが、
以下、それを書き連ねてみると、
1. 単独犯か複数犯か
複数犯。ただし、家に侵入したのは一人。
主に、三つの理由から。
一つは、宮澤家の裏手、中2階風呂窓の前にあるフェンス(のポッポ公園側)に、
風呂窓の網戸が立てかけられていた、という見方に立ったこと。
(網戸は、こんな風に立てかけられていたとの情報がある)
この見方に立って考えてみたとき、
「単独犯がフェンスに上り、風呂窓の網戸を外し、その網戸を手にわざわざ一回フェンスから降り、網戸をフェンスのポッポ公園側に立てかけ、再びフェンスに上った」とか、あるいは、
「その単独犯がフェンス上から網戸を地面に放り投げ、それがたまたまフェンスのポッポ公園側に立てかけられる形となった」とみるよりは、
「複数犯のうちの一人が、まずフェンスに上り、フェンスの上で網戸を外し、その網戸を下にいる共犯に手渡し、共犯がそれをフェンスのポッポ公園側に立てかけた」・・・
単純かもしれませんが、
そう見るのが素直であるように思えたこと。
(一枚目は、警視庁の資料より、赤矢印の先がフェンスに立てかけられた網戸とみられるもの。二枚目は、事件発覚日のNHKニュースより、同じく赤矢印の先に、フェンスに立てかけられた網戸と思われるもの)
網戸を外した理由を考えてみると、例えば、
「これから狭い風呂窓に体ごと滑り込ませようというときに、あの網戸が侵入時に外れて落下し、音を立てるのではないか・・・という懸念を抱いた(念のため外そうと思った)」とか、あるいは、
「当初は外すつもりはなかったが、侵入するべく網戸を右側にスライドさせようとしてみたら、意外にこれが滑りが悪く、邪魔なので、いっそ外してしまえとなった」とか、またあるいは、
「当初、犯人らは、網戸のみならず、風呂窓全部を外して、体が余裕で通り抜けられる横幅を確保しようとしたが、網戸を外してみた時点で、"窓を外さなくても、いける"となり、一人目がさっさと身体を屋内に滑り込ませた、結果として、網戸だけが外された形で残った」・・・その時の光景を想像してみると、
フェンス下の犯人B「やっぱりちょっと狭いな。窓、ぜんぶ外せるか?」
フェンス上の犯人A「ああ、やってみる」
(Aはそう言うと、まず網戸に手を伸ばし、これを外してBに手渡し、Bはそれをフェンスにそっと立てかけた。Aはさらに、ガラス窓2枚も外そうと、手を伸ばしガタガタやってみたが、自分の足場が不安定だったこともあり、軽い網戸のようには簡単に外れてくれず、あまり時間をかけるのもまずいと思い、途中で断念、風呂窓に空いた暗い入り口を見ながら)
A「ガラスのほうはやめとこう。でも、これでも十分いけるぞ」
(そう言いながら、風呂窓枠に両手をかけ、懸垂の要領で体を引きずり上げ、頭から屋内に滑り込んだ。直後に、あとに続くべく、フェンスによじ登ろうとするB・・・。)
こんな感じでしょうか、もちろん妄想にすぎませんが・・・。
複数犯と考えた、二つ目の理由は、
12月30日午後11時35~40分ごろに、宮澤家へと通じる小道からいきなり飛び出してきたという男の目撃証言(いわゆる飛び出しマン)。
目撃者によると、髪は長かったと。
少なくとも、例の似顔絵くらいの髪の長さには見えたということかと。
一方で、犯人の遺留品とされているヒップバッグからは、短めの毛髪が採取されており、
それは、現場に残された犯人のものらしいDNA型と一致していると。
(2010年12月の産経記事。ヒップバッグから採取された毛髪が、具体的に何センチだったかは不明)
(向かって左、飛び出しマン。右、吉祥寺西友男)
髪は伸びたり切られたりするので、
髪の長さだけで別人だとか、同一人物だとかは言い切れないにせよ、
私はおそらく、ヒップバッグに短髪を残した男(多分にこれが惨殺犯)と、
午後11時35~40分ごろに、宮澤家へと通じる小道から飛び出してきた男(目撃証言によると髪は長かった)は、別人だっただろうと想像します。
