小説NO.20 ~地下室の特訓 1日目~ 其の参
それから暫く朱音は構え続けていた。
・・・が、サラはかかって来ない。
(なぜ?短剣で突っかかってくると思っていたのに・・・)
朱音がそう思っていると、サラの声が響く。
「あたいがかかって行かないと朱音さん、攻撃できてないって言ったでしょ?
あたい、今度は逆の立場になってるんだよ。
朱音さんは、自分であたいの場所を探して、かかってきて。」
(見えないのに?どうやって・・・)
朱音は構えたまま、ゆっくりと前に歩み始めた。
どこかにはいるのだから・・・。
まずは近付くこと。それが一番だ。
遠ければ遠いほど、朱音には相手の場所は分からない。
歩んで、歩んで・・・歩み続けた。
「いでっ(ノω・、)」
前だけに集中しすぎていたのだ。体ごと壁にぶつかったらしい;
部屋の形も分からないのだから、それでは厳しい・・・ということを
朱音は「自虐的」に・・・肌で実感した(_ _。)
(気を取り直して・・・っと)
朱音は今度は円を描くように周囲に気を張りつめた。
最初は自分を軸に、小さな円を・・・
そしてだんだん大きな円を描きながら。
大きな円を描いて暫くした頃、ふと呼吸を傍で感じた。
そこか!
朱音は、剣を鞘ごと振り回す。
するとキーン・・・という金属音がして、鞘が交わされたのがわかった。
間違いなくそこにサラは居たのだ。
一瞬右サイドに風を感じた。そして、キラリと短剣が光ったように見えた。
朱音は左側に体を交わすと、身をががめて「サラの居ると思われる場所」で脚をすくった。
つま先上部に何かが当たる感触はあったが、避けられたようだ。
見えてない分、まだ行動が遅いのだろう。
つま先上部に感触があり、避けたということはサラは上に飛んだのだろう。
着地を狙うか。
今度は逃がさない!
考えるまもなく朱音は行動することにした。
やや前方に、サラの瞳が光った気がした。
朱音は懇親の力をこめて、鞘部分を前に突き出した。
サラは身をくねらせて避ける。
その瞬間が朱音の目にはっきりと映った。
みえた!
今度は逃がさない。
鞘をもち体ごと何回転かしてみた。ハンマー投げのような状態;
ドズドズドズっと鈍い音がしてサラは吹っ飛ばされた。
(や、やった・・・( ゚ ▽ ゚ ;) でも・・・)
サラが動かない。朱音は彼女に駆け寄る。・・・と・・・
「敵に情はみせちゃいけない!今は敵って言う設定だからねA=´、`=)ゞ」
ルースが階段を降りてきた。
サラをそっと抱えるとグッと親指を立ててこういった。
「さ、行こうか♪サラなら魔法ですぐ回復するレベルだよ(^^)」
「第一関門突破だな。気の読み取りができるようになったから。」
いつの間にか朱音の後ろの壁にシュリがもたれてこちらを見ている。
いつからいたんだろうか。
(気配・・・これで感じられてるのかなぁ(;^_^A??)
ちょっと不安になる朱音。
それを察したシュリは彼女に言った。
「慣れ。これが大事。今はすべての気配を感じられなくてもいい。
経験とともに、その感受性は高くなる。必ずね。
さ、ひとまず休憩だ。次があるんだから。
それに君は・・・言いにくいが・・・
よく食べた方が、体に・・・いいみたいだし、ねσ(^_^;)」
ルースが爆笑する。
朱音はルースに思いっ切りデコピンした。
「いって~。
今度の師匠は俺だってのにぃ(ノω・、)」
おでこを擦るルースに今度は朱音が笑う。
そう、休憩の後は次なるステップが朱音を、待っているのだ。
まだまだ、朱音は強くなれるし、なってもらわなければならないから・・・。