9月3日
朝9時に酷い頭痛で目が覚める。
飛行機の中で喉に違和感があって風邪の初期症状みたいになってたのに加え、スマホで現在地の標高を調べると2260mとなっており、標高が50mくらいのところから半日位で一気に高いところに来たわけなので気圧に体が対応できていないのかなと思う。
が、昨日のトラブルの件もあるので、ゆっくり休んでもいられないと、震える手でスーツケースから薬の袋を出し、即効性のあるバファリンを2錠飲んで静かに横たわっていた。
ほどなくして霧が晴れるように頭痛が収まった。
安いほうのバファリン買わなくてよかった~これほんとに効いてるわ、もっと買っとけばよかったと思いながら起き上がってシャワーを浴び外出の支度をする。
問題のATMはBBVA Bancomerのcajero no.5416
このメモを片手に最寄りのBancomerの支店に出向く。カスタマーサービスの女性が2階の入り口におり、他の顧客を対応中なのでしばし待つ。20分位してやっと自分の番が回ってきたので、英語で話しかけてみる。
なんとか通じているようなので早速説明を始める。
「昨日メキシコに来て空港のバンコメルのATMでお金をおろそうとしたのですが、最初の操作でお金が出てこなかったのでまたカードを入れて最初からやり直しました。2回目にはちゃんと2000ペソが出てきたので最初のはキャンセルされていると思いホテルに戻って念のため口座残高をチェックしたら2000ペソしか受け取ってないのに出金が続けて2回行われたことになっており4000ペソが引き落とされています。」
話している間銀行のお姉さんがちゃんと相槌を打っていたので、てっきり通じてると思っていたのだが、一通り話し終わってから「もう一度スペイン語で説明してもらえますか?」と言われてしまう。
こういうややこしいことはボキャブラリ不足で自信がない言語で説明して誤解を招くのが嫌だが
スペイン語でしか理解してもらえないということなので、仕方なく身振り手振りも交えてやっとのことで事の次第を説明する。
結果、何とかわかってもらえたようだが、「その件についてはこちらでは対応できないので、ご自分でオーストラリアのシティバンクのサポートに連絡して下さい。」とのこと。
サポートに電話するのは国際電話になって、サポート請負業者の自動音声で対応まで順番待ちにされたらいくらIP電話でも結構な額になりそうだし、それに、そもそも信じてもらえるかわからなかったから銀行に相談に行ったのだ。2回試みて2回ともお金が出ないのなら信じてもらいやすい。でも1回目が出なくて2回目が出た、でも2回ともチャージされていたというのは、機械の壊れ方が非常に気まぐれなので、豪州のシティバンクにしたら、ATMが本当に故障していたのか、実は私が嘘をついていて、お金を受け取ったのに出てこなかったと難癖つけているのかわかりようがないから、実際にセキュリティカメラの映像を確認する必要があると思うのだ。
そのATMについてるセキュリティカメラを調べられるのはATMの所有者のバンコメルしかないじゃないのと思い、それでたらい回しで時間を無駄にするのを覚悟して相談に来たのだからそのまま引き下がれない。私が直接シティに言うより、ATM所有者の銀行を通したほうが信憑性が上がるはずだ。
それで、私の代わりに電話して事の次第をシティバンクに説明してくださいとたどたどしいスペイン語で頼んでみる。すると銀行のお姉さんが、「わかりました、では後ほど私の同僚が対応いたしますのでそちらの席にかけてお待ちください。」と第一回目のたらい回しの指示をしてくれる。
30分程待って今度はマリオという名の若いお兄ちゃんが呼びに来る。
マリオは英語が話せるようなので、同じ相談をスペイン語より多少はマシな英語でしてみる。
メキシコは何度目ですか?メキシコが好きですか?など、旅行者にかける当たり障りのない一連の質問をした後、「では、何か私たちにできることがあるか調べてみましょう。」と電話をかけ始める。そして電話を切って、「大変申し訳ないのですが、確かにATMは当銀行のものですが、すでにトランザクションから24時間たっており、当銀行では調査ができません。従いましてあなたのカードの発行元であるシティバンクに相談していただくことになります。シティバンクの業務はメキシコではバナメックスが代行しておりますので、道路の向かい側にあるバナメックスで相談してもらえますか。」と2度目のたらい回し。
マリオ君は丁寧で感じの良い若者ではあったが、この面談の間四六時中アクビをしており、時折「すみません、疲れてるんですよ」などと言い訳をしていた。外国の企業のこういうゆるい感じは嫌いじゃないが、ただし自分が被害を被らない場合に限る。
