小説NO.15 ~朱音の力~ 其の壱
「おっと、二人ともお疲れか( ゚ ▽ ゚ ;)」
(訳もない、ありがたいことだ。
僕は仲間に恵まれている・・・。)
シュリは義手を二人にかざすと、瞳を閉じ、気をこめた。
疲れきった体に力を注ぐために。
パーッ・・・と黄色い光がふたりを包む。
二人を回復させると同時に、ルースと朱音の記憶がシュリに流れ込んでいく・・・。
「大変だったな、ルースも朱音も・・・。」
そう呟くとシュリはそっと目を開けた。
後は二人ともよく眠るといい。目覚めたら二人は回復しているから。
「おーい、サラ。何か食べる物を二人に作ってやってくれないか?
僕は二人をベッドに運んでいくよ。」
シュリがそう呼ぶと、身長が140センチあるかないかの童顔の少女が2階からパタパタと降りてきた。
現代でいう10歳くらいの容貌であろうか。
「あー!ルースったらこんな綺麗なお姉さんと一緒に居るー(◎`ε´◎ )!!!
浮気よ、う・わ・き!」
サラとは、ルースを昔助けたあの狼なのだ。
彼女は「狼女」。
あの時サラには親もなく、家もない捨て子であった。
あの晩、満月に照らされた彼女はたまたま狼になっており、彷徨っていた。
そこでルースを発見、ルースに一目惚れ(しかも初恋!)してしまい、何となく彼の後をつけ、
何となーく「お気に入りの人」がやられている様にみえたので助けたのだ(。・ε・。)![]()
ジャガーが結界をはっていたにもかかわらず、サラが戦いに乱入できたのは、
結界が張られたとき、既に結界の範囲内にサラもいたためである。
まぁ、なんとも子供らしいというか・・・何というか( ̄ー ̄;)
実際、ジャガー側からすれば「とんでもない」話だが・・・・・;結果オーライというわけで・・・。
「お前、いつそんな言葉覚えたんだよ~(・・;)
この女の人は朱音。仲間だし、ルースとは何でもないから安心しなさい。」
シュリはこのオテンバでおマセなサラにため息をついた。
娘のように感じている部分もあるので、ちょっと切なくもなりながら・・・(笑)
「そう?ならいいもん(^∇^)♪」
サラは名前にふさわしい、長く美しいさらさらのかみを耳にかけると、
パタパタと調理場へ走っていった。
(これから、父の宮殿に攻撃を仕掛ける準備をしていかなければならない。
父は朱音の力を既に見抜いていたのだな・・・。危険な戦いになりそうだ。。
できるだけ、いや、誰も命に関わるようなことがないようにしたい・・・。)
ベッドに眠る二人を見つめ、調理場でサラが立てる音を聞きながら、シュリはそう思った。
(朱音の体には、特殊な血が流れている。
彼女が利用されたら、世界を転落させてしまうだろう。
なにせ、あの子の父親は、現世と死界の狭間に、もうひとつの世界を築いた
張本人だからだ・・・!)