そして、飛び出しマンが目撃された場所や、時間などを考えれば・・・
風呂窓の網戸を下で受け取り、フェンスに立てかけたのは、
実は、この男(飛び出しマン)ではなかったのかな、と。
複数犯と考える三つ目の理由は、
例の、「柳刃包丁の柄に巻き、滑り止めに使ったとみられている黒ハンカチ」について、
自分的には、「犯人は、侵入時から柳刃の柄にそういう細工をしていた」という見方には立たないこと、
つまり、「侵入前から刺す気満々で、黒ハンカチに刃物を何度も突き立て、穴ぼこだらけにして気分を高めていた」とか、あるいは、
「最初から刺す気満々で、返り血~滑り止め対策のために、柳刃の柄に黒ハンカチを巻き付け、侵入してきた」という見方には立たず、
その黒ハンカチの細工は、「礼君を扼殺した後、急な犯行計画の変更に伴い、2階リビングで行った、急ごしらえの細工だった」という見方に立つこと。
(急ごしらえだったため、滑り止めとしてはチャチ、香水付きという謎なものに)
(犯人は、風変わりな細工で柳刃の柄を包んでいた、との見方がある)
ただし、そういった細工を、とっさに思いつくというからには、
この犯人は、過去に刃物で人を殺傷した経験があり、
その際に、刃の根元で自分の手を切ったことがあったのではないか、
そのため、宮澤家においても、「一家全員を殺害する」と方針転換したとき、
手にした柳刃包丁では(滑り止めがないため)自分の手を怪我する可能性があることに思い至り、
急遽、黒ハンカチでの滑り止めの細工を試みたのではないか、と。
(手袋をして刺さなかったのは、おそらく、手袋は汚さず持ち帰るつもりだったのかなと)
もし仮に、そういった見方には立たず、黒ハンカチの細工について、
「最初から一家を皆殺しにする気で、柳刃包丁の柄に(返り血~滑り止め対策としての)黒ハンカチの細工をして侵入してきた」という見方に立てば、
それは、「怨恨」だとか、「快楽目的」だとかを動機として、「最初から殺害目的で乗り込んだ」=「単独犯」という見方に結びつきやすいとは思いますし、
そもそもこの事件は、基本的な事実関係にはっきりしない点が多いので(「網戸のフェンス立てかけ」からして確定とは言えないかと)、
自分的にも、これこれに違いないという風に考えるつもりはなく、怨恨や快楽的なものを動機とした単独犯による犯行、それも十分ありかとは思います。
ただ、自分の場合は、黒ハンカチの細工については
「侵入後に、急遽行った細工」
という見方なので、犯人は当初、「刃物で人を殺傷する(返り血・滑り止め対策が必要)」ということまでは、想定してなかったのではないか、
「いざとなったら刺せばよい」くらいの認識はあったかもしれませんが、
あくまで、その日の計画としては、柳刃包丁を相手に見せつけるだけで十分と考えたのであり、
なぜ、その程度で十分と考えたのかは、
自分の手が刃物でふさがっているときでも、
粘着テープで相手を緊縛してくれる手が他にある、つまり、
「共犯者がいた」
ということではないかと。
(「テープで緊縛」「強盗」などでググっていただければと)
そして、このように、家人に刃物を突き付けて脅し、
緊縛して、なんらかの目的を達しようということなら、
家人がいない留守を狙うのではなく、
幼子二人も含めた家族全員が揃っているほうが、むしろ好都合(というか必須)であり、
家の一部に明かりがついているというのは、別に犯行をためらわせる要因ではなく、
侵入口とする風呂場にさえ明かりと人気(ひとけ)がないと見えれば、それで十分なのであり、
なにも、皆が寝静まる時間帯を待つ必要はないと、
一旦侵入してしまえば、あとは家人が起きていようと寝ていようと関係なく、
刃物要員が刃物を突き付け、緊縛要員が縛り上げるのみ・・・
そんな計画だったのではないかと。
単独犯か複数犯かについて、思うところは以上ですが、
犯人の数は、2人とは限らず、
3人、場合によっては、4人以上もありかなと。
