◆小説◆「Elephant Signs(エレファント・サインズ)」第二十八話
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その頃・・・。
「リナもうまくやってるじゃねえか。」
基地ではボスが、満足げに顎をさすっていた。
・・・そう。実は前田たちの前に現れた女性は、他でもない、ケルマーンを狙っている・・・リナなのである。
「しかし、あのアジア人・・・何ですか・・・。少年はひとりじゃないのか?!」
ボスの横でそう呟いたのは、彼の右腕となっている『重役』と呼ばれている
例の人物、サンドリアだ。
「あ?アジア人?知ったことか。
たまたま少年に同情した中国人か日本人か、韓国人だろ。
アジア人なんてわんさかいるだろうよ。」
「はぁ・・・。」
サンドリアは取りあえず相槌を打ったが、なんだか妙に引っかかるものを感じていた。
「少し、失礼します。」
「ああ、好きにしてくれ。」
唯一サンドリアは、ボスの指令なしでの行動を許されている人物だ。
彼が、壁の一部に手の平を当てると、そこにはぽっかりと扉が現れた。
そして、彼はボスに一礼すると、足音もさせず、その扉の向うへ消えて行った・・・。
「まったく、奴も心配症だな、ハッハ。」
ボスはそう独り言を言うと、再び目の前のモニターを眺めた。
・・・その映像。
それは、リナのピアスに埋め込まれた特殊カメラから送られてきている映像なのである。