小説NO.107 「真也の過去」~後編~
高校生になる歳になったが、真也の家には金がなかった。
しかし真也は高校には行きたかった。
理由は・・・真也、本人にもわからなかった。
(ギャングには、寿命がある。)
心の中で、それがわかっていたのかもしれない。
高校一年、15歳のとき、真也は何と、「スパイダー」のリーダーになった。
真也の気分は、最高だった。
(もう、俺に逆らうものはいねぇ( ̄ー ̄))
毎日煙草を吸い、バイクを走らせ、そこらじゅうの壁にスプレーで文字や絵を描いた。
仲間たちは、シンナーに酔いながら、それを楽しんでいた。
しかし真也は…シンナーには決して手を出さなかった。
「酒乱の父親の姿」と、「シンナーに酔う仲間の姿」が被ったからだ。
真也が高校二年になったとき、(つまり今)
とある中学から、目つきからして危なそうな、そんな少年が「スパイダー」に入ってきた。
これまで真也にヘコヘコしていた仲間たちの態度は一転した。
彼等は、服従する相手を変えたのだった。
親父が名の通るヤクザで、ナイフなどを常時数本持ち歩く「この少年」に…。
こういった世界では、それは、リーダー争いをしなければならないことを、意味している。
「ちょっとお前、顔かせや( ̄へ  ̄ 凸」
真也は内心冷や汗をかきながらも、ある日その少年に声をかけた。
「いいんすかぁ?・・・死にますよ、リーダーさん♪」
少年はロレツの回らない口調でそう言うと、いきなり真也の急所に、蹴りを入れた。
「て…てめっ・・・(;°皿°)」
もがく真也。
(動けねぇ、ヤバイ、殺されちまう…)
後のことはもう、記憶にない。
気付いたら真也は、救急車で病院に運ばれていたからだ。
「殴る、蹴るを何100回も、繰り返されていますね。
しかもパイプのようなものでスネを殴られているね。複雑骨折だ。
内臓も破裂寸前だったよ。
・・・助かったのが奇跡です( ̄ヘ ̄)」
医者には、冷たくこう言われた。
真也が思っていた「ギャングでいられる寿命」…。
それはあまりにも突然、そして絆のカケラさえも無く、
あっさりと時を迎えたのであった。
朱音に出逢ったときに、骨折をしており、杖をついていた理由。
そして、ルースに治してもらった骨折は、このときのものだったのだ。
「スパイダー」のレッテルを剥がした真也。
そして、ルースの生まれ変わりでもある、真也。
彼は今、新たな道をあるきだそうとしているのである・・・。