世田谷一家殺害事件・その1 | 雑感

雑感

たまに更新。ご覧いただきありがとうございます。(ごく稀にピグとも申請をいただくことがあるのですが、当方ピグはしておりません。申請お受けできず本当にすみません)

世田谷一家殺害事件

(「静かな夜。妙に寝つかれなかった。完全に眠りについたのは、一時過ぎだったろうか。あとで、どれほど思い返しても、変わった物音など何一つしなかった。耳栓はしていたけれど、そんなにきっちりしていたわけではない。時々風の音がするだけで、いつものように静かな夜だった。」・・・入江杏著『この悲しみの意味を知ることができるなら---世田谷事件・喪失と再生の物語』より)

 

※※ パソコンからご覧の場合で、画像によってはクリックしても十分な大きさにまで拡大されず、画像中の文字その他の細かい部分が見えにくいという場合があります(画像中に細かい説明書きを入れている画像ほどその傾向が強いです)。その場合は、お手数ですが、ご使用のブラウザで、画面表示の拡大率を「125%」「150%」「175%」等に設定して、ご覧いただければと思います※※

 

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おそらく、日本で一番有名な未解決事件ではないかと。

 

情報量も多く、まともに取り上げると収拾がつかないことになりそうなので、気になる点だけピックアップしつつ、併せて感想も書き連ねていこうと思うのですが、いつにも増して妄想交じりの雑感につき、その程度のものとして読み流していただければと。

 

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■ 事件現場が最寄りの鉄道4駅から、けっこう遠い

 

世田谷一家殺害事件

(赤ピンの先が事件現場)

 

グーグルマップで、最寄りの鉄道4駅から事件現場への、徒歩での距離と所要時間を計算してみると、

 

仙川駅から(1.6km、徒歩20分)

千歳烏山駅から(1.6km、徒歩19分)

成城学園前駅から(2.0km、徒歩20分)

祖師ヶ谷大蔵駅から(2.1km、徒歩25分)

 

こんな感じです。

人により所要時間には幅がありそうですが、少なくとも、流しの泥棒や強盗が最寄りのいずれかの駅で降り、ターゲットを物色しながら、徒歩でふらふらとこの事件現場に辿り着いたという筋書きは、ありえないとは思わないにせよ、距離や時間という観点からすれば、若干考えにくいのかな、という気がしました。(今さら感が凄いですが、その点はご容赦いただければと。続きはまた後日に)

 

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 事件発生が、2000年12月30日夜~31日未明

 

世田谷一家殺害事件

 

侵入と殺害行為は、12月30日の夜11時ごろから31日の未明にかけて行われた、とする見方が一般的かと。(30日のもっと早い時間帯であるとする説もあり。)

 

30日は土曜日、年内には翌31日の大晦日(日曜日)を残すのみ、明けて正月の三が日。

 

業種にもよりますが、一般的には、社会人なら30日(土曜日)から年末年始の休みに入っていた人が多いと思われ、学生なら冬休み中であると。

鉄道や高速道路での帰省ラッシュ、空港での出国ラッシュ以外にも、友人知人に会うであるとか、遊びに出掛けるであるとかの人々が陸路空路で大量に移動し、また例えば、

 

「日本での仕事も終えて、下宿も引き払ったし、近々成田から帰国するんだけど、ホテルも高いしそもそも予約が取れないし、お前のところに泊めてくれない? 3泊くらいでいいからさ」

「密航船(帰りの便)が年明けに千葉の漁港から出るんだけど、それまでの宿がない。悪いけど、お前のところに1週間ほど泊めてくれ」

 

