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ある日ふと見つけたあのコ。

通り過ぎようとした瞬間ふと目に止まった。

大好きなバニラの匂い。

迷っていた心も不安で今にも泣き出しそうなココロも包みこんでくれるよ
うな香り。

あたしの第六感が働く。

匂いと共に残る記憶があまりにも多すぎて。

その中の良い悪いで今の好みが変わる。

大嫌いだった物が大好きに。

その逆も。

あたしは結局自分がないんだ。

『さっきお前と同じ匂いがしたから、お前がいるかと思った。』

そんなことを聞いてしまったときからあたしは何年同じ香りを身にまとっ
ているんだろう?

嫌いと言われたらすぐにでも変えるだろう香水を。

でも、今ボトル半分残っている例の香水を使うのをやめた。

自分を見つけたくて。

なーんてことを思いながら、もったいないとさっき消したキャンドルに目
を落とした。

さっきまで透明だった液体と化したキャンドルが冷めて固まり、液体の中
でいつ落ちてしまったのかわからない子バエがユラユラ揺れていた姿も見
えなくなっていた。

少し声に出して驚いた。

手で触ってみる。

まだ柔らかく暖かい。

火を灯してみようか?

あなたもこの匂いのトリコなんだね。

あたしも誘われて溺れたいと思った。

そんな東京の夜。




もあったなー(笑)