ただし、いずれにしても、あの殺害現場(屋内)で、
明確に不審な足跡は、どうもスラセンジャーの一足だけのようなので、
屋内に侵入したのは、一人だけだっただろうとは思います。
その屋内侵入者が、一家を殺害した後、
妙に、風呂場に固執していたような様子があるのは、
宮澤家の玄関前の家などに明かりが漏れるのを嫌い、風呂場にこもって作業していた、という理由もあったかもしれませんが、
もしかすると、侵入口となった風呂場の明かりだけをともし、
そこに人(つまり自分)が居るぞ、ということを、ポッポ公園側にアピールしたかった、
わけあって脱兎のごとく逃走した共犯者が、公園から、その風呂場にポツンとともる明かりを見て、
そこに自分(屋内侵入者)がいることに気づいて、再び近寄って来てくれることを期待した、
あるいは、屋内侵入者は、風呂場の明かりを時々消しては、窓からポッポ公園側を見渡し、
共犯者が戻ってきていないかを確認していたのではないか、
しかし共犯者は、その夜、宮澤家にはもう近づかなかった、
おそらくは、心理的に近づけない状態となっており、
アジト(そんなものがあるなら、ですが)に戻って、
相棒がどうなったかと思いを巡らせながら、
不安な一夜を過ごすしかなかったのではないか、
そんな風に想像しますが・・・。
(2003年に捜査本部が作成したDVDより、水色矢印の先が、網戸とみられるもの)
いずれにしても、複数の人物による犯行計画だった、という見立ては、
「風呂窓の網戸が、フェンスのポッポ公園側に立てかけられていた」
という仮定に依存するところが大きいです。
「網戸がフェンスに立てかけられていた」とする情報は存在しますし、
それが事実だったことをうかがわせる画像も、いくつかあるのですが、
しかし事実だったと確定しているわけではなく、
また、仮に事実だったとしても、それは犯人が立てかけたのではなく、
単に、早朝にポッポ公園内を散歩していた誰かが、落ち葉の上に横倒しになっていた網戸を、気を利かせてフェンスに立てかけたのかもしれず、
またあるいは、警察が立てかけたのかもしれず、
仮に、「網戸フェンス立てかけ」の真相がその程度のものなら、
「複数犯ではないか」
という自分の推測も、怪しくなるとは思いますが。
----------
2. 犯行動機は何か
金。ただし、現金というよりは、キャッシュカードと暗証番号狙い。
「一家全員を殺害し、家探しして免許証を探し出し、そこに記載されている誕生日などから暗証番号を推測してみよう」という計画で侵入したのではなく、
数人で押し入り、家人に刃物を突き付け、粘着テープ等で家族全員を縛り上げ、
カードを出させ、暗証番号を聞き出し、犯人のうち一人がATMに直行して金を引き出し、
それに成功すれば、家族は殺害せず縛り上げて放置、そのまま逃走・・・という計画だったと想像。
「刃物を突き付け脅して、カードと暗証番号を奪い、ATMから金を引き出すだけ(殺傷など手荒な真似をするわけではない)」という、
(語弊のある言い方ながら)ある意味では手軽な、
犯人らにしてみれば、気楽な小遣い稼ぎ程度、
あるいは、日本を離れる前の、ちょっとした一時金稼ぎ程度の感覚だったかもしれず、
それゆえに、犯人らが意図した金額は、思いのほか低かったかもしれない。
当時、ある国々の農村部では、100万円でも20年分の年収であり、
外国人犯罪の可能性も考えると、その夜、犯人らが奪おうとした金額は、億とか何千万ではなく、
数百万、場合によっては数十万~100万程度を想定していた可能性もあるかと。
宮澤邸が狙われた経緯を想像してみると、
おそらくそれは、「宮澤邸が、その界隈で最も金持ちそうに見えた」とかではなく、
最初のきっかけは、犯人のうちの一人がポッポ公園から何気に宮澤邸に目をやった時、
あの風呂窓が、換気のためか何のためか不明ながら、少し開けられており、