とかのお願い電話も、そこかしこに飛び交っていたかもしれず、いずれにしても、いわゆる「年末休み」の時期に事件が起きているのは微妙に気になる点ではあるなと。

この点、作家の黒川博行氏が、

「私は今、執筆中の小説のため、外国人が起こした強盗、覚醒剤の密輸事件などの記録を調べているが、中国マフィアなどに雇われ、語学留学生などと身分を偽って入国する若いセミプロの犯罪者が驚くほど多い。ど田舎出身の彼らは貧しく、10万円くらいで何でもやります。
他の仕事で来日した若いセミプロが帰国する直前、置きみやげに"稼ごうか"的な感覚で宮澤さんの家に忍び込んだ。動機は知人がこの辺りに住んでいるので帰国するまで一晩、泊めてもらおうと訪ね、昼間に公園をブラついていたら、たまたま宮澤さんの家の2階の風呂の窓が開いているのが見えた。それで夜、もう一度来たら、まだ開いたままだ。よし、やるか。万一、騒がれたら刺して逃げよう---。
現場周辺を見る限り、区画整備でほとんどの住宅が立ち退きになり、大きな祖師谷公園の中にポツンと宮澤さんの家が残っているという、犯行には理想的な状況だと思います。血の海になった現場に犯人が一晩、居座ったのは、単純に飛行機までの時間をつぶしていた・・・。案外、これが真相ではないか? これだけ犯人の痕跡が掴めないのは、すでに出国してしまったからではないか?」(『真犯人に告ぐ!未解決事件ファイル』朝日新聞出版)

との推理をされてますが、確かに一つの見方として、これはありかなと。

そして、この見方だと、最寄り駅からけっこう遠く、「陸の孤島」にも例えられる宮澤さん宅あたりに犯人がやってくるのに、必ずしも土地勘は必要ない、ということになるのかな、と思います。(1~2日前に現場付近にある知人のアパートに泊まりにきて、知人が出払っている昼間に見物がてら祖師谷公園あたりをぶらついていただけのよそ者でもやれる)

 

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 犯人のDNA(父系O3a2c1-M134、母系アンダーソンH15)

 

世田谷一家殺害事件

 

画像の文章は、ウィキペディアより。

犯人のDNAについて、父系を表す部分の型(O3a2c1-M134)は、

 

「日本人の約13人に1人、中国人の約10人に1人、韓国人の約5人に1人」

 

という割合でみられる型であったと。

この型は他の地域でも見られるものであり、例えば、

 

1. インドネシア・スマトラ島のトバ・バタック族(38人中21人 = 55.3%)

2. トンガ人(12人中5人 = 41.7%)

3. フィリピン人(48人中12人 = 25.0%)

 

とりあえず、こんな割合で同型が見られたと。

同じ調査では、日本人263人からもサンプルを採り、結果、11人からこの型が出たそうで(4.2%)、これだと、上のウィキペディアの画像(産経記事)が言うような「日本人の約13人に1人」ではなくて、「日本人の約24人に1人」という割合だと思うが、ばらつきはあるにせよ、この父系遺伝子について、「日本人には少ない型」とは言えるだろうなと。

 

一方で、母系を表すミトコンドリアDNAの型(アンダーソンH15型)は、ウィキペディアによると

「アドリア海や地中海の南欧系民族に見られる(アジア民族には見られない)」

とのことで、

 

世田谷一家殺害事件

(赤矢印の先アドリア海。北米&南米大陸は省略)

 

先の「父系」の話も併せて、DNA型から見る限り、世田谷事件の犯人=外国人の可能性はけっこうあるのかなと。

 

ただし、そこだけを強調して「外国人だ」とするのは危険と思われ、

私の理解で間違っているかもしれませんが、ミトコンドリアDNAは代々女性が受け渡していくので、例えば、千何百年も前にアジアの某部族の男が攻め入った先で白系の女性(アンダーソンH15型保有者)を分捕り品として連れ去り、

その女性が娘A(ハーフ)を産み、娘Aが娘B(クォーター)を産み、娘Bが娘Cを産み、娘Cが娘Dを産みしながら、延々とその血統の女系が絶えることなく続いたとして、

アジアの某地域内での交配を繰り返しつつ、千何百年経った現在、娘@70代目は誰がどう見ても「アジア民族」のくくりの人であり、その姿かたちは、完全にアジア系のそれであると、

