日本の社会では訴訟問題に巻き込まれるのは、余ほど悪い事をした人又は、会社組織の様ですが、米国では自動車事故でも身近な事故でも、直ぐに訴訟に持って行かれることがあるのです。

 

私も訴えられそうになったり、訴えられたり、習慣の違いで夫婦の間でも訴訟問題に持ち込んで自動車保険からお金が出させるようにする世の中です。米国の訴訟問題の経験をお話しましょう。

 

30数年前、フリーウエイで感謝祭のパーティーに急いで帰宅して、再び出掛ける必要があり、多少は急いでいた時のフリーウエイの上で、【コツン!!】と前の車にぶつけてしまいました。

 

4連休の前日の夕方ですから、フり-ウエイは(バンパーToバンパー)と表現されるほど、車が多く、バンパーが接触するほどにノロノロ運転で、大変 道は混雑していた時間です。

右端に寄って、相手の人と免許証と自動車保険証の番号を交換しました。相手の方は東洋人の中年女性で、汚い英語で私が一方的に悪いと、まくし立てておられました。こういう時は余り必要以外の事は話さない事 と聞いていましたので、黙っておりました。これが私の2回目の交通事故だったのです。

 

一回目はCA州での運転間もない頃、広い駐車場から出ようとして右を見て、左を見て安全を確認して出ましたら、右側からタクシーが飛んできてぶつかりました。日本街の中でしたから、直ぐにお願いしている保険屋さんにお電話しましたら、社長さんがバインダー片手に直ぐに来て下さってその場で調書を作り、相手の運転手さんと話して下さって、【警察にも届けて置いてあげるから、気を付けてお帰りなさい。問題ないよ】 と言って下さって、総て処理、保険から事故の補償もしてくださってその後は、何の問題もありませんでした。

 

従って、2回目なので警察に届けるのは連休明けでOKだと思ってすぐには警察にレポートはしませんでした。

 

 

すると連休中に警察官2人の訪問を受けました。

【車の事故をして、届け出がしてないようだけど。。。】との事。

【あら、連休明けに警察に行く予定だったのですが、連休中でも働いているのですか??】 とお尋ねしたら、あきれていたようです。 その場でレポートを作ってくれて、【次からは直ぐに警察を呼んでレポートだけは作るようにしてください。】 とアドバイスされたのです。 米国ものんびりした良い時代だったのです。

 

そして数週間、もう事故など忘れた頃に日系の弁護士さんから連絡があり【先日の交通事故で相手方が、むち打ち症になったり、会社を休んだりダメージが多かったので訴えてきています。私が弁護士として保険屋さんから依頼されました。保険で弁護士費用もカバーされますし、総て保険でカバーされますが協力はして頂けますね?】との事です。

 

相手は3世の日系人の方で米国人の事務所のアシスタントをされている方だったそうです。其の時の私の車はアメ車に乗って居ました。 日本からの友人知人を一寸でもおのせすると 【アメ車ですね。此れは銀座のママさんに一番人気の車種ですよ】とか言われていました。フォード社の中型車です。小さい車ですと 事故の時に自分がケガする恐れがありますので、少し大きな車だと安全だと思って買いました。

 

訴訟されたと言っても犯罪ではないし、弁護士さんが殆ど処理して下さるので、本人は何もする必要はありませんでした。

数カ月して(その間に弁護士さんは何度か裁判所に行かれたそうですが、総て代理人という事で済まされます。)、 弁護士さんから連絡があり【調書を作成しなければなりませんので、少しお時間が掛かります。そのつもりで僕の事務所にお出かけください】との事でした。 ボスに許可を貰ってでかけました。

 

米国で弁護士さんのお世話になるのは二人目です。

最初の弁護士さんはニューヨークから西海岸に移ってきて、滞在できるビザが【Eビザ】という駐在員のビザでしたので、その会社に属していないので、変えなければなりません。以前に米国のフラワーデザイナーの學校を3校通い、米国のお免状を持っておりましたので、デザイナーとして労働許可証を取り、働けるビザを習得するのに、ビザに詳しい弁護士さんにお願いしました経験があります。今度の弁護士さんは会社法に詳しい、訴訟にも強い弁護士さんとの事でした。

 

大きなビルの中にある弁護士さんのオフィスで、先生が直接、いろいろな私の事を聞き取り書き込んでゆかれます。バックグラウンドです。何故、米国にやって来たのか?前の職業、住所、米国のソーシャルセキュリティーという日本でいうマイナンバーを持っておりますましたが、其れさえ西海岸と東の州ごとには番号の始まりが違い直ぐに何処で採ったのか判ります。 両親の国籍から年齢、あらゆることを聞かれました。仕事に不満があったのか?とか 精神的に問題があったのか?などを知る為だそうです。

 

4時間以上も掛けて、ボーイフレンドの有無迄聞かれた調書作りで、【多分、貴女自身が法廷に呼び出されることは無いと思います。私が代理人になって何度か裁判所に行くことになります。向こうはこちらの保険が良かったので、取れるだけ採ろうという魂胆です。 大きな金額を要求してきた場合、法廷に呼び出されることもありますが、先ず大丈夫でしょう。】といわれました。 その後、一度だけあちらの弁護士さんと訴訟した方、此方も弁護士さんと共に、書類に署名をする為にお目に掛かりました。

