ランちゃんの担任の先生は、地元の人だ。
田んぼの真ん中に校舎があるので、畦道を行くおばあちゃんに、「マぁルちゃん、学校の先生になったかね~」と声をかけられている。
童顔、色黒、いがぐり頭。誠実そう。
マルちゃんは、今年初めて、中学3年生を担任する。
トップ校を受験したことも、受験する生徒を指導したことも、ない。
1学期の最初に、ランちゃんが志望校を明言したとき、文字通り「のけぞった」そうだ。
3者面談では、わたしに、
「ホントにやるんですね?」
と、わけわからん質問をし、
「ラン、頑張ろうな!」
と、拳を握って激励してくれた。
戦地にでも送り出しそうな勢いに、笑ってしまったよー。
塾では、トップ校を目指すことが、当たり前という環境にいるから、マルちゃんの感動はなかなか得難いものだ。
そっかー、すごいことに挑戦してるんだー、と改めて感じさせてくれる。
もし合格できたら、マルちゃんの忘れられない生徒になるかもしれない。
それは、なんだか、がんばらなきゃって思う。
「頑張ろう」と言ってくれたマルちゃんに甘えて、1学期の内申に「4」の教科があったら、その教科の先生に理由を聞いてくれる、という約束をした。
実際は、ペーパーで60点を取ったとか、鑑賞の評価がB⁻ だったとか、恥ずかしいほど理由が明らかなものばかりで、ランちゃんが「先生、黙ってて!」とストップをかけました。
マルちゃんは、笑ってファイティングポーズをしたそうだ。
先日、音楽の授業で、歌のテストがあった。
ランちゃんにとって、歌うことより緊張する、「鑑賞」のテストでもある。
表現力を駆使して必死に文章をひねり出すこと、30人分。
3年目にして初のA+ をもらいました!
自慢気に音楽ノートを見せてくれましたよ。
かわいいな。