しかし、その遺伝子を調べてみると、母系のそれは間違いなく千何百年前から連綿と受け継がれてきたアドリア海沿岸のそれ(アンダーソンH15型)であると、

そういうことが起こりうる・・・という理解なんですが、もしその理解で正しいとすれば、世田谷の犯人について、「母系がアンダーソンH15型だから、母親か祖母が南欧系の白人だろう」とは、必ずしも言えず(百代前が南欧系の白人の可能性もあり)、

また、父系の遺伝子(O3a2c1-M134)にしても、割合は少ないながらも「日本人にも見られる型」とのことなので、それらを考えあわせれば、犯人が上のような遺伝子を持った「日本生まれ、日本育ちの、日本国籍者」である可能性も当然にありかと。

そういった意味では、特別捜査本部の言う、

 

「アジア系含む日本国外の人、または混血の日本人である可能性を視野に入れて捜査している」

「ずっと遡った祖先が混血だった可能性も否定できないため、犯人が純粋な日本人である可能性も否定せずに、国内でも幅広く捜査する」

 

という見解は、わりと妥当なんじゃないでしょうか。

あと、上のDNA鑑定は2006年に行われたものとのことで、2017年現在の技術で再鑑定し、そこから明らかになったことを、できる限り公表してほしいなと。

 

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 黒いハンカチ(三角に折られ両端がよれていたほう)の用途

 

三角に折られた状態で現場に落ちていた、黒いハンカチ、この用途は何なのかと。

これについての警察の推測が、POLICEチャンネル(ポリスチャンネル)の動画に載ってます。(同じものをようつべでも見れますが)

その動画の中で、特別捜査本部の野間警部(ビデオ作製当時)曰く、

 

「中2階の廊下のほうには、(現場に遺留されていた2枚のハンカチのうちの1枚が)このような三角の形で置かれておりまして、端のほうが、このようにして若干よれていましたので・・・」

世田谷一家殺害事件

 

「ひょっとしたら、こういった形でマスクにしたんではないかという風に考えております。」

世田谷一家殺害事件

 

とのこと。

 

ハンカチは「無印良品」で販売されていたもので、綿製、黒色無地、縦横45cmの正方形(対角線の長さが約63.6cm)。

これを三角に折って、口元を覆い、覆面として使ったのでは?ということなのですが・・・。

 

世田谷一家殺害事件

(バンダナ使用例)

 

当方、62.3cmの紐で実験してみました。(63センチに切ったつもりが、ハサミの入れ方が雑すぎて、7mmずれた)

画像のような感じで鼻まで覆うスタイル、鼻の下だけを隠すスタイル(口だけ隠すスタイル)、両方のスタイルを試しましたが、両方いけました(後頭部で結ぶことができた)。

 

ただし、鼻まで覆うスタイルのほうは、結ぶ際に

「犯行現場で、緊張状態の中で急いで結ぶのなら、もう少し大きいサイズのバンダナとかを用意したほうが、余裕のある結び方ができるんじゃないか」

という感じでした。

実際は、私が使ったような紐(ビニール)ではなく、ハンカチを三角に折ってその両端を絞り、それを後頭部で結ぶわけですから、紐よりは結びにくくもなるだろうと思うわけで。

 

現場に残されていた黒いハンカチ2枚は、けっこう洗濯されてる様子もあったらしく、もし、犯人がこれを覆面として使ったのであれば、「色も黒だし血が付着しても目立たないし、有り合わせだけど、これで間に合わせよう」ということだったんでしょうか。

 

また、このハンカチで口元を覆っていたのであれば、(絶対ではないですが)その状態で宮澤みきおさんとの格闘に入ったことが想像されるんですが、それなら、このハンカチに犯人の唾液とかが付着してないんでしょうか?

