新入社員と定年退職を迎える人がおりなす、会社でのやりとりです。
新入社員は今年入社して研修を終え、配属が決まったばかりの右も左も分からない女の子。
頭が良くとても真面目です。
名前を仮に川辺さんとしておきます。
一方、定年退職を迎える方は、
以前は私の上司でもあり、
とても厳格で怖い、我々にとっては
話しかけにくいような存在です。
名前を仮に高山さんとしておきます。
第1話【コピー機の前】
高山さんは新しくなったコピー機を使いこなせません。老人特有の機械音痴です。
今日もコピー機とにらめっこ。
下を見たり上から覗き込んだりと、
コピー機の前でスクワットをしてるかのようでした。
結果的には紙がないので、出てくるわけはありません。
そこに通りかかったのが新人の川辺さん。
コピー機の前でスクワットをしている高山さんが気になったのか声をかけました。
「どうかされましたか?故障ですか?」
高山さんは困ったような顔で振り返り、
新人の女の子の前で格好悪いとこを見られたくないのか表情を固くして、
「いや、大丈夫」と言いました。
そこで川辺さんは、
「もう無くなったんじゃないですか?」
と言うと、
それを聞いた高山さんは、
「まだこうして生きてるよ!」
と返しました。
無くなってるを「亡くなった」と
とらえたようです。
第2話【休日出勤のランチ】
今は忙しく平日はバタバタとして自分の仕事が出来ず、休日に来て自分の仕事をする人が多い。
私は出ていないので、これは休日に出ていた同僚からの話です。
「今日は食堂がお休みですが、お昼は持ってこられましたか?」
と川辺さんは高山さんに尋ねたそうで、
「いや、昼前に帰る予定だったから。帰れないなぁ。昼は抜きかな」
と高山さんは答えました。
「私いまからコンビニに行くので、よろしければついでにお弁当買ってきましょうか?」
と気が利く川辺さん。
「あ、お願いしていい?そうね、カレー食べたい。カレーってある?」
「ありますよ。セブンカレー」
「セブンカレー?」
高山さんは首をかしげたそうですが、これはさておきます。
買い物から戻ってきた川辺さん。
さっそくお弁当を袋から出して高山さんにカレーを渡しました。先にレンジで温めて持ってくるという気遣いも出来ていたようです。
「あれ?スプーンとかないの?」
高山さんが言いました。
「あっ、すみません!袋の中に……」
「ああ、いいよいいよ自分で取るから」
と高山さんが袋から取い出したるは、
「わりばし」でした。
「割りばし!?カレーを!?」
と高山さんは言いながら川辺さんを見ると、
川辺さんはスプーンで三色丼を
食べていたそうです。
最後の最後で女の子出ちゃった。
第3話【懐かしソング】
「矢沢永吉はキャロルってバンドだったんだよ知らないでしょう」
と高山さんが川辺さんに言うと、
「矢沢って誰ですか?」と返しました。
「え、矢沢知らない!?コマーシャルにも出てるし、知らない?有名だよ!?」
「あ、もしかして、♪盗んだバイクが走り出す~♪って歌の人ですか!?」
「いや、盗んだバイクで。バイクが走り出すって自動運転だし。あ、そうだよ!自動運転のコマーシャルやってるおじさんだよ!NISSANの!」
と高田さんが飛び上がって説明して、
「ああ!わかりました!あの人が矢沢」
と川辺さんは満足げに微笑みました。
このやりとりはスゴいの一言です。