そこまでの経路を目で辿ってみると、手前のフェンスによじ登れば侵入可能であることに気づいた、
「ああ、これはいける・・・」と。
夜に再訪してみると、公園にひとけはなく、しかも、まだ風呂窓は少し開いていた。
風呂窓が開いているという、侵入に適したその条件に加えて、
宮澤邸の外観(一見して、比較的大きな一軒家に見える)、
立地(立ち退きが進んでいるとはいえ、世田谷の住宅地。見ようによっては、公園内の特等席)、
所有車(赤いフランス車)などから、
「この家には、ある程度以上の(普通)預金残高があるはず」
「カードを奪えば、数百万はいけるかもしれない」
などと見込まれてしまった、こんなところかと。
入江さんの著書に、
「それにしても納得がいかない。なぜ、妹の家が狙われたのだろう? 刑事さんとも何度も話したことだが、開口部は我が家のほうがずっと大きいし、広くて、入りやすい。狙う気になればいつでも侵入できたはずなのだ、なぜ妹の家に? 今でも残る疑問だ。」
と、自分の家ではなく、宮澤家が狙われたことへの疑問の記述がある。
しかし、当時、入江さんらの生活の本拠はイギリスにあり、
おそらく、犯人らはたまに帰国する杏さんや旦那さん、息子さんの存在は知らず、
まさかあの家が内部で仕切られ、二世帯が暮らしているとは思わず、
あの家は、小柄でひげを生やした行儀のよさそうにみえる旦那さんと、
奥さん、幼児二人、おばあちゃんの一家族が住み、壁には公文式の看板が掲げられ、
駐車場には赤い外国車が止められた、比較的大きな一軒家と見たのであり、
単にその風呂窓が開いていたので、他の窓のガラスを破るまでもなく、
そこから侵入しただけ、ということではなかったかと。
(※追記: 入江杏さんについては、2000年4月、息子さんが中学に入学するのを機に、夫だけをイギリスに残して、8年ぶりに日本に帰国し生活していた、との情報がある。この点については、入江さんの著書に書かれてはいないが、事件前の一定期間、日本で生活し、息子さんも日本の中学に通っていたような記述があるので、「2000年4月から日本に帰国していた」という先の情報については、事実だろうと思われる。レーシングエンジンのデザイナーだった旦那さんについては、生活の拠点をイギリスに置きながらも、日英間を頻繁に行き来していたようで、2000年12月、事件直前にも日本に一時帰国していた。)
家族全員が揃っている日時に侵入していることについて、
コソ泥目的なら、家族全員が揃っている状況は好ましくないが、
家人に刃物を突き付け、カードと暗証番号を奪う計画にとっては、
幼子二人を含めた家族全員が揃っているというのは、むしろ必須の条件だった。
また、「数人で侵入しさえすれば、あとはどうとでもなる」という感覚なので、
侵入口である風呂場さえ、暗く人気(ひとけ)なく確保されていれば、
あとは、家人が起きていようが就寝していようが、どうでもよかった。
(家族が寝静まるのを待つ必要はなく、1階に煌々と明かりがついていても、それは犯行の妨げにはならなかった。1階の玄関から逃げられたらどうしようか・・・などという難しいことは考えていない。)
殺傷ということについては、
「激しく抵抗されれば刺せばよい」くらいの認識はあったと想像。
しかし基本的には、被害者の口を完全に封じること(殺害)までは想定してなかったので、
あとで人相を事細かに証言されないよう、
「顔は隠しておこう」ということになったかもしれない。
(遺留品の黒ハンカチの状況から、少なくとも侵入者は黒覆面をしていた、との見方がある。→ しかし、そうだとすると、この侵入者は、たとえこれが外国人であったとしても、犯行後もしばらくは日本にとどまる予定だったのかもしれない。ここはよくわかりません)
似通った事件としては、
世田谷事件のほぼ1年後に発生した、
中韓留学生らによる、大分の恩人夫婦殺傷事件ではないかと。
ところが、世田谷事件の場合は、屋内侵入を果たしたのが一人だけだったため、
