イケプリの記憶喪失イベント
〜あなたを ただ愛している〜
いつもにも増して尊いシュヴァリエ様…♡
まずは、第一話と二話のおすそ分けです。
城の階段で転んで頭を打ち
ベルになってからの記憶を失ってしまった私は
何か焦燥感のようなものを抱えながらも
街の本屋での貸本事業に忙しくしていた。
そんな生活の中で
何をしていても頭から離れない方がいる。
夕陽が落ちるまでのわずかな時間
毎日←! 店にやって来る美しい貴族のお客様…
シュヴァリエ様だ。
ある日 お店の常連であるクラヴィスさんに
艶めいた仕草で口説かれ
丁重にお断りしたところ
「あわよくばお前を手篭めにして
兄殿に見せつけてやりたかったんだがな」
私の頭をいっぱいにしている方の正体は
国王陛下だ と告げられた。
国王が毎日わざわざ街の本屋へ来る理由は…?
その日の閉店間際の本屋で
梯子から落ちた私を
抱きとめたまま離さないシュヴァリエ様。
端正な顔が視界を埋め
唇にぎこちないキスが落とされる。
触れた温もり…高鳴る胸…
わかってしまった…
私とシュヴァリエ様は、そういう、関係だ。
シュヴァリエ様にたどり着きたい…!
それなのに記憶を取り戻せない…!
気づくと私はもどかしさに涙をこぼしていた。
「最近は、泣かせていなかったんだがな」
長い指先が乱暴に涙を拭う。
「焦る必要はない。
どうせそのうち、思い出す」
何故そう言い切れるのか訊いても
笑うだけでシュヴァリエ様は教えてくれない。
そしてそれ以降
シュヴァリエ様は本屋を訪れなくなった。
↑本編第5話
梯子から落ちてしこたま背中を打ったのに
冷たい言葉をかけられた時のお話。
今回は、抱きとめてくださったもんね…♡