野間警部は、「ひょっとしたら、こういった形でマスクにしたんではないか、という風に考えております」と曖昧な言い方をされてますが、唾液の付着が顕著であれば、

 

「口に当てていたと思われる部分にA型の唾液が付いておりまして、両端を絞っていることなどからも、これを口元に当て、覆面としていたものと考えております」

 

と、はっきり言えただろうと思うんですが、唾液の付着とかが見られなかったためにハンカチの用途がいまいち絞り切れず、「ひょっとしたら、こういった形でマスクに・・・」という、自信なさげな言い方になってしまったんでしょうか?

それとも警察的には、「実は、唾液がたんまり付いてたんですよ」とは(捜査で明らかになったことはなるべく秘匿しておきたい的な意味で)言いにくかったのでしょうか?

 

ともあれ、「マスクに使ったのでは?」という警察の推測自体に異論はないので、他にも様々な説があるのは知ってはいますが、こちらでは単純に、

 

「三角のハンカチ = 覆面(マスク)」

 

という見方で話を進めてみようかなと。

 

三角ハンカチについての追記: 
この事件について、「顔見知りの怨恨によるのでは?」という見方がある一方で、「外国人による犯行では?」ということも、よく言われているところかと。

それは、スラセンジャーであったり、アメリカの(ものとされる)砂であったり、モナザイトであったりするんだと思うのですが、わたし的には、この「三角に折られた黒ハンカチの覆面」---犯人が覆面の用途で使ったとすればですが---なども妙に外国を感じさせるというか、

調べてみると、日本人でもこの三角覆面で現場に押し入る犯罪者は、いるにはいるようなんですが、あまり聞かない気がするなと。

日本は外国人の目からは「異様に見える」というくらいの「マスク文化」であって、日本の場合、犯罪を犯す場合も、顔を隠すなら基本マスクじゃないのかと。

しかもマスクなら、年末という季節柄、着用して外を歩いていても、何ら不自然さはないわけで。

「世田谷の犯人も、当初はマスク(白)で顔を隠そうと思ったが、返り血を考慮して、黒ハンカチでの覆面にした」

と見ることもできるかもしれませんが(黒いマスクは最近のアイテムかと)、

しかしそのわりには、明るい色のラグランを着て刺しまくり、ラグランを血まみれにしてみたり、

スラセンジャーも、ベースの色は白だった(ラインは灰色か紺)ことを考えると、果たしてこの犯人に、返り血を考慮するような頭があったのかと。

もし、犯人が顔を隠す道具として黒ハンカチを選んだのが、「返り血が気になった(黒なら血が目立たない)」という理由ではなかったとすれば、

もしかすると犯人にとっては、黒とか白とか返り血とかはもともとどうでもよく、覆面するのにハンカチを選んだのは、単にそれが、

 

「自己が属する国や社会において、犯罪目的で現場に押し入るときの、定番のスタイルだったから」

 

かもしれない、などとも思えてくるのであり、

ハンカチ(バンダナ)の覆面をするのが犯行時の定番といえば、偏見かもしれませんが、私にはやはり、外国がイメージされてくると。

このスタイルの強盗などをネットで調べてみると、出てくるのは外国の画像が多く、

見た目でいえば、白人、黒人、ヒスパニックな感じの方々が多い印象ではありました。(あくまで印象)

関心ある方は、画像を検索して考察してみていただければと。

 

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 黒いハンカチ(袋状に細工されていたほう)の用途

 

この犯人は、わけのわからない痕跡をいっぱい残していて、

この袋状に細工された黒いハンカチも、その一つであると。

 

特別捜査本部の野間警部が、このハンカチの用途を推測して曰く、

 

「台所のほうにありましたハンカチは、このように真ん中に穴が開いた状態で・・・」

世田谷一家殺害事件

 

「しかも、ここ(真ん中に開けられた穴)の中のほうに(他の部分の布を)通しまして、このように通した状態で、こういった形で使ったのではないかと考えております。」

世田谷一家殺害事件

 

「(刃物を握るときの)滑り止めみたいなものですかね?」という女性レポーターからの質問に対して野間警部はこれを肯定し、

「(滑り止め)ではないかという風に考えております。」

世田谷一家殺害事件

 

