生まれながら歯が弱くて、これまで歯の治療は相当負担になっていた。どんなに治療に通ったかわからない。歯の丈夫な人がうらやましい。
知人の父親が72才で昨年亡くなった。死ぬまで、真っ黒な髪と虫歯が一本もなかったそうである。こんな人もいるのだ。
この知人の女性も、黒髪と健康は歯の持ち主だ。
ある戸塚の歯医者さんのクリニックはこの数年通っている。漢方の薬を処方した歯磨きとあとのうがい薬で、わたしの歯はとても改善された。
この歯医者さんの人気のある理由もちろん腕はいい。それに加えて、体育会系でさっぱりしているが、デリカシーのある性格が好かれていると思う。
紹介してくれた方も女性だったが、なかなかいい歯医者に出会えないというわたしのつぶやきに、
〔腕は確かだし、なにしろいい先生だわ。〕
どんな風に?というわたしの質問に、
〔通っているとわかるわよ〕と言われた。
待合室には年配の患者さんが多い。子供がほとんどの近所の歯医者とは全く違うので最初は驚いたものだった。
何年か通ってみて、知人の言葉に、なるほど、と思った。この歯医者さんと一言二言話をするのがけっこう楽しみ。ぶっきらぼうなのだが、信頼できるし、患者のことをよく考えてくれていることがこちらにもよくわかる。
今日は定期的な歯のクリーニングの日なのだが、
〔おう、なかなか綺麗になったね。〕とほめ上手。
〔じゃあちょっとクリーニングをしようか。痛かったら、我慢しないで手を上げてね〕と
長く知っているから先生もやりやすそう。
衛生士の女性達も感じがよくて、静かだが、きびきびと仕事をこなす。
待合室で隣り合わせに座った女性の言葉だが、
年齢からくる歯の問題も、不愉快にならずに先生と話ができる、今までのところは
そうではなかった、と。
そうそう、年ね。
歯は年齢がいけば老化するからただでさで気持ちがくさくさするのに、治療に来た場所で無神経に年齢を指摘されれば不愉快さがダブルにもトリプルにもなるだろう。
話し方なのだが、基本はその人の知性。
一般日本人は、、一部を除いて、いつも上下をつけて話をしたがるように思うのだが、間違っているかしら。相手より少しでも偉いと位置づけたいための理由をつけたがる。その幼児性に驚くのだが、ついでに年齢の話を混ぜて、年齢の高いことが罪悪のような気持にさせる傾向があるように思える。
先日、出席したpartyでも37才の女性がこぼしていた。
〔オフィスでも、おじさん連中は若い子若い子っていっている〕と。
若い子だと、中身を看破されずに、いっときは尊敬をしてもらえるからだろうか。
ローンの重荷と家族や会社でのストレスに傷つきやすい男性達は、大人の女性に指摘されることを好まない?
わたしの場合、勤務をしていたときは、仕事が特殊のせいか、大事にされた。また、今は個人の仕事だからこの問題でいやな目にあうことはない。それに、私的には、あまり一般的な日本男性とはお付き合いのないわたしだから、それで不快な目にあったことは少ない。
まあ、わたしには言いたくても言えないのかもしれない。
しかし、オフィスで、privateで、あからさまに年齢のことで差別されたり嫌がらせを受けることは、たまらないだろうなあ、と同情する。みんなに平等に訪れる年齢の問題はどうしようもないことだから。
生徒の一人、40歳過ぎの女性は、一流日本企業に勤務しているcareer womanだ。
〔同僚の男性が、英語のプレゼンテーション用のリハーサルをして、感想を聞かれるので、正直に欠点を指摘すると、とても不満そう。その場では感謝されても、彼女は完ぺき主義だから、とか陰でうるさいし、後で嫌がらせをされる可能性もあるから、
《お上手ですわ。別に気づいたところはありません》って言うことにしています。後がうるさいですから。自分のために、です。〕
聞いてて情けなくなった。会社って会社の生産性をあげるために共同して努力するところだと思うのだが、正直な意見が言えず、他の社との会合でこの男性は
恥をかく。自業自得といえばそうなのだが。正直に欠点を指摘すると、さかうらみされるとは。
会社勤務をしていた頃、一人とてもいい上司がいた。大きな外資系だった。
その方はアメリカに長く滞在していた経験があり、そちら方面に強いが、ヨーロッパ方面にあまり知識はない。わたしは大いに重宝された。部下の能力を引き出すことに長けていて、そして、部下にまかすと自分の仕事に時間が割けるから、正比例してどんどん出世した。
この46才の上司は、57才の感じのいい女性を秘書にしていたが、彼女の退職後は、香港中国女性を雇っていた。双方とも、給湯室で女の子達と井戸端会議に参加しない女性たちだ。
こんな人が上司だとやりやすいのだが、他の人たちからの情報だと、rare caseだろうな、と思う。
〔おじさんと若い女の子はお互いに欠けている部分があるから補い合っているのよ。おじさんはお金があるが、若さがない。女の子は、若さがあるが、お金がない〕と、その彼女に言ってやった。
かくして、勉強好きで、努力する大人の女性は、結婚したくないシンドロームにかかっていくのだろうか。
少子化問題もここから発生する可能性が。