新開は荒北を強く抱き締め、荒々しく舌を絡める。



「ン……ふ」



呼吸する間も与えられず、舌を吸われて頭がクラクラしてくる荒北。



気が付いたらいつの間にか草の上に押し倒されていた。


全身にのし掛かる新開の重み。

その圧、温もり、香りが荒北をゾクゾクとさせる。



「靖友……おめさんが欲しい……。おめさんを……抱きたい」


「……!」


唇を離し、荒い呼吸で新開が言う。


「いいかい……?」

新開の柔らかな髪が荒北の顔にかかる。




「オレが欲しいなら……そう命令すればいい」

荒北は新開の目を見つめて言った。



「意地悪だな……。命令しておめさんを手に入れたって、嬉しくもなんともないよ」


新開は荒北のレザースーツのジッパーを首から胸にかけてゆっくり降ろす。



「おめさんの意思を尊重するよ。嫌なら嫌って言ってくれ。すぐにやめるから……」



「……」

荒北は答えない。



新開の右手がレザースーツの中に入って来る。

「ゥ!」


左胸に触れられ、全身がピクッと反応する荒北。
顔を赤く染めて目を閉じる。



「……拒否……しないんだね?」


「……」



新開は荒北の首筋に吸い付いた。

「アゥ!」


レザースーツを肩まで開き、鎖骨に舌を這わせる。

「ハ……ァ……」


初めて体験する快感に、荒北は逆らえなかった。



「靖友……好きだ。……初めて会った時から……こうなる予感がしてた……」


「新開……」


新開は自分の皮ジャンの前をはだけ、荒北のレザースーツのジッパーを全て開いた。


唇を荒北の鎖骨から、
胸へ、
ヘソへ、
そして下腹部へと降ろしていく。


「ア……アアッ!」

ビクン!と全身が跳ねる荒北。



「靖友……靖友……!」



「ンアッ……アァァーー……」






国境を見下ろしながら、二人は初めての夜を過ごした ──。













翌日。



「荒北先生」



荒北が講義のため城を訪れると、執事に呼び止められた。



「ありがとうございます」

「ハイ?」


執事は笑顔で荒北に礼を言う。

「荒北先生がいらしてから、隼人王子はとても明るくなりました。以前は嫌がっていた公務に進んで参加されるようにも。荒北先生のおかげです。王も喜ばれております」



「ア……それは……光栄です」



授業の効果があったのは嬉しいが、ゆうべあんな関係になってしまい、後ろめたい。
礼なんか言われ申し訳ない気持ちになる。

荒北は執事と目を合わせることが出来ず、しどろもどろに応対するしかなかった。



「それでですね。来週から悠人王子にも授業を是非にと」


「エエ?」









【主な登場人物】
新開隼人······サーヴェロ王国第一王子。イケメン。天然。
荒北靖友······新開の教育係。元ヤン。ツンデレ。
新開悠人······サーヴェロ王国第ニ王子。新開の弟。
黒田雪成······荒北の部下。






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