「ですから、発見した時は、このような形状で現場のほうに残されていました。その他、いくつか刃物で(穴を)開けたような状況もありますので、練習をしたのか、それはわかりませんけれども、このような状態で使ってたと。」

世田谷一家殺害事件

 

この袋状に細工された黒ハンカチについては、『真犯人に告ぐ!未解決事件ファイル(朝日新聞出版)』に以下の記述あり。

 

「ぐちゃぐちゃになったハンカチの真ん中、端にはちょうど刃の大きさほどの切り込みが10ヵ所あり、下部分は大量の血液でぐっしょりしていた。ハンカチの端の布と包丁の柄をこの穴に入れ、包丁の滑り止めにしたのではないかと思われる切裁痕が10ヵ所ほどあった。包丁で人を刺した場合、血と脂で滑るので、多くの犯罪者が利き腕を負傷する。犯人はそれを防ぐため、ハンカチをあらかじめ細工し、ヒップバッグに入れて現場に持ってきたと思われる。バッグにも刃と同じ切裁痕があった。三角形のほうは何に使ったのか、不明だが、こちらにも20ヵ所以上の切裁痕があった。(捜査本部関係者)」

 

2006年12月15日付の毎日新聞の記事にも、この袋状に細工された黒ハンカチに関する記述があり、それによると、

 

「犯人が現場に残したハンカチには、包丁の柄が通るくらいの小さな切り込みが入っていたことが新たに分かった。包丁の柄を包み、手がすべりにくくするための細工とみられる。警視庁成城署捜査本部は、細工の特異さに注目。犯人の職歴や生活環境に関連する可能性があるとみている。このハンカチは、宮沢さん方で見つかった黒色の2枚のうち1枚で、45センチ四方。捜査本部によると、布の中央に長さ3センチほどの切り込みがあり、その脇の部分の布が切れ込みを通して裏の方に押し込まれ、袋状に突出した状態で発見された。ハンカチには犯人と宮沢さんらの血液が大量に付着しており、凶器の柳刃包丁(刃渡り21センチ)がそばで見つかった。こうした状況から捜査本部は、犯人が袋状の部分に包丁の柄を差し込んだうえで包丁を握り、宮沢さんらを襲ったとみている。すべり止めの細工としても特異な方法であることから、何らかの職業や慣習に関連がないか、調べを進めている。」

 

とのこと。

 

2007年1月の、統一日報(主に在日韓国・朝鮮人向けの新聞で、本社港区赤坂)の記事では、

 

「犯人はハンカチに穴を開け、裏側から包丁の柄を包んで穴に通し、握っている。警視庁刑事部管理官の廣瀬泰教警視は、こうした凶器の使用例は過去にはないという。」

 

私も実際にこの袋状にする細工を自分でやってみたのですが、結論から言えば、ストッパーにはなる、滑り止めとして使えると。

しかしそれは、「非常に効果がある」ということではなく、あくまで、柳刃包丁(刺身包丁)のような、ストッパーも何もなく滑り止めの加工がされてない刃物を凶器として用いる場合に、

「滑り止めとしては貧弱だが、何もないよりはマシ」

程度の感じでした。

(返り血対策としては、きついのでは?・・・と思いましたが)

 

本来なら、こういうストッパー付きの肉厚な刃物がいいのではと思われるが・・・

世田谷一家殺害事件

 

 

実際に犯人が用いた凶器はこれです。

(「関孫六 銀寿」・・・全長34cm、刃渡り21cm。ネットで見る限り、刃の縦の長さは3.3cmかと)

世田谷一家殺害事件

いわゆる、柳刃、刺身包丁です。(厳密な違いは、当方、知りません)

