好奇心は猫をも殺す
今日は、猫の話。
なんで猫かというと、ちょっと面白い論文の話を聞いたからなんです。
ところで、実験動物としては、猫はあまり使い勝手がよくないんです。
何故なら、繁殖に時間がかかるという理由があるからです。
(あと、お金も)
例えば、哺乳類の実験動物として最もポピュラーなのは、やはりマウスやモルモットでしょう。マウスやモルモットは二十日くらいで子供を産むと言われているように、容易に繁殖します。
生物系あるいは医学系の学部があれば、どこかの研究室でまず間違いなく飼っていると思われるくらいポピュラーです。
菌類の場合は大腸菌ですかね。何故なら、あれは20分に1回分裂して繁殖しますから。
ちなみに、「大腸菌は20分に1回セックスしているのか、すげぇー」と言った人が後輩にいましたが、大腸菌は分裂して増殖しますので、セックスはしません。当然です。
(けど、真核細胞のモデルとして実験で使用されるのは酵母だけど)
まぁ、そんなわけで、猫は実験動物としてはあまり使われないんですね。
それじゃ、なんで猫を研究しているかというと、猫はペットになるからなんです。例えば、猫の毛の色に関する研究とかが行われています。
(なんでペット関係かというと、研究資金を得易いという理由があるんだけどね)
で、今日、紹介する実験も、ペットに関係する話です。
岩手大学と理化学研究所の人たちがやった研究です。
それじゃ、何を調べたかというと…………
猫のオシッコ
を調べたわけです。
その論文と、理研のプレスリリースは
Molecular cloning and characterization of a novel carboxylesterase-like
protein that is physiologically present at high concentrations in the urine of
猫のオシッコは臭い。
何でそんなに臭いのか、調べてみよう。
ということで、調べたらしいです。
ホントに、研究者らしい発想ですよね。
普通の人間は、そんなこと考えませんから。
オシッコが臭い、当たり前だろ、で終わりそうですし、臭い何でかな? と思っても、それ以上、調べません。
こういうことに興味を持ち、調べることができる人って、佐和は本当に尊敬してしまいます。
(ただ大の大人がみんなで、白衣を着ながら、猫のオシッコを分析しようとする姿はなかなかシュールですがww)
それでこのグループは、ネコの尿中に大量に存在している未知タンパク質が、ネコ特有な尿臭の生産メカニズムに重要な役割を果たしていることを解明したらしいんですが、そのタンパク質の名前も本当に面白い。
ハッキリ言って、このネーミングセンスは素晴らしい。
十分、コピーライターとしても活躍できます。
この研究グループはその未知タンパク質に「コーキシン」cauxinって名づけたんです。
Carboxylesterase like urinary excreted proteinの略語で、日本語の「好奇心」という言葉に由来している、とのこと。
ちょっと待ってよww
コーキシンって名前を付けたいがために、無理やり、略しているのが見え見えなんですが……。
だって、cauxinのxって本当に無理やり持ってきているじゃんww
けど、佐和は、うわぁー、ホントにこういった研究をしている人って天才だなぁ、って思ってしまいます。
「猫」と「好奇心」って聞くと
英語の諺「Curiosity killed the cat」の「好奇心は猫をも殺す」を思い出すんだけど、それに掛けて、このグループは、未知タンパク質のネーミングを考えているんだね。
ホントにすげぇー!!!
ちなみに、「好奇心は猫をも殺す」の意味は、好奇心もほどほどにしなさいっていうことなんだけど、研究者がこういった意味の言葉を遠まわしに使用すると、含蓄があるね。
こういった他人の思考の「スパッ!!」とした切れ味に触れると、すごく興奮します。ホントに心から、尊敬してしまいます。
ということで、この記事を読んだ猫好きの人は、猫がオシッコしたら、コーキシンが出てるんだ。これが猫のオシッコの臭いの生成に重要なんだって科学的な好奇心を持ちながら、観察すればいいんじゃないかな。