犯人らの計画は狂い、結果的に事件の外観としては、
2009年に愛知県の蟹江町で起きた、
「中国人留学生による、母子3人殺傷事件」に似たものになったのではないかと。
(「単独犯による、不可解極まりない犯行」の外観を呈した)
金目当て、ということについて、
入江さんの著書に、
「(世田谷事件について書かれた本の中には)立ち退きの費用が高額でそのお金を狙われたとか、家に金塊がある、とか荒唐無稽なものもあって、呆れはてた。」
「立ち退き料が目当ての犯行と言われても、ローンを支払えばほとんど手元に残らないはずだ。」
という記述がある。
私も、犯人らが、立ち退きの件や立ち退き料、
その振り込み状況などを明確に認識していたかについては疑問ですが(綿密な事前調査などなく、事件の数日前に風呂窓の開いていることに気づいて、強盗を思いつき、急ぎ、柳刃を調達しただけの、ずさんな犯行だったのではないかと想像)、
もし、入江さんの言葉が、金目当ての犯行そのものを否定する趣旨のものなら、そこにも疑問を抱くのであり、大切なのは、
「実際に宮澤家に、多額の現金があったかどうか」
「実際に宮澤家の口座に、多額の預貯金があったかどうか」
ではなく、
「犯人らが宮澤家を見て、"たぶんここにはあるだろう"と思ったかどうか」
ではないかと。
(犯人目線、犯人がどう思ったか、ということ)
つまり、「実際にそれがあったかどうか」は問題ではなく、
犯人らが、「この家にはありそうだ」と見れば、
ターゲットにはされるのであり、
「ローンを支払ったら、ほとんど手元に残ってなかったはず」という入江さんの言葉は、
金目当ての犯行を否定するものとしては、当たらないのではないかと。
(注: 「ローン」というのは、当時暮らしていた土地建物のローンのことと思われる。
1990年、宮澤さんは、入江さんらやおばあちゃんと、約1億5千万円で当該土地建物を共同購入していた。ちなみに、ネットで調べた範囲ですが、宮澤家に支払われる予定だった立ち退き料は、約7000万円、事件発生までに、その約8割が振り込まれており、それでも、新たな移転先の土地建物の取得費用としては不足していたので、みきおさんは、父親である宮澤良行氏に2000万円の借用を申し入れており、それが、年明けにも振り込まれる予定になっていたとのこと。
事件前に振り込まれていたとみられる数千万=単純計算5600万の立ち退き料から、入江さんが想像するように「ローン」をすでに支払っていたのか、また、その「ローン」を支払った結果、入江さんの言うように「ほとんど手元に残らない」状況となっていたのか、それとも実際には、入江さんの想像を超える額の現金・預貯金があったのか、そのあたりは不明。)
いずれにしても、複数犯のうち一人が屋内侵入に成功した時点で、他の共犯が逃げてしまい、
家人を縛り上げ、暗証番号を聞き出す計画がとん挫。
屋内侵入者も、この時点で諦めて逃げればよかったのだが、
おそらくは、状況に戸惑いながらも、
早々に一人(礼君)を手にかけてしまったこと(一人のみ扼殺)、
また、金への貪欲があり、いったん抱いた犯意を収めきれず、
きゅうきょ計画を変更、全員を殺害し、金を奪おうとなった。
(急ぎ、柳刃の柄に黒ハンカチの細工。エアテックなどを脱ぎ、戦闘態勢を整えた)
4人の殺害後に探したのは、
現金、通帳、カード、
暗証番号を推知しうるもの(免許証等)、
また、おそらくは「その8」でも述べた通り、
「暗証番号そのものが書かれた、金融機関からの書類があるはず」
と、この犯人は妄想したのであり、
それを必死で探した。
仮にこの推測が正しければ、
そんな書類があるはずだ、と妄想してしまうあたりにも、
どこか、この犯人の社会常識のなさというか、
少なくとも、日本の顧客銀行間の慣習には通じていない感じ、
この国において社会人として何年も暮らした経験は
どうもなさそうな感じが見て取れると思うのですが、