基本的に、やわらかい食材をスーッと引きながら切るために使うものであって、

硬いものを突きまくるために作られたものではありません。

刃も薄そうで、ストッパーなどは当然なく、

これを握って人体の硬い部分を突いたら、高確率で、自分の手を(刃の根元で)切りそうです。

凶器として、「突く」「刺す」という意味においては、酷い部類ではないのかと。

しかし、そういう酷い部類だからこそ、

袋状に細工された滑り止めであっても、「ないよりはマシ」ではなかったのかなと。

 

また、先の『真犯人に告ぐ!』や、毎日新聞の記事にもあるように、このハンカチは、

 

「大量の血液でぐっしょりしていた」

「犯人と宮沢さんらの血が、大量に付着していた」

 

とのことで、この袋状の黒ハンカチが遺留されていた台所には、

流し台の上に、凶器の柳刃包丁や(宮澤さん宅の)文化包丁も置かれていた、とのことなので、

それらの状況からは、この袋状の黒ハンカチが、

 

「包丁で刺すという行為と密接に関連した使われ方をしたのではないか?」

 

という推測が働くと思われ、その意味で、この黒ハンカチについて、

「凶器の柳刃包丁を握るときの、滑り止めとして使われた」

とする警察の推測には、説得力があるのではないかと。

 

それにしても、もしこれが滑り止めだったとすれば、実に風変わりなやり方だと思うわけで、

(「こうした凶器の使用例は、過去にはない」by警視庁刑事部管理官の廣瀬泰教警視)、

 

例えばこれが、犯人が属する不良グループ、犯罪集団などの間では知られたやり方であったとか、

あるいはまた、犯人の母国(含日本)で、農園や山林での作業であるとか、

とにかく、刃物を使った何らかの作業に従事する場合に、

ボロ布に穴をあけて袋状にして、そこに柄を通して滑り止めにする・・・

みたいな労働者たちの慣習があったとか、

そんな状況でもあれば、この黒ハンカチの袋状の細工は、

犯人の属性を知る上での、大きなヒントにはなりうるのではないかと。

 

ともあれ、この袋状に細工された黒ハンカチについては、

「刃物を握る際の滑り止めとして使用された」

という警察の推測に、自分的には異論はないと。

 

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 2枚の黒ハンカチとヒップバッグにみられた「切裁痕」について

 

犯人が現場に遺留した2枚の黒ハンカチやヒップバッグにつき、

 

・三角に折られていた黒ハンカチには、20か所以上の切裁痕

・袋状に細工されていた黒ハンカチには、10か所ほどの切裁痕

・ヒップバッグにも、刃物でついたとみられる切裁痕

 

このように、切裁痕が残されていたと。(『真犯人に告ぐ!未解決事件ファイル(朝日新聞出版)』)

 

「切裁痕」というと聞きなれない言葉ですが、要は、布地(この場合は黒ハンカチやヒップバッグ)に刃物でついた(とみられる)切り傷であるとか、突き破った痕(穴)であるとか、ここはとりあえずその理解でいいのではないかと。

黒ハンカチとヒップバッグ、ともに、切裁痕の個数や位置が情報により一定しません。

ヒップバッグなどは、切裁痕が1か所のように書いてあるものもあり、20か所のように書いているものもあるという具合で(ハンカチと混同してないかと思うんですが・・・)、

正確なところがわからないので、それをもとに出てくる推測も、その程度のもの(妄想)として、以下、ご覧いただければと。

 

とにかく、謎の切裁痕なわけですが、おそらくこれらは、犯人の趣味や暇つぶしの産物ではなく、なんらかの理由で、意図せずにできてしまったものであろうと。

では、どういう状況でできたのか?

