ランちゃんがピアノの練習をしている。

3学期に行われるフリーテストのためだ。
音楽はもう学科試験がないので、最後の大きなテストということになる。
 
フリーテストは音楽ならなんでもいいから発表するというテスト。
楽器ができず歌もイマイチなランちゃんには難関だった。
(箒でエアギターするようなマネは、逆立ちしてもできない・・・)
しかし去年、学年1位くんが、ピアノを習ってないのに練習して披露したという話を聞き、それいただき!と思ったらしい。
 
ランちゃんはピアノが弾けない。
マキちゃんとわたしは弾けるけど何年もかけて習ったわけで、弾き方も知らない人に1ヶ月かそこらで曲を教えるなんて可能なのかなーと疑問だった。
それでも挑戦しました。
内申のため!
 
もう一つの理由は、ランちゃんの選曲にほろりときてしまったから。
 
あれは今年の春。
中学では定期的に行われる全校隠し芸大会で、友だちが歌を歌いたいと言い出したことがあった。
怖いもの知らずのランちゃんたちは、はりきってオーディションに応募!
友だちがボーカル、ランちゃんがリコーダー、もう一人がピアノ伴奏のトリオだった。
ところが特別支援学級の先生はオーディションすら許可してくれなかったのだ。
そう、ボーカルは知的障害者なのだ。
予測できない事態を心配したのだろう。
 
ランちゃんがピアノ演奏に選んだのはそのとき歌うはずの流行歌だった。
 
あの時友だちには好きな子がいたの。
だから歌で気持ちを届けようとしてたの。
(相手は直接会うのを嫌がった汗
その男の子が今同じクラスなんだ。
だから代わりにあの時の曲を聞かせたい。
「善行賞のお礼にね」
そう言ってランちゃんは照れて笑った。
 
お礼・・・になるのか微妙な気がするけど、友だちのために何かしたいって気持ちは大事。
ここは協力しなきゃね。
 
時間はないので1回10分の超集中練習だ。
譜読みはわたしだけど、ランちゃんの暗譜は早くすでに曲になってきた。
間に合うんじゃないかな。
ワクワクしてきたぞ キラキラ
(そんなことしてる場合か!という心の声には耳をふさいで。だって内申のためですから)