どんなもんでしょうか。
----------
3. 犯人像(日本人か外国人か)
おそらく外国人かと。
そう思う理由は主に三つで、
一つは、「DNA型」、
二つ目、「スラセンジャー」、
三つ目、これは理由になるかはわかりませんが、「警視庁によるプロファイリング」。
「DNA型」について、
現場に残されたそれは、日本人には少ないタイプであると。
(DNA型については、「その1」で触れました)
https://ameblo.jp/maeba28/entry-12283789906.html
「スラセンジャー」については、
前に紹介した、あの警視庁PDFの文言からすれば、
あのサイズのスラセンジャーが、日本の市場に出回っていたとは私は考えず、
物好きがこのブランドを個人輸入していた・・・とも考えず(個人輸入などの事実があれば、とっくに足がついているのではないか、と思うのですが・・・)、
また、「在日米軍基地なら買えたかもしれない」等の設定も、ここでは無しにしたいので、
スラセンジャーの出どころについては、
シンプルに、その製造国である韓国とみるか、
統一日報が指摘する中国吉林省ではないか、と。
「警視庁のプロファイリング」については、
2010年1月25日発行の朝日新聞出版、『真犯人に告ぐ!』の中で、
警視庁が公表した犯人のプロファイリングとして、
「文化の異なる外国人の可能性もある」
というものに加えて、
「漢字を識別できる言語能力がある」
というものがあるのです。
「ひらがな、カタカナも含めて、日本語の文章を問題なく読み書きする能力があるとみられる」
とかではなく、
「漢字を識別できる言語能力がある」
という微妙な表現です。
思うに、犯行現場には、
「犯人が、ある種の書類を選別したような痕跡」があったのではないか、
そして、そういった書類や、2階リビングに集められていたとされる通帳やカード、
手帳、ノートに書いていたとされる文字などからは、
どのレベルかは不明ですが、「漢字を識別する能力はあるようだ」という程度の
「日本語能力」が見て取れたのではないか、
そのため、あのプロファイリング内容になったのではないかと。
とすると、日本では珍しく、世界的にもマイナーだった可能性のある靴を履き---入江さんの息子「スラゼンジャーの靴をはいてる友達なんかイギリスにはいなかったよ」---
日本人には少ないとされる型のDNAを現場に残し、
警視庁プロファイリングでも
「文化の異なる外国人の可能性」
「漢字を識別できる言語能力がある」
とされた惨殺犯については、外国人である可能性が高いのではないか、
そして、共犯としてそれとつるんでいた人間も、おそらく外国人ではないかと。
(外国人の複数犯)
----------
4. 犯人像(出身国、出身地域はどこか)
仮に犯人らが外国人だとして、
どこの国、どこの地域の出身者だったのか・・・。
まず、よくいわれる「韓国」について、
警視庁が世田谷事件の犯人について、
韓国当局に指紋照合を依頼したところ、
①「該当者なし、との回答を得たので、韓国人が犯人という線は消えている」
②「捜査協力が得られなかった」
この、二通りの話が流布されていると思うのですが、
アマゾンプライムでテリー伊藤さんの世田谷事件関連の動画を見たところ、
その中で、成城署の元署長である土田猛氏が、
(ここは、受け取る側の解釈にもよるかもしれませんが)
「韓国からの捜査協力は、得られていない」
と受け取れる発言をしていました。
また、以前ようつべで見たのですが(今でも見れるかは不明)、
元神奈川県警刑事の小川泰平氏が、
「韓国当局から、『指紋については該当者なし』との返事があったとしても、全く信用ならない」
として、そう思うきっかけとなった具体的な過去のケース(韓国絡みの案件)を挙げながら、
「だから警視庁は、犯人韓国人説の当否について、もう一度よく調べなおすべき。その上で、韓国人の線はない、ということになれば、その結論にも説得力が出るのだから」
