◆小説◆「Elephant Signs(エレファント・サインズ)」第二十六話 | もうすぐって…いつ?

◆小説◆「Elephant Signs(エレファント・サインズ)」第二十六話

前田は葉巻をもみ消すと、ケルマーンに話し始めた。

「いま・・・、生きてたら。娘は22歳だ。
日本に帰国して、まっさきに娘の顔を見たくってさ。で、家ん中入ったんだ。
そしたら、変なんだ。雇ってたはずのベビーシッターが、いない。
アレ?って思ってさ、部屋中探したんだけど、やっぱいない。
夜だったし、散歩なんてする時間じゃないよな。おかしいとおもったんだ。
ベビーシッターが逃げただけならともかく・・・だ。
娘のベビーベッドも、もぬけの殻だったんだ。



前田のやるせない顔つきに、ケルマーンはどう声をかけていいか、わからなかった。
前田は話を続けた。

「おっかしいだろ?すぐに警察に届け出たよ。
妻のこともあって、悲しみと困惑で、バタバタしてたんだけどね。
娘が心配でしょうがなかった。妻が遺した最愛の宝だもの
不安で不安でしょうがなかったよ。」


ケルマーンは頷く。


「特徴は?とか、いろいろ聞かれたよ。
けっこう変わった特徴があったからさ、それはすぐに答えられた。」


「どんな特徴だったの?」

ケルマーンは小声でたすねる。


・・・と、その時・・・


「助けてください!」


遠くから若い女性が駆け寄ってきた。日本人にみえるその女性・・・。
不慣れと思われるアラブ語を、しゃべっている。
ケルマーンはキョトン、としていた。


「ど、どうした?!」


前田はその女性のおびえたような表情に驚きつつ、事情を聴くことにした。