そこを想像してみると、やはり、ハンカチの切裁痕とヒップバッグのそれを関連付けて推理してみるのがいいと思われ、この点、

「柳刃包丁の刃の部分を黒ハンカチで包み隠してヒップバッグに入れているうちに、ハンカチにもヒップバッグにも、切裁痕ができてしまった」

という、よく言われるこの見方は説得力を感じると。

 

一方、自分的にはそれとは若干違う可能性も考えていまして、以下、妄想チックですが書いてみるとすると、

まず、凶器の柳刃包丁の全長は34cm、ネットで見られる同型と思われる関孫六・銀寿のデータによると、正確には「33.7cm」ではなかったかと。

一方のヒップバッグの寸法ですが、2001年2月2日の媒体不明の記事によると、

「捜査本部によると(ヒップバッグは)深緑色で、横26cm、縦20cm、幅11cm。凶器として持ち込まれた柳刃包丁を入れていたとみられ、バッグの右下部分に、包丁の刃先によって開いたとみられる穴があった。」

とのことで、ヒップバッグの形は直方体ではなく、基本、6面の長方形で構成された箱型だとはいえ、四隅が丸みを帯びた布製のバッグなので、単純計算が当てはまるかという疑問はあるのですが、いちおう(単純)計算上は、ヒップバッグ内に「34.6cm」の長さのものまでは入ったと(考えてみたいと)。

これに、バッグ素材の伸縮性なども考えれば、凶器の柳刃包丁は、ヒップバッグには(柄が外に飛び出さない形で)ギリギリのかつかつで入ったのではないかと。

 

世田谷一家殺害事件

世田谷一家殺害事件

 

するとどうなるかというと、おそらく、柳刃の刃先が時にバッグの底を突き破ってしまったり、切り傷がついたりしたのではないか、と思うわけです。

ある時点でそれに気づき、「刃先が露出している。ヤバイ」と思ったバッグの所有者が考えたのは、「バッグの底をガードするため、何らかのもので刃先を覆う、包む」ということではないかと。

 

そこで、普通なら新聞紙や厚紙の登場となるんでしょうが、この所有者は人とは感覚が違ったのか、それとも家なしとか、あるいは外出中に柳刃がヒップバッグの底を貫通してしまって、同行人に小声で

「おい、刃先が出てる・・・」

などと指摘されてしまったための応急処置だったとかで、手元に新聞紙や厚紙自体がなかったかして、刃を包むために急遽あてがったのが黒のハンカチであったと。

45cm四方のハンカチなので、8つ折りとか、おそらくそれ以上の折り方をして、ヒップバッグの底の片隅に敷き、そこに柳刃の刃先をあてがったと。

1枚ずつ使ったのか、それとも、一度に2枚を重ねて使ったのかはわかりませんが、その状態で歩き回るうちに、やがて刃先はハンカチに一つ穴をあけ、一つ傷をつけ、

時に、ヒップバッグの底にも大小の切裁痕をつけながら、やがて2枚の黒ハンカチ合わせて、合計30か所以上とみられる切裁痕ができるに至ったのではないだろうかと。

 

しかし、その見方に立つと、

「(1~2日とかの短期間で穴ぼこだらけになるのは考えにくいので)犯人は、柳刃をわりと以前から持ち歩いていた(柳刃は購入から日数が経った、ある程度使用感のあるものだった)」

という見方になりやすいんでしょうが、聞くところによると、世田谷の事件で用いられた柳刃は、新しかった、新品であったと。

 

新品ということは、「それを購入してから犯行日まで、間がなかった」ことが想像され(買ってから使わないまま、新品状態でしまい込んでいただけかもしれませんが)、

その短期間のうちに、こうまでズバズバとハンカチに切裁痕ができているのは、どういうことなのか・・・、

個人的には、先のような状況できつきつにバッグに押し込んで歩いていれば、1日か2日のうちにそういう状態になることも有り得なくはないだろう、とは思うのですが、

もう少し妄想してみるとすれば、

 

「たった1~2回の貫通で、穴ぼこだらけになった可能性もある」

 

と思うのは、例えばこの一枚のティッシュを、45cm四方の黒ハンカチに見立てるとして、

世田谷一家殺害事件

 

これを十六折り(八つ折りプラスもう一回折る)して、柳刃包丁の刃先にあてがい、それが赤丸の位置(つまり2か所)を貫通したとすると、

世田谷一家殺害事件

 

それだけでハンカチは次の状態になるわけです。(切裁痕は32か所)

