オペラとバレエでは観客の年齢層や男女比も異なり、また拍手の習慣も異なる（厳密に言えば、オペラでもヨーロッパの劇場とアメリカのそれとでは観客の反応が異なることもある）。私がいつもバレエの舞台で感涙するのは、カーテンコールでのトップ・ダンサーたちの究極の美しさ。

とりわけ、オネーギンやマノン、ジゼルやLa Dame aux camélias 等、悲劇的な結末を迎える舞台の場合、主人公の二人が結末の余韻を保ったままカーテンコールに現れる瞬間は常々涙を誘う。

オペラ歌手の場合、「少し前に結核でこの世を去ったばかりなのに…元気一杯」という風情で、幕が下りた直後からすぐにピンピンと出てくる場合が多いので、その点も異なるのだ（そもそも、体格を鑑みてもとても病死しにそうには見えない風貌の歌手が多いのも確かなのだが）。

以前、METでマノンを鑑賞した際に、私の大好きなソプラノ歌手なのだが、落ちぶれて病死する役であるにも関わらず、その日の成功を喜んでいた様子で観客への感謝を表すために元気一杯クルクルとターンまで披露していた（笑）。

こちらのカーテンコールは、スカラ座でのザハロワとボッレによるLa Dame aux camélias。周知の通り、ヴェルディのオペラLa Traviataの原作、デュマによる『椿姫』だが、マルグリット役のザハロワの神々しい美しさ。まさに現代のミューズの称号にふさわしい。大好きな作品の一つだが、ボッレとの美しい登場に感極まる。

そして、パートナーがお互いに謝意と敬意を表すrévérence。何度見ても美しい。カーテンコールそのものも一つの美しい作品のようで、いつまでも拍手を送り続けたくなる。とりわけ、劇場で自らの手で収めた映像は宝石のように大切にしたい一生の宝物。

『日本のコンサートホールの不思議なルール』ここに書いても仕方がないのだが、日本のコンサートホールの不思議なルール。カーテンコールの際にも写真・動画撮影がNGである点。アメリカのMetやヨーロッパのパ…

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美しきrévérence