科学は怖い?
純粋に科学の面白さを追及して、
それが多くの人の命を奪うということは
人類の歴史上、何度もあったことである。
例えば、人類をはじめて月へ送ったとされる
アポロ11号のロケットをつくった技術者の一人。
ヴェルナー・フォン・ブラウンは、
ナチスが支配するドイツ帝国で、
V-2ロケットというロンドンを火の海に
変えた兵器を開発した。
彼は兵器としてのロケットが完成したとき、
これで月へいけるのだから歓ぶべきことだ、
という意味の発言をしたと言われている。
そのロケットに傾ける情熱があまりに常軌を逸していて
同じナチスに属していた組織であるゲシュタポやSS(ナチスの親衛隊)に睨まれたほどだ。
多数の人の死を犠牲にして、自分の目的を完遂しようとした
彼は利己的と言えるが、科学とは生来、
そういうものであるのではないか。
彼のとった行動が良いことであったのか、
悪いことであったのかは、僕にはわからない。
もしも地球の資源が枯渇し、人類が
生活の場を求めて宇宙へと行かなければならない、
という事態になったら、ロケット兵器をつくったことによる
フォン・ブラウンの宇宙開発への貢献は賞賛されるべきものだろう。
何故なら、そんな事態に地球がなれば、おそらく戦争状態となり、
餓死者を含めた死亡者は、彼が開発した兵器で殺された人の
何百倍にも上るの容易に予想できるからだ。
まぁ、人の正しさなんて、その時代、時代で異なっているし、
同じ時代でも複数あるから、何が正しいなんて決められないと思うんだけど、
ただ彼がつくった兵器で人が死んだという事実は変わらないです。
ところで、なんでこんなことを書いているかというと、
最近、科学者のモラルを問う発言を聞くからです。
僕はバイオテクノロジー関係の大学院にいるから過敏になるのかもしれないのですが、
科学者はもっと倫理をもって研究しろみたいなことを、
何も考えずにいっている人が多すぎると思うのです。
おそらく遺伝子組み換え食品に関する
危険性が一人歩きしたものだと考えられる。
(ちなみに、遺伝子組み換え食品が危険だとされている報告の大部分は、自然界でありえない条件で実験されたものです。だからといって、僕はすべて遺伝子組み換え食品は安全だとは言えないですけど)
僕は思う。
確かにそのような研究に携わっているものとして、
何らかの自戒は必要である、と思う。
しかし、他の学問をやっている人は、現在のこの社会について
何か真面目に考えているのだろうか?
例えば、倫理観がどうたらというのなら、
それは、まず哲学や社会学の研究者も
発言をするべきであり、社会的な責任が
あるのではないか?
なぜ、理系の人間ばかりが言われなければならないのか?
それらの学問が現在の社会で行われていることに
意見できないのならば、そんな学問はいらないのではないか?
(自分でも極論だと思います)
20世紀最大の悲劇のひとつ原子爆弾。
これを製造した技術者の一人であるアルバート・アインシュタインは、
ユダヤ人であったので、ナチスに殺されるのではないか、という恐怖心から
原爆製造に関わったと言われている。
確かに科学は大量殺戮を行ったのかもしれないが、
そのような世界情勢をつくったのは、政治ではないか?
国や政府といったレベルでの科学は
どちらかといえば、科学は道具を作るだけと見なされ、
影響力は、実は他の学問に比べて小さいと思う。
それなのに、なぜ科学ばかりが悪者にされるのか?
僕には他の学問をやっている人が、
自分は世界とは無関係だと心の奥底では考え、
逃げている結果、こういうことが起こっていると思う。
(いや、なんとなく、勢いだけで、書いちゃったよ。それにしても、柄にもなく真面目なこと書くな、と自分でも思うよ。まぁ、どうせ誰も見ないから、いっか。)