神奈川県展 入賞作品「回遊出発」
古地図の上の親子のザトウクジラの絵
お母さんクジラは、赤道付近の暖かい海で出産して子育てをします。 人間の様にお乳を上げて育てますが、その間自分は食事をしません。
お母さんは、子どもが呼吸をするために、海面にでれるように下から支えたりします。
暖かい海で、のびのび動き回っているのを見守る母はお腹きペコペコです。
子どもの泳ぎが安定してくると豊穣な冷たい海へ向かって、親子の旅が始まります。
旅は親子にとって、とても危険です。
海のギャングともいわれるシャチに、襲われるかもしれません。
狩りの練習をしながら、赤道から極地まで向かいます。
小さな命を守りながら、広い海を旅する親子。
どうか無事に目的地へたどり着けますように。
そんな願いを込めて描きました。
そして、この作品には、私自身の思いも重なっています。
絵を描いていた頃、ちょうど私の娘も新しい世界へ旅立とうとしていました。
クジラの親子の姿に娘と自分を重ね、心の中ではいつも寄り添いながら、娘の未来がうまくいくようにと祈りつつ、筆を進めていました。
やがて娘の未来が明るいものとなり、この作品も神奈川県展で入賞することができました。
私にとって「回遊出発」は、親子の愛情と旅立ち、そして未来への希望が込められた、特別な一枚です。
今では、描いた当時の願いが実を結んだように感じられる、とても縁起の良い作品となりました。
母クジラには長く年月を感じさせるフジツボが付着しています。子どもクジラにには熱帯の海を思わせるカラフルな珊瑚が付着していますが豊穣な冷たい海へ向かうために、それを落としながら泳いで行きます。無事に極地の海へ到着した時にはすっかり カラフルな珊瑚は落ちてしまい、フジツボが芽吹いていることでしょう。
暖かい安全な楽園を出発するとき、
額に太陽のマークのあるイルカが寄り添ってくれています。
この絵をご覧くださる皆さまにも、温かな愛情と、明るい未来への希望が届きますように。