さて旅行もそろそろ終盤である。

袋田の滝を見終えたところでお昼近くになっていたのだが

那珂湊でおいしいものを食べようとバスを進めた。

しかし時間がたつにつれ後ろのおじさんたちは、道沿いの焼肉屋で
いいから止めろと騒ぎ出す。

幸か不幸か、道沿いにはサツマイモ畑はあるけれども焼肉屋は
見つからなかった。

そうこうするうちに13時を回り、おじさんたちは騒がしくなった。

漸く、那珂湊にあとわずかというところまできたが、鮮魚センターに行くと思しき
車の列が左の道から数珠つなぎで、直進のはずの我々の進む余地がない。

大きな道路を渡って向うに行けば多少前進すると思いとどまること30分くらい。
漸くなんとか広い道路を渡って那珂湊に近づいた。
しかしそこからがまた牛歩のごとく止まったまま。

後ろに座っていたおじさんたちからは「無理だから引き返せと」か
「右に曲がってどこかの焼肉屋に寄ろう」だとか
非難とも命令とも野次ともつかない声が上がってきた。

自分もこりゃ無理だなと思っていたが、せっかくここまで来たのだから
鮮魚を買いに行きたいという人やせっかくだから連れていきたいという人に
従い車は1時間くらいその場にいた。

さすがに業を煮やしたのかあるいは単にトイレに行きたくなったのか
後ろに座っていたおじさんたち5人ほどがバスから降りて、近くのスーパーに向かった。

トイレに行ったのかあるいは鮮魚を買ったのかわからないが戻らない。

バスの先頭でせっかくだから鮮魚センターに行きたいと主張していた女性が
今度は降りて先を見てくると歩き出した。

しばらくすると少し車が前進して、後ろにおいてきた人たちが気になりだした。
さすがにバスの運転をしていた人もこれは無理だと思ったのか、右折して
鮮魚センターをあきらめようとしていた。

しかし何せおじさん5人と一人の女性がバスから降りてしまっている。

しばらくするとおじさんたちは戻ってきたが今度は女性が戻らない。

携帯で呼び出すと戻ってくるとのこと。

バスは次の右折の道を通り過ぎてしまった。

漸く女性が戻り次の右折路で右折した。

運転手はここで何とか高いところを走る橋を渡ってこの港から抜け出そうとした。

しかし、何やら橋にはなかなかたどり着けず、むしろ港の先端の方に進んでいるようだった。

海に向かって突き当りの道を左折するとそこにはなんだか路上駐車の車がそこかしこにも。

その先に目をやると何から、鮮魚センターらしき建物が。

向かいの道には行列になって駐車を待っている車が渋滞している。

我々はその道を反対側から鮮魚センターに向かっていたのだ。

交通整理のおにーちゃんに運転手が、どうにか注射させてもらえないか
頼んだが、若いおにーちゃんは権限が無いのか、だめ できないの一点張り。
そりゃそうだ。長蛇の列を待っていた車の人たちが見ていたら半殺しの目にあうだろう。

そんなわけであきらめたかと思いきや、鮮魚センターの真ん前にある旅館の駐車場に
車を入れ、おじさんたち二人がお願いに行った。

女中さんに頼んだが、権限が無いらしく、奥の責任者に話をしているらしい。

旅館の玄関には3つほどの看板があり、今日も泊り客が大勢いるらしい。
その時およそ午後2時だった。

どうやら旅館から断られたらしい。午後2時ころには観光バスが来る時間なので
車を止めることはできないそうだ。そりゃそうだ。
予約したお客をのせたバスが駐車できないのでは信用問題になる。

仕方なく駐車場を出て鮮魚センターと反対側に少し進むと
寿司屋が。車3台止められる駐車場は開いていたのでそこに仮にバスを止め
またおじさんたちが交渉へ。
実は昨年ここに来た時にこの寿司屋で昼を食べた人がいたとのこと。

しばらく交渉していたが、どうやら昼をここで食べれば駐車可能とのこと。
ただし現在お客が満席なので30分ほど買い物をしてきてほしいとのこと。

渡りに船とはこのこと。

ちょうどよいので皆で歩いて鮮魚センターに行き 1分程度。
買い物を始めた。

買い物をし始めると結構時間がたつのが早くて
しかも生ものなので発泡スチロールに氷詰めで結構手間がかかった。

買い物もできて。寿司も食べ、何とか課題をクリアした。

しかしそれにしても、バスの運転手の粘りには敬服した。

とても自分ではここまでできない。
すぐあきらめてしまうだろう。

結局帰宅は1-2時間遅くなったけれども、みんなは満足そうであった。

前回も結構無理をしたと思うが、今年はもっと無理をしたような気がする。

いずれにしても自分ではこのようにはいかないなと思う。