マリオと握手をしてバンコメルを後にし、道路を挟んで向かい側のバナメックスへ。
バナメックスではちょうど顧客対応の係の人が手が空いていて比較的すぐに相談にのってもらえた。この人も英語はNG。ただバンコメルのマリオがスペイン語で相談内容を簡単にメモしてくれていたからそれを渡す。窓口の女性は親切そうだったが、この手の対応はしたことがないらしく、シティのデビットカードの裏に番号が書いてあるはずだがこれには何も書いてないからどこに相談したらいいのかわからないという。
「私もどこに相談したらいいのかわからないので調べてもらえますか」というと、顧客用の電話機まで連れていかれ、そこで電話をかけて、受話器をポンと私に渡して自分は席に戻ってしまう。待機用の自動音声で長いことまたされた後、男性が出て、スペイン語で何かまくしたてるのだがよくわからず、必死でスペイン語で説明すると、「すでに24時間たっていて調査できないのでシティにクレームを出してください。」というので、「ではシティバンクに繋いでください」というと、また留守電モードになってしばらく待たされて、やっとシティバンクの人が出たので事情を話し、カード番号を伝えると、「これはアメリカのシティバンクのカードじゃないですね。当行はアメリカのシティバンクですので対応できません。カードの発行元のオーストラリアのシティにクレームを出してください」と言われ電話を切られた。
担当の女性に「ダメだった」というと、とにかく018で始まる番号がないと何もできないのでそれを探して来れば助けられるという。
「では宿に戻ってネットに接続してトラブルの際の連絡先を調べますのであなたからオペレータに話していただけますか?」というと「ではまた戻ってきてください、私が対応します」と言ってくれたので、急いで宿に戻って調べるも、どの番号に連絡したらいいのかよくわからなかった。仕方がないので、普通の盗難紛失連絡用の電話番号を控えてまたバナメックスに戻った。
それを担当の女性に渡すが、この窓口では国際電話はブロックされていてかけられないといわれる。そしてまた、クレームを出すには018で始まる番号が必要と言われるが、もうこの段階でこの人は国内の事情しか分かっていないのだなと諦め、宿に戻った。
そしてホテルで自分でカード紛失盗難用のオーストラリアの窓口に国際電話をかけた。幸いにも出たのは自動音声ではなく生身のオペレータで、確認作業で多少時間はかかったが、無事にクレームを済ませ、さほど長く待たされることもなく問い合わせ番号ももらって電話を切ることができた。調査結果が出るまで45日だったか、その位かかるらしいが、とりあえず少しはお金が戻ってくる可能性も出てきた。最初からここに電話するだけでよかったのに、無駄に銀行に足を向けて一日無駄にしてしまった。
それにしても、強盗ですら素直に100ドルぐらい出せば勘弁してくれることもあるのに、とりすまして底辺の人間から2万近くもふんだくりやがって!
オーストラリアでいろいろと組織の不手際によるトラブルを経験するうちに、こういう大きい企業のシステムの不具合によるトラブルは、仕方なく起こっているのではなく、組織が故意にシステムの欠陥を看過し不手際を誘導しているのではないかという疑いすら持つようになった。
組織が大きすぎると対応する組織の中の人間は自分がまかされている一部の事情にしか明るくないから、たとえその担当者が誠実な人で、問題を抱えた人を助けたくても自分には権限はないし他の部署の事情も分からない。
それで電話で該当の部署に相談するが、その担当部署の人だって自分の担当する狭い範囲の事情しか知らないからその範囲でしか答えられない。
だから結局たらい回しせざるを得ない。たらい回しされる被害者のほうは、たらい回しされてるうちに怒りのエネルギーが疲弊してしまい、どうでもよくなってしまう。
組織はそれを狙っているのだと思う。
日本でもアメリカでもオーストラリアでも、企業であれ地方自治体であれ、どんどん吸収合併してより大きな組織になっていっている。不具合を巧妙に利用する巨大システムが世界中で出来上がりつつある。誰も大きな絵が見えず、首輪の象徴のようなネクタイを締めた奴隷労働者が上からの通達を忠実に繰り返すしかない世界。
世界が明らかにそういう方向に向かっているのに、大半の人は陰謀論を唱える人をキチガイ扱いして笑いものにしている。連中の計画が滞りなく進行中ということなんだろうね。





