小説NO.112「孤独が生んだ、悲劇」 後編
真也は朱音を助けるため、そして、ドクター田辺の孤独な暴走を止める
ために、自分とルースが交わした会話を話しはじめた。
「で・・・、・・・ってわけなんだ。田辺さん。
そんなことしたら、あんた死界で、なっかなか浄化してもらえないぜ?
生まれ変わった奥さんと娘さん、新聞にアンタが容疑者として載ってたら、
「気味の悪いヤブ医者だ!」って思うんだぜ?そんなの、やだろ?悲しいじゃねぇか(><;)!」
真也の話終わったとき、ドクター田辺は涙を浮かべて頷いた。
真也の言葉で3つの世界の謎を知った田辺は、思っていた。
(これまでワタシがしてきたことは・・・何だったのだろう?ワタシはとんでもない馬鹿だ。
無事生存した、朱音さんまでも、犠牲にしようとしていただなんて・・・。)
真也は、ドクター田辺の手から注射器を奪い取った。そして、そっと肩をたたき、こう言った。
「なぁ、麻酔くらいならもみ消せるだろ?
それより、俺は、今からもう一人の仲間を探して、「現世の王」とやらに、会わなきゃならねぇんだ。朱音は記憶を飛ばしてもらわなきゃならねぇし、俺ともう一人の仲間は生まれ変われ切れていない心を、一つにしなきゃならねぇ。
なぁ、田辺さん。俺は今回のこと、見逃してやる。だから、すぐにあんたは仕事に戻りな?
で、しばらくは朱音をここに居させてやってくれ。もう一人の仲間が見つかったら、俺はまたここに来るから。
あ・・・と。朱音のしてるペンダント、預かっていくよ。ちょっと気になってるんだ。何故かはわかんないけど。
もし朱音に聞かれたら、退院の時帰すっていっといてくれよ。」
ドクター田辺は「ありがとう」をひたすら繰り返しながら真也の提案に同意した。
「おし!交渉成立だな(`・ω・´)!!」
真也はペンダントを朱音の首からそっと外すと、ドクター田辺と携帯番号を交換し、再び病院を後にした。
(孤独の辛さは痛いほど分かってるぜ・・・、田辺さん。)
そう、心で思いながら。
田辺は真也が部屋を出て行った後、しばらく呆然としていたが、残された注射器の針を、床にたたきつけて折ってしまった。
(ワタシはどれだけ無駄な時間を・・・馬鹿げたことに費やしたんだ。情けない。
家に帰ったら、保存してある血液もすべて処分しよう。
真也くん。キミにワタシは救われたよ。本当にありがとう・・・。
仲間を探すと言っていたなぁ、頑張ってくれ。
ワタシはもう、二度と間違いは、犯さないから・・・。)
ドクター田辺はそう決心した。
それは、彼が再び、正しい医師・人として、踏み出した瞬間だった。