小説 ~地下室の特訓 1日目~ 其の六
朱音は、以前サラが朱音にいった言葉を使ってみた。
ちょっと「カッコいい台詞だな・・・φ(.. ) 」と思ったからである。
あと、ルースがこれを聞いて攻撃を仕掛けてくるのを待つために。
「お、やる気だな!
手加減はいらねぇってことか!そいじゃ、行かせてもらうぜ?!」
ルースは使っていなかったもう1本の剣も抜き、2本の剣を両手に握り締めると、
目にも留まらぬスピードでこちらに向かってかかってきた。
(ギリギリまで自分を追い詰めてみよう。そうじゃなきゃ、本当の力は出ないんだわ。
だって、初めて剣を持つ姿になったときもそうだったもの!)
朱音の意図はそれであった。
そう、「感情の湧く間なく、戦う」こと・・・。
「そりゃぁ!」
2本の剣を交差させ、手加減なしで朱音に切りつけるルース。
何かに当たった手ごたえ。
思い切り走りこみつつ切りつけたので、「気」の煙がもくもくと立ち込めている。
「まずい・・・!やりすぎたかな( ̄Д ̄;;?!」
ルースは挑発されて攻撃したものの、ちょっと朱音が心配になった。
すると、何かが割れる音がした。
メキ・・・パリパリっ・・・・と。
「な・・・?!」
驚きを隠せないルース。
自分の武器で、朱音はしっかりと二刀流を受け止めていた。
朱音が前に押し出す「気」、と、ルースの「気」がぶつかり、
朱音の鞘にはひびが入っていた。
驚くルースに朱音はひびが入っているのに気づきもせず、攻撃を仕掛けていった。
(すげぇ「気」だ・・・)
ルースが朱音の攻撃を受け止めたときだった。
パキーン・・・・・・・・・・・
朱音の鞘は砕け散った。
(こ、こいつ、俺の「気」を吸収してそれに自分の「気」も乗せて・・・鞘をぶっ壊しやがった・・・!
相手の力を利用する戦い方なんて、そうそう出来るものじゃ・・・ねぇぞΣ(゚д゚;)?!)
剣は・・・・その姿をあらわにした。
真っ直ぐな剣。剣先が剣の根元よりも太くなっており、その剣先には、まるで鳥をモチーフにしたかの様な、
彫刻が入っていた。
何よりもルースが驚いたのは、その色であった。
朱音の剣は、燃えたぎる炎のような色をいていたのだ・・・!
ルースはかつて、このような剣など、見たことがなかった。
「あ、朱音ちゃ・・・(((゜д゜;)))?!」
声をかけようとしたルースは、思わず息をのんだ。
朱音の瞳がギラギラと燃えている。
内なる力が、今の朱音には抑えきれないのであろう、放出された力は、渦を巻いている。
バチッ・・・バチッ・・・と、体の周りに火花まで散っている。
「まずい!このままじゃ、自分の内面の力に、体のほうが耐えられなくなって・・・、朱音ちゃんが死んじまう!」
地下室はガタガタと音をたてて揺れ始めた。
上の階でサラの治療を終えたシュリは、今起こっている事態を感じ取り
急いで地下室に向かうことにした。
「サラ、もうすぐ月が出る。狼になったら、君も地下室へきてくれ!」
と、サラに言い残して。
その言葉に、サラは頷いた。
シュリは「このようなことが起こるのではないか・・・」、という予想はしていた。
しかしこんなにも早い時期に、しかもここまでの力が外に放出される事になろうとは、
シュリにも予測できていなかったのだ。
(コントロールする力が備わってないというのに、ここまでの力が出るとは・・・
朱音はどれだけの力を内に秘めているのだ?!
とにかく急がねば!)
シュリはガタガタと揺れる城の中、地下室へ向かって、全力で走った。