殆どの時間を弁護士さんの決まりきった言葉で、笑顔もなく淡々と署名して、 握手もしませんでした。

 

そして 忘れた頃です、 【問題は解決しました。保険で総て支払いました。ご安心下さい】と保険屋さんからと弁護士さんから連絡がありました。 

 

 

其の後、 十数年経ち、仕事仲間が訴訟問題に巻き込まれた時は【良い弁護士さんにお願いする事が大切ですよ】とアドバイスしていました。 小さいながらも事務所を任される事になった時は

【米国ですから、弁護士さんと、会計士さんに判らない事を ご相談する費用には文句を着けないとお約束下さい】と本社に条件を付けたほどです。 日本のように会社の顧問弁護士というのではなく、訴訟問題が起こった時に、その都度、専門の弁護士さんにお願いするというのが米国の会社のやり方です。

 

顧客の中にも弁護士さんが数名もおられ、ワシントンDCでの大統領関係の弁護士さんも直接、【内緒の訪日だけれど。。。】とお電話を頂くようになっておりました。 9-11が起こった時は米国人の友人の関係者が被害に遭われて、訴訟問題に強い弁護士さんを探していると泣きながら連絡がありました。あれから、20数年経ちます。

 

其の間に、会社が使っていた英語の宣伝文句について、テキサス州のある会社から、【此処に使われている英語の宣伝文句は、我が社の経営するホテルで永年、使っている物で、その権利も登録している物、其れを無断で御社は使用しているので、わが社としては近く訴訟に持ち込む準備があるので、お知らせいたします。】 と弁護士の名前でお手紙が来ました。

 

さあ 大変、何時、誰がそのパンフレットの宣伝文句を作り、何部印刷されたのかも?全く知らされていません。日本の本社に知らせましたが、お任せします、との返事しか戻ってきません。なにしろPCもない時代です。対応の仕方もこういう案件はこの会社が米国に事務所を開設以来初めの事です。 此方でいつもごお話している会社法に強いと言われている米国大手の弁護士事務所に、パートナーとしてお仕事をされている日本人の先生にご相談しました。

 

其れは日本語に訳しますと【家から遠く離れた貴方の家】という実に心地よい響きのホテルの宣伝文句でした。海外向けの英語のパンフレットなどに常時ではなく、時々使われておりましたので、私も感心して拝見していた文句です。  弁護士先生は【有名税の様なものです。其れだけ会社の名前が知られるようになったのです。何処で見つけたのか判りませんが、弁護士の名前で来ておりますから、私が弁護士の名前で御返事しておきます。 ご安心を。今後一切、このフレーズを使用しないように本社にお伝えください。】とおっしゃってくださいました。これで解決です。

 

その弁護士先生方は、個人的にも数名存じ上げていますが、その どなたでもおっしゃっています【米国で訴訟はされても、しても面倒な物です。得する事は何もありませんで、弁護士が儲かるだけ、米国人は自分の利益の事ばかりしか考えないのです。言葉が違う、常識や生活が全く違う人種が一緒に働いているこの国で、立派な法律があっても、決められたことが決められたように守れない場合も多く、訴訟という形でしか解決できず、賠償請求で罰せられるのです。知らなかったでは済まされない。知らねばいけなかったことを知らないで通す訳には行かない社会なのです。】との事です。


 

夫婦間で訴訟する人が居るのは其の為です。それぞれの保険会社が戦って、お二人は仲良くしておられるのです。会社同士が訴訟していても、パーティーで逢えば、担当者同士でも、にこやかに歓談する世界です。

 

ハンバーガーチェーンが販売したコーヒーが熱すぎて火傷をして訴訟したご婦人はミリオンを勝ち採りました。マーケットで水がフロアーに落ちていて、滑って転んで怪我をした浮浪者が訴訟に持ち込んで、此れも勝ちまして優雅な生活になったそうです。その為に会社を持っている経営者は会社に関してあらゆる保険を掛けており、問題なくそこから支払われるからです。 人々が我がままに成って 簡単に訴訟問題が起こります。 ミステイクはされることを予想して従業員を雇わなければ、ならない時代になって居ます。 間もなく日本もそういう社会に突入していくのではないでしょうか?

日本もやがて、会社での保険を十分にかけていなければ潰されるほど、一般人の方が強くなってゆくような気がしています。 

 

小学生を持つ母親が驚いて話してくださいました。

学期の始まりの初日は、クラス分けでも、担当者が紹介されるわけでもなく、まず学校内での起こるあらゆる事項に対して、生徒にかける、保険契約だけで、その日が終わるのよ。保険契約が無いと話も出来ない 雰囲気ですよ。 との事。

 

家には家の保険を、車の保険を、身体には健康保険、ビシネスをやればそも仕事にも保険を掛けていなければ、活きていけない社会に、日本もいずれは、段々となりつつあるのではないでしょうか?