小説NO.43 「 七つ坊 現る 」
「サラ、あなた前、声はどこからでもとばせるっていってたわよね?
この声、何だか・・・違わない?本当にたくさん人がいるような感じ。しかもあちらこちらに・・・」
朱音は以前サラと特訓したときのことを思い出し、そう尋ねた。
「あたいのと、これは違うわ。声を飛ばしてるって感じじゃないの。
この空間自体が声の主の一部に・・・なってるみたい。」
サラは声を潜めていった。
「きみたち~?僕チャンがみえないの~?かわいそうだねぇ。゚゚・(≧д≦)・゚゚。
くらーくて、じめじめしたとこが好きなんだよネ、僕チャン。」
相変わらず声は反芻し、どこがヤツの居所なのすら分からない。
「貴様、NO.5か?」
ルースが尋ねる。目を凝らし、やつの動きを探ろうとしているようだ。
「NO.5?笑わせないでよ~。
僕チャンは、七つ坊。7がつくからって、NO.7とかでもないよ~(●´ω`●)ゞ
僕チャンは「NO.いくつ」とかつくのが嫌いなの。番号振っても意味ないでしょ?
だから、僕チャンはこうして、運悪くここへはいってきちゃった子たちを追っ払う、
そういう役目だけをひたすらやってるんだヨ。中へ通じる本当の扉を守る、門番なんだ。
僕チャンはひとりでのーんびり相手してくれる子を待つのがすきなんだ。
さっきもいったけど、「運が悪い子達」を、ネ♪
「NO.なんとか」には興味ないけど、僕チャン、相当強いからネ。覚悟してネ♪逃げちゃ、イヤ。」
寒気がした。
健司以外の皆は、言葉を失った。
シュリは自分の父親がどんどん醜くなっているのを実感していた。
(昔の父は、宮殿にはNO.1~NO.5を置いてるのみだった。研究所はあったようだが・・・。
少なくとも、こんな化け物とは関わらなかったのに・・・)
と。
健司はふぅ、っとため息をつく。
「お前さん、ひとりでのーんびりとか言いながら、実はひとりじゃねぇだろ(-。-;)
声が反芻して聞こえるのは、その分の人数がいるからだ。そうだろ?
貴様何者だよ。7つ子か?」
健司の言葉に七つ坊は舌なめずりをする。
ベロリという音が、皆に聞こえるほどであった。
つまりヤツは相当巨体だ。もしくは、舌が異様に発達しているのか・・・。
「あったまいいね!!大当たり(`∀´)!そこまで見抜く人、普通いないネ。
あんたここの世界の人間じゃないんじゃないの?
なーんか同じ臭いがするんだよネー♪」
七つ坊の言葉に健司はハッとした。
(そういえば、何十年か前、頭輪(現、死界の王)から、「相当な悪党が逃亡した」というのを聞いたな。
即、魂を浄化させようとしたが、手に負える状態ではなく、一日麻酔をかけたら・・・
その間にいなくなっていたという・・・。たしか頭が7つに分かれており、人を丸呑みにして、
その分の「気」を食い尽くすというやつだと聞いたぞ・・・。まさか?!こいつ・・・)
「お前、死界から逃亡した七つ頭の悪党だな?
しかも今は7つ頭どころか、7人に分身することも、できるようだな。」
健司には、七つ坊がどかっと座っている位置が見え始めていた。
巨体。まるで相撲取りのようながっしりした体つき。目はぎょろりとしており、短い巻き毛。
なのでそこをグッと睨みつけ、七つ坊に尋ねた。
「すごーい!拍手拍手o(〃^▽^〃)oあんたすごいネ♪
まるで死界の人間みたいだ!」
「・・・まぁ、そう言うことにしておこうか。」
健司は日本刀に手をやると、皆に「ここは自分に任せてくれ」、と告げた。
死界の人間の動き・技・弱点は、「死界の人間」で無いと把握しきれない部分があるのだ。
現にサラ、朱音、シュリには七つ坊の姿がまだ明確に見えていない。
どうやら、シュリは把握しているようだ。真っ直ぐに、七つ坊のほうを睨んでいる。
そこで健司は、シュリの耳元でコソッとある作戦を告げた。
シュリは小さく頷いた。
「俺が相手をするよ。君。同じ臭い同士、仲良くやろうぜ?」
健司は鞘から日本刀をスッと引き出すと、七つ坊に向け、フッと笑った。
「OK,OK。いいヨ。あんたの魂、食べ甲斐ありそうだもんね。
でも、あんたが負けたらそこにいるみーんな、食べちゃうからネ( ´艸`)」
いよいよだ。
いよいよ戦いは、幕を開ける・・・。