短編小説① NO.SIX | もうすぐって…いつ?

短編小説① NO.SIX

俺は牢屋に入った。


『真っすぐ歩けなかった者の、ごみ箱』

そう感じた、初日。

これまでホテル住まいだったからか、さすがにうんざりだったな。
面会人なんて、俺に居るはずも、ない。だろ?


決まった時間に囚人どもと、飯食って、体操やらさせられてさ。
男ばっか。

中には喧嘩吹っかけてくる奴もいてさ。監視の目を盗んで。
でも俺は無視した。興味なかったんだ。

一緒にすんな。
そう思っていたのだろうか・・・?



そんなある日、訳のわからないこと・・・いや、理解しがたいことが起こった。

「面会人だ。」

そう言われた。俺に・・・だ。
誰だ?



なんと、妻だった。



顔も忘れかけていた・・・といいたいところだが、忘れたことなど、一度もなかった。
忘れられなかったんだ。



「あのとき。逃げたりして・・・ごめんなさい。わたしもどうかしていたのよ。怖かったの・・・。
許してだなんて、言わない。
でも、待ってる。いやと言われようとも。迎えに来るから。出所の日。」


それだけ告げて、彼女は帰った。


その日俺は、眠れなかったんだ・・・。




本当に俺は、独りなのだろうか?



そんなことばかり、考えてしまって・・・気付いたら、朝だった。







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