これから私たちを襲うカオスは、「アメリカが創り出した世界秩序の崩壊」と、「AIの進歩」の2つの巨大な地殻変動によって引き起こされると考えます。

 

アメリカが創り出した世界秩序の崩壊

 
1989年の冷戦終結後、アメリカが事実上世界の半分を支配することによって世界のグローバル化が進みました。アメリカの覇権によってもたらされた平和をパクスアメリカーナといいます。
 
しかしながら、2010年代以降はグローバル化に逆転現象が起き始めています。アメリカのトランプ大統領の誕生やウクライナ戦争は、その象徴的な出来事としてあげられます。

社会保障の深刻化と金融システムの崩壊

インフレ対策として、日本を除く各国の中央銀行が利上げを進め、30年間続いた低金利時代に終止符が打たれました。しかし、このことによって大きな2つの問題に直面しています。
1つは、社会保障費の問題です。
2つ目の問題は、現在の金融システムの崩壊が起こりうることです。

アメリカの覇権国家の衰退と地政学リスクの高まり

世界的投資家であるレイダリオは、世界を支配する覇権国家のライフサイクルを過去の歴史と債務の状況を照らし合わせながら分析しました。その結果、覇権国家はおよそ2~300年周期で誕生と衰退を繰り返すことがわかりました。
 
次の覇権国家の有力候補は中国であるとされていますが、果たしてどうなるかはわかりません。中国以外にも、インドや南米など、新たな大きな力を持つ国々が育ってきています。

AIの進歩と人間の存在意義

世界の巨大な地殻変動のもう一つの重要な要因は、AIの発達です。
 
もし8割の人々の仕事がAIによって代替された時、資本主義も機能しなくなるでしょう。人は生産者として通貨を稼ぎ、消費者として通貨を使います。しかし、AIによって生産活動が自動化されることによって、多くの人々が失業し仕事によって通貨を得られなくなれば、消費をすることもできなくなってしまいます。
 
本来、人間は仕事をするべきなのか、という議論はあるでしょう。よりあるべき人間の姿に戻っていくのかもしれません。いずれにせよ、今までの常識が通用しないような、大きな変化が起きることは確実です。

 

2つのカオスに備える

パクスアメリカーナの終焉とそれに伴う金融システムの崩壊は、既存の富裕層のヒエラルキーを一気に崩壊させます
 
スキルアップやお金稼ぎを頑張ることにも、意味はなくなっていくでしょう。本当の意味で自分軸で何がやりたいのか、を問い直さなければいけない時代になったのです。