世田谷一家殺害事件

 

もしかしたら、犯人は次のように雑な折り方をして刃先にあてがったかもしれず、

世田谷一家殺害事件

 

その場合、赤丸の個所を刃先が一発貫通すると、穴の状態は次のようになると。

世田谷一家殺害事件

(穴の位置などは、完全にランダムに)

 

実際は、柳刃の刃先は、いくつか折りにしたハンカチを「貫通」するだけではなく、

ある個所では貫通寸前で止まったり、ある個所では上から1~2枚を切るのみであったとか、

あるいは、刃先が当たる場所もヒップバッグの揺れに応じてランダムであったでしょうし、

そういう要素を考え合わせれば、切裁痕の大きさや位置は、画像のそれよりもさらにランダムになったことが想像されると。

 

いずれにしても、このように一瞬で多数の切裁痕ができうる、ということを考えると、

犯人は、必ずしも犯行日のかなり前から柳刃を持ち歩き、その刃先にハンカチをあてがっておく必要はなく、
犯行前日に、例えば吉祥寺の西友で柳刃を買い、その刃先にハンカチをあてがい1日半ほど動き回った場合でも、こういう現象(多数の切裁痕)は起こりうる、ということかと。

 

そして、この見方に立つと、例の黒ハンカチの袋状の細工は、

「犯行前にあらかじめ細工して、(バッグのふたから飛び出した)柳刃の柄の部分を覆っていた」

のではなく(私的には2枚ともに、刃先にあてがわれるのに使われていたと想像)、

袋状の細工は、「侵入後にその細工をした」・・・という考えに結び付きやすいかと思うのですが、自分的には、その見方で考えてみたいと。

 

黒ハンカチやヒップバッグの切裁痕について、結論としては、

犯人は柳刃包丁を、おそらく最初は、刃先に何もあてがわない状態でヒップバッグにきつきつの状態で押し込み、まずそれでバッグの底に切裁痕ができたと。

それに気づいた犯人が、突き破り防止のため、小さく折りたたんだ黒ハンカチを刃先にあてがったと(おそらく、2枚ともそれに使用したと想像)、

この折りたたまれたハンカチを刃先が貫通したり傷つけることで、ハンカチには、短期間のうちに多数の切裁痕ができ、バッグの底にもさらなる切裁痕ができた・・・

自分的には、このように考えてみたいと。

 

でも、変なんですよ。

ポリスチャンネルの動画で公開されている、遺留品のヒップバッグなんですが、

 

世田谷一家殺害事件

 

白丸のところ、これ、穴ですよね。いわゆる切裁痕の一つかと。

こんな穴あきのシロモノを公開しているということは、これは、犯人が遺留した現物だろうと思うわけです。

それとも、穴の位置まで正確に再現した、レプリカなんでしょうか?

いずれにしても、穴の位置が気になるわけで、

「柳刃の全体を、ヒップバッグにきつきつに押し込んでいただろう」という私の想定からすると、

刃先の向きによって、切裁痕は青丸か赤丸の位置に集中しそうに思うのですが、
画像のこれは、白丸の位置にでかでかと穴があいていると。

 

こういう画像を見ると、自分の説も危ういものだと思えてくるわけです。

 

都合の良い解釈をするとすれば、

このバッグは、何らかの理由で白丸の位置に穴があいたものを、前のオーナーが祖師谷公園のごみ箱か植え込みに投げ捨て、それを別人が拾った、

あるいは、「穴あきだけど、使う?」みたいな感じで、前のオーナーが別人に譲り渡した、

またあるいは、このヒップバッグは初めから犯人所有のものだったが、当初はこれにもっと短い刃物を入れており、その短い刃物が何かの拍子に底を突き破ってできたのが白丸の位置の穴である、等の経緯があり、白丸の位置の穴は犯行に使われた柳刃の刃先とは無関係・・・

 

などと考えてみるのですが、どんなもんでしょうか。

 

(その2へ続く)