バンドとなったオフコースは、鈴木(康博)がやりたい音楽から離れていったということだろうか。

実際、鈴木は2022年のツアーパンフレット「Yasuhiro Suzuki 50(+2)th Anniversary」のなかで

自らの音楽人生を振り返っているが、5人オフコース時代について、こんな発言をしている。そのまま引用する。

 

「『FAIRWAY』(1978年10月5日発売)の後あたりから、スタッフが『日本武道館へ行こう(目指す)!』

と言い出した気がするんです。ところが俺も小田も『武道館を目指すなんて、必要ないんじゃない。

多くの方が見に来てくれるなら市民会館を1週間とかやればいいじゃん!』と思っていたんですよ。

 

 そんな時に小田が『愛を止めないで』のメロディを書いてきて、ディレクターから『康、ちょっとこの感じをやってみない!』

とボストンを聴かされたんです。いわゆるエレキ・ディストーション・サウンドのアンサンブル。

デカいサウンドのアンサンブルで、これって武道館のサウンドだよねという事で、

『愛を止めないで』の音をそういったアプローチで作ってみようという事になったんです。

 

 そこでセミアコからレスポールのようなソリッドなエレキに持ち替え、初めてディストーションを入れてビヤ〜〜ンという音を出したんです。僕はあんまり好きじゃなかったんですけどね」