という意味のことを言っていました。
確かに、無期懲役や死刑に該当する犯罪について、
「うちの国民の指紋に該当しています。身柄を、そちらに差し上げましょう」
とは、なかなかならないだろうなと。
昨年の秋頃には、
「警視庁の鑑識課長など5人が、世田谷一家殺害事件を含む未解決事件の捜査協力を求めて、韓国に渡った」
というニュースもありました(ググれば出ます)。
こういった状況に、スラセンジャーの出所のことなども考え合わせれば、
犯人の出身国の候補として、「韓国」の線はありうるかなと。
-----
また、スラセンジャーの出所という意味では、
統一日報が指摘している「中国吉林省」も、
犯人の出身地の候補としては、ありかなと。
警視庁によるプロファイリング、
「漢字を識別できる言語能力がある」についても、
犯人が吉林省出身者なら---朝鮮族自治州では中国語と朝鮮語が公用語とのこと---無理なく当てはまるのではないかと。
まあ吉林省じゃなくても、
どの国の外国人でも、日本語の学習さえしていれば、
多少の漢字を識別することくらいはできるだろう、とは思いますが・・・。
-----
韓国、吉林省以外で、
個人的に、「これらの地域は?」と気になるのが、
フィリピン、インドネシアなど東南アジア、
トンガなどオセアニア、
ブラジル、ペルーなど南米、といったところかと。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E5%8D%97%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2
(東南アジアのウィキペディア)
DNA型(父系O3a2c1-M134、母系アンダーソンH15)の分布という意味では、
韓国や吉林省よりも、それらの地域に、より多そうだ・・・
という、ただの印象によるのではあるのですが。
仮に、犯人がそうした地域の出身者だとした場合、
スラセンジャー(1998年10月~2000年11月の間に販売)の解釈としては、
例えば、東南アジア人か南米人が、当初は韓国で出稼ぎをしていたが、
97年から始まったアジア通貨危機で、韓国もIMF管理下に入るなど、経済状況が悪化したこともあり、
それを嫌って、98年後半~99年初頭にかけて日本に渡って来た、
その際、足には韓国滞在時に購入していたスラセンジャーを履いていた・・・
などとこじつけてみるのもありかなと。
(他の「遺留品」との整合性は、とりあえず無視)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E9%80%9A%E8%B2%A8%E5%8D%B1%E6%A9%9F
(アジア通貨危機のウィキペディア)
しかし、そうなると、98年後半~99年初頭にかけて
韓国経由で日本に渡ってきたフィリピン人やブラジル人、ペルー人が、
2000年の年末に起こした犯罪の犯行現場で、
「この犯人、漢字を識別できているようだ」(警視庁によるプロファイリング)
と思わせる程度の痕跡を残すものかどうか、
来日後に日本語を勉強すれば、あり得なくはないでしょうが、
若干、微妙な気もします。
DNA型については、2017年現在の技術で再鑑定し、
その結果を公表してほしいところです。
-----
あとは、アメリカ人の可能性、
ヒップバッグから採取されたという「モハーヴェ砂漠」であるとか、
「エドワーズ空軍基地」とかの砂粒が、アメリカ臭を漂わせているということ、
自分的には、その砂粒が、アジアや中南米など、
他の地域の砂であることも考えられるのでは、と思っているので、
その砂粒を、国籍推定の前提にするということは、
しないでおこうかなと。
ただし、それはあくまで素人の感想なので、
その砂粒が100%間違いなくエドワーズ空軍基地周辺のものなら、
