小説NO.121 「 見舞 」  | もうすぐって…いつ?

小説NO.121 「 見舞 」 

(そうだよな・・・、そういや俺、ひとりで突っ走って、朱音の意見なんて聞いてもいない。)

「なあ、ひとみちゃん。」

真也は沈黙を破って口を開いた。
ひとみは無言のまま、真也を見つめている。


「朱音のいる病院、一緒に行こう?
3人で一度話したほうが、いいんじゃないかな。」

「いいわよ。」


思いの外あっさり、真也の意見を受け入れた、ひとみ。彼女は出逢ったときとはまるで別人のように、優しく微笑んでいた。
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「田辺さん、いつになったらペンダント返してくれるのよ(`o´)!」

「ちょ、ちょっと…、焦らずに(^_^;)ちゃんと退院するとき返すから。」


朱音の病室では、こんな会話が響いていた。

「じゃあ、いつになったら退院できるの?!」

「…まあまあ、それも焦らずに…」


ドクター田辺も大変である。
朱音は充分過ぎるほど元気。
しかしドクター田辺は、真也がくるまでは退院させないという約束を、守ろうと決めていた。


ペンダントがないことに気付いた日、朱音は田辺につっかかった。

「人が寝てる間にペンダント外したわけ?!
このエロドクターヽ(`Д´)ノ!」


・・・と。
まぁ、当然といえば当然である。

ドクター田辺はかなり困ってしまったが、落ち着いて謝りつつ、

「あれ、朱音さんは寝惚けていたのかなA=´、`=)ゞ?
自分から外してワタシに渡してくれたんだよ?」


そう言って、何とかその場を逃れたのだ。
もちろん朱音は不信な顔付きをしていたが、ドクター田辺があまりにも真剣にそういうので、

(もしかしたら…寝惚けていたのかな( ̄_ ̄ i)?)

とも思い、それ以上は特に反論しなかった。


朱音の家族も最近、朱音の退院があまりにも遅いので心配しはじめていた。

「うちの娘は、そんなに深刻な状態、なんでしょうか・°・(ノД`)・°・?!」

毎日のように朱音の母は田辺に聞いてくる。

「あと少しですから・・・。」

田辺は毎日のように、そう答えていた。

(真也くん、頼むよ・・・。はやく来てくれ(>_<)
こっちも嘘をつくのが限界にきている・・・)


田辺が朱音をなだめているそのとき、
病室をノックする音がした。


「お、朱音。久しぶり(^o^)/
友達つれて、見舞いにきた!」


そこには少し痩せた真也とひとみの姿があった。

真也は田辺にアイコンタクトをする。
田辺は頷き、ひとみを不思議そうに眺める朱音を尻目に、病室をあとにした。