「犯人 = 在日米軍基地所属の軍人や、職員、またはその関係者(家族など)」
という線も出てくるのでは、と思います。
----------
5. 犯人像(年齢)
25歳前後。30代もあり。
「飛び出しマン」が共犯の一人だった・・・というのが、このブログ的な設定なので・・・。
目撃証言によると、その年齢は、25~35歳程度に見えたらしいのですね。
飛び出しマンがその年齢だとすると、
それとつるんでいた屋内侵入者(殺害犯)も、似たような年齢かなと。
事件前日の昼頃に、吉祥寺の西友で
凶器と同型の柳刃包丁を買っていた男の似顔絵が公開されていますが、
そちらは、年齢30代とされています。(推定ということですが)
私は、この吉祥寺西友男も怪しいと思っているので・・・。
犯人らの年齢は、25~30歳程度だったのではないかなと。
フェンスをよじ登り、中2階風呂窓から侵入するとか、
4人を殺害し、お茶をがぶ飲み、アイスをドカ食いといった点には
ある程度の若さが見えている気はしますが、
しかし殺害後に家中を荒らし、免許証などを頼りに、
おそらくキャッシュカードの暗証番号を割り出そうとしたようだ、といった行動から、
おそらく、中高生とかの犯罪ではないと考えます。
----------
6. 犯人像(どういった社会的な立場~職業の人間だったのか)
・外国人留学生(大学生)
・語学留学生(専門学校生、あるいは語学留学生という名の出稼ぎ労働者)
・技能実習生
・密航・ビザ切れによる不法滞在~不法就労者
・武装すり団など犯罪目的で渡航してきた者たち
このあたりを想像。
「中高生による犯行」を思わせるようなところでもあれば、
「外国人家族の子弟」
とかも候補に入ると思うのですが、
自分的には、もう少し上の年齢層の外国人による、金目当ての犯行と考えているので、
本人らの意思で渡航してきた者たち、ということを前提に・・・
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%80%E8%83%BD%E5%AE%9F%E7%BF%92%E5%88%B6%E5%BA%A6
(技能実習制度のウィキペディア)
留学生(大学生や専門学校生)ということについては、自分でも少し疑問に思うところもあり、
例えば、例の「柳刃包丁の柄に施されていた黒ハンカチの細工」について、自分は、
「侵入直前に共犯が逃げてしまって、一人だけ屋内に取り残された犯人が、"全員殺害"に計画変更して、急きょ施した滑り止めの細工だった」
とみているのですが、
滑り止めとしてはちゃちとはいえ、
そんな細工を急きょ思いつくあたりは、妙なプロっぽさがある、そこから、
「この犯人は、以前にも刃物で人を殺傷して、自分の手を怪我したことがあったのではないか」
「その時の経験から、人に刃物を突き立てる際の、滑り止めの必要性を理解していたのではないか」
とも思えてくるのであり---ちなみに、もし最初から「殺害目的」で侵入してきたのであれば、この犯人なら、凶器として、柄の滑りやすい柳刃包丁(新品だった模様)ではなく、最初から滑り止め付きの刃物を持ち込んできただろうと思うのですが、そうしなかったということは、やはり当初は、それを実際に人体に突き立てる~つまり殺害する予定にはなかったのではないかと思うわけですが---いずれにしても、そう考えてみると、「学生」という印象にはほど遠い気もしてくるのですが・・・
しかし一方で、福岡の一家4人殺害(2003年6月)や、
大分の恩人殺し(2002年1月)などを見ていると、
留学生でも、共謀してこの種の強盗殺人事件を起こしている現実があり、
殺傷時に刃物の柄に滑り止めの細工をするなど、妙なプロっぽさがうかがわれるからと言って、
一概に、「学生」の線が排除されることはないのかなと。
私は、この世田谷事件について、
留学生による犯行の